国内株はTOPIX首位も、フジテレビ問題で脚光の「ダルトン」運用ファンドもランクイン(24年12月の国内株ファンド)
Finasee / 2025年1月29日 6時0分
Finasee(フィナシー)
三菱アセット・ブレインズが発表する「投信マーケット概況」で「国内株式型」に分類されるファンドの2024年12月の月次資金流入額トップは「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」になった。前月トップだった「日経225ノーロードオープン」は上位15位から姿を消し、全体的に「国内株式型」への資金流入量が減った。その結果、前月はトップ15ランキングに入っていなかったファンドが9ファンドも新規にランクインするということになった。
その中で、今年9月に設定された「ひふみクロスオーバーpro」が前月の第15位から第4位にジャンプアップし、12月に設定されたばかりの「fundnote IPO クロスオーバーファンド」がランクインするなど、未上場株式にも投資する新しいタイプのファンドが台頭。「モノ言う株主」としてフジテレビ問題で存在感を発揮した「ダルトン」が実質的に運用する「ダルトン・ジャパン・パートナー戦略ファンド」も第6位に入った。
◆揺れる国内株ファンドに対する評価国内株ファンドの資金流入額ランキングでトップになった「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」だが、11月の資金流入額は約54億円で、12月は約46億円と流入額は減額している。それでもトップになったのは、全般的に国内株ファンドへの資金流入が減る中にあって積立投資で同ファンドに投資している投資家が多かったということだろう。前月トップだった「日経225ノーロードオープン」などはスポット(一括投資)でタイミングをはかった投資に使われ、結果として思惑通りに値上がりしたのか、思惑が外れて損切りしたのか、12月は約375億円の資金流出で月間の流出額が最も大きなファンドになった。
「TOPIX」や「日経平均株価」といったインデックスファンドへの投資が後退する一方、第2位に浮上した「ダイワ金融新時代ファンド」、第3位の「日経平均高配当利回り株ファンド」の他、12月にランクを上げたのは、「小型ブルーチップオープン」、「情報エレクトロニクスF」など、投資対象を特定の業種などに絞ったファンドだ。「ダイワ金融新時代ファンド」は、日銀の利上げによって「金利のある世界」に戻りつつある日本において、「利ザヤ」で稼げる銀行などの金融業界は収益機会が拡大するという追い風を受ける。AI(人工知能)産業の発展で恩恵を受ける「情報エレクトロニクス」や、割安感が強いとされる「高配当株」や「小型株」など、市場全般の先行きが不透明になると、より確信度が高い部分に集中したくなる心理が強くなる。12月の資金流入額ランキングには、そのような心理が浮き彫りになっているようだ。
◆フジテレビ問題で脚光を浴びた「ダルトン」とは?フジテレビの問題でフジテレビに対して書簡を送って第三者委員会の設置などについて提言したことで注目されたダルトン・インベストメンツ・インクが運用指図を行う「ダルトン・ジャパン・パートナー戦略ファンド」が12月6日に新規設定され、12月の資金流入額ランキングで第6位にランクインした。同ファンドのコンセプトは、「企業に対して、エンゲージメント(対話)や提案を通じて企業価値の中長期的な向上を促す」というもので、面談、レター、提案(株主提案を含む)を通じて企業との対話を進める。現在のエンゲージメントのテーマとして掲げているのは、「適切な資本配分を策定・開示・コミットメント(ROE/ROICを含む具体的な目標値)」「ガバナンスの改善」「経営陣と株主の利益共有関係を強化」「東証要請への高度な対応」。
2024年12月末時点における同ファンドの組み入れ上位は、江崎グリコ、フジ・メディア・ホールディングス、豊田自動織機、ステラケミファ、文化シャッターなどとなっている。主要投資銘柄であるフジ・メディア・ホールディングスのガバナンスに関する問題だっただけに、モノ申さずにはいられなかったのだろう。同社が公表したレター(ダルトンの関連会社であるライジング・サン・マネジメントが発信)には、「中居正広氏を巡る騒動に関連する最近の貴社の一連の出来事は、単なる芸能界の問題にとどまらず、特に、貴社のコーポレートガバナンスに深刻な欠陥があることを露呈しているものと考える」と指摘し、「貴社株式の 7%以上を所有する大株主として、憤りを禁じ得ない事態」と同社の立場を表明している。
ダルトンは過去20年にわたり⽇本企業に投資してきたアクティビストの老舗だ。主に海外の機関投資家や富裕層向けに「ニッポン・アクティブ・バリューファンド」と「ジャパン・ロングオンリー」を運用し、2024年6月末時点で運用資産総額は約6400億円に達している。ダルトン創業者のジェイミー・ローゼンワルド⽒は「還元要求で一辺倒の強⾏派とは⼀線を画し、投資先との友好的な対話を重視する」と語っている。企業の資本配分の適正化やガバナンス改善などを通じた企業価値向上を⽬指す活動を強化しているという。この問題への対処も含め、今後取り組みが注目される。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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