2024年8月の急落から株価は回復傾向も…SUBARUの今後は？投資方法は？

Finasee（フィナシー）

SUBARU（スバル、旧・富士重工業）の株価が冴えません。2024年7月の高値（3614円）から下落傾向が強まり、8月の安値（2166.5円）まで大きく値下がりしました。値下がりは8月の日本市場全体の急落も影響していると考えられます。足元は2700円台の取引となっており、高値を取り戻せない状況が続いています。

とはいえ、全体から出遅れているわけではありません。日本株市場の急落からの上昇率は、主な国内株式指数と同水準です。SUBARUに対する市場の評価は、平均的なものといえるかもしれません。

【日本市場の急落からの上昇率】

・SUBARU：＋24.8％
・日経平均株価：＋27.0％
・TOPIX：＋23.6％

※2024年8月5日終値～2025年1月23日終値

高値から2割ほど安いSUBARUに対し、投資を考えている人もいるでしょう。SUBARUへの投資は、個別に株式を買う方法と、投資信託を活用する方法があります。それぞれの方法を押さえましょう。

北米で人気の自動車メーカー 寒冷地のニーズつかむ

SUBARUへの投資方法の前に、まずは概要を紹介します。

SUBARUは主要な自動車メーカーの1つです。「インプレッサ」や「フォレスター」、「レヴォーグ」といった人気の車種を手掛けています。トヨタグループに属しており、議決権の20％をトヨタ自動車が保有しています。社名は2017年に富士重工業から変更しました。

SUBARUは他の自動車メーカーと比較し、北米市場の比重が大きいことが特徴的です。売り上げ全体に占める北米地域の割合はおよそ8割にも達します。特に寒冷地で需要が大きいことから、米国の北部とカナダが主要な市場となっています。

【主な自動車メーカーの売り上げ（2024年3月期）】

 

※SUBARUと本田技研工業は売上収益、トヨタ自動車は営業収益、日産自動車とマツダは売上高

出所：各社の有価証券報告書 

業績も確認しましょう。直近2024年3月期は好調でした。北米で販売が好調で、大幅な増収増益となっています。

【SUBARUの業績（2024年3月期）】

・売上収益：4兆7029億円（＋24.6％）
・営業利益：4682億円（＋75.0％）
・純利益：3851億円（＋92.1％）

※（）は前期比

出所：SUBARU 決算短信

ただし、今期（2025年3月期）は大きめの減益を予想しています。円高を予想すること、また研究開発費や販売奨励金の増加を見込むことが主な理由です。

【SUBARUの業績予想（2025年3月期）】

・売上収益：4兆7200億円（＋0.4％）
・営業利益：4000億円（－14.6％）
・純利益：3000億円（－22.1％）

※（）は前期比
※同第2四半期時点における同社の予想

出所：SUBARU 決算短信

株式投資は証券会社で 口座開設は本人確認とマイナンバー提出が必要

次にSUBARUへの投資方法を紹介します。

SUBARUに投資したいなら株式を購入しましょう。株式は発行企業の利益が裏付けられています。SUBARUの利益が拡大するなら、SUBARUの株式も価値が増加することとなり、株価の上昇に期待できます。また利益の一部が配当金や自社株買いなどで還元されることもあります。

株式を買うには証券会社の口座が必要です。未開設なら新規に申し込みましょう。なお、証券口座の開設には本人確認とマイナンバーの提出が求められます。申込先の証券会社が指定する方法で手続きしましょう。

自動車ETFでも投資できる インデックス型も選択肢

自動車の関連企業にまとめて投資したいなら「NEXT FUNDS自動車・輸送機(TOPIX－17)上場投信」を活用しましょう。東証33業種で「ゴム製品」と「輸送用機器」に区分される企業に投資する投資信託で、SUBARUも上位に組み入れられています。

【NEXT FUNDS自動車・輸送機(TOPIX－17)上場投信 組入上位10銘柄】

・トヨタ自動車：49.6％
・本田技研工業：10.8％
・デンソー：6.4％
・ブリヂストン：4.7％
・スズキ：4.3％
・豊田自動織機：3.2％
・シマノ：2.8％
・SUBARU：2.5％
・いすゞ自動車：2.0％
・日産自動車：1.8％

※2024年12月末時点

また、SUBARUは国内株式指数にも採用されています。その指数を参照するインデックス型の投資信託を買えば、原則として資金の一部はSUBARU株式で運用されることとなります。

【国内株価指数のSUBARUの構成比】

・日経平均株価：0.23％
・TOPIX：0.19％

※日経平均株価は2024年12月末、TOPIXは2024年11月末時点

投信は資産配分が薄まるも、リスク低減に期待できる

SUBARUへ投資したい場合、株式を買う方法が中心となるでしょう。投資信託でも可能ですが、株式を直接買う方法と比べると、資産の配分は薄まります。特に自動車セクターは大型株が多く、相対的に時価総額が小さいSUBARUは組み入れ比率が小さくなりやすいと考えられます。

とはいえ、個別の株式は一般にリスクの高い商品です。投資信託なら複数の銘柄で運用されるため、リスクは比較的小さくなることが期待できます。SUBARUに魅力を感じながらも、できるだけ低リスクで運用したい人は投資信託から始めてみるのも手です。

もちろん、投資信託もリスクはゼロではありません。いずれの方法も、投資の判断は慎重に行うようおすすめします。

若山 卓也/金融ライター／証券外務員1種

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業（IFA）および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。