なぜ4年も放置? マンション管理組合の役員を引き受けた女性が仰天…“見て見ぬふり”をされてきた「厄介すぎる問題」
Finasee / 2025年2月3日 18時0分
Finasee(フィナシー)
橋爪あゆみさん(仮名)はIT企業の総務部に勤務する会社員、今は長女を出産して育休中です。橋爪さん一家は長女が生まれる前、コロナ禍に都内の小規模新築マンションを購入し、引っ越してきました。マンションの住民は同世代が多く、家を行き来するような親しい友人もできて新米ママ生活を満喫していたそうです。
そんな時、橋爪家にマンションの管理組合の役員が回ってきました。今思えば、これがとんでもない災難のきっかけになったのですが、そんなことはつゆ知らず、管理会社が完璧にサポートしてくれると聞いた橋爪さんは本当に軽い気持ちで引き受けたのでした。実は管理組合は、代々先送りされてきた厄介な案件を抱えていたのです。それに猛然と立ち向かったのが橋爪さんの友人で、正義感の強い中村さんでした。しかし、中村さんのそうした行動が思わぬ波紋を呼んで予想外の展開になります。今もその余波が続いているという橋爪さんが、戦慄の体験を話してくれました。
〈橋爪あゆみさんプロフィール〉
東京都在住
31歳
女性
会社員(育休中)
会社員の夫、1歳の長女と3人暮らし
金融資産400万円(世帯)
東京の郊外に総戸数12戸(3階建て)の小規模新築マンションを購入し、入居したのはコロナ禍真っただ中でした。行動制限がある中の引っ越しは大変でしたが、そういう特殊な事情もあって入居者同士の絆が強まり、ファミリー単位での仲良しグループができました。
私は2023年末に長女の唯奈を出産して勤務先から育休を取得中という気安さもあり、マンション内のママ友とホームパーティーを開いたりドライブに出かけたりと新米ママ生活を満喫していました。
厄介な管理費未納問題そんなタイミングで回ってきたのがマンションの管理組合の役員でした。コロナ明けからぐんと仕事が忙しくなった営業マンの夫は、「あゆみ、高校時代はずっと学級委員だったし、こういうの得意だろ? 育休で時間もあることだし、頼むよ」と完全に私にお任せモード。幼い唯奈の子育ての苦労も知らないくせにとちょっとムッとしましたが、役員候補の1人がママ友だったこともあり、「何とかなるだろう」と軽い気持ちで引き受けたのです。
前任者の方からは、大手不動産系列の管理会社がサポートしてくれるので、年に1度の総会やマンション内配布用の資料の作成は全て管理会社の担当者が代行してくれると聞きました。「なぁんだ、オニ楽勝じゃん」と思いきや、「1つだけ厄介な問題がある」と言います。それが、301号室の津島さんの管理費未納問題でした。
聞けば、津島さんは当初から、マンションの管理費や修繕積立金を1度として支払っていないのだとか。理事会としてはマニュアル通りに管理会社を通して何度か支払いの催告などをしてきたそうですが、暖簾に腕押しだったようです。
津島さんご夫婦は見たところ60代後半くらい。我が家と同世代が多いこのマンションの住民の中では少し浮いた存在で、マンション内に親しくお付き合いしている人はいませんでした。とはいえ、このマンションの地権者の一族らしく、マンションの規約違反である大型犬を堂々と飼い、これ見よがしにエレベーターに乗せていても誰も文句を言えない雰囲気でした。
未納金額はまさかの200万円超え…案の定、役員になって最初の理事会で、管理会社の担当者から津島さんの管理費未納に関する経緯が説明されました。津島さんの居室はマンションの中で一番広いため管理費も修繕積立金も最も高く、その時点で未納の金額はゆうに200万円を超えていました。
管理会社の担当者いわく、世帯数の少ない小規模マンションだからこそ未払いの影響は甚大で、既に管理費は自転車操業状態となっていて、修繕積立金不足は将来の大規模修繕に支障を来す可能性が大きいとのことでした。
一方で、津島さんサイドも複雑な事情を抱えていました。
津島さんの居室の事実上のオーナーは近隣に住む奥さんの実兄です。津島さんのご主人は飲食店を経営していたのですが腰を悪くして仕事を続けられなくなり、やむなく店を畳みました。その結果、自宅の家賃を払うのも厳しい状態となり、奥さんが実家の母親に泣きついて新しく建つこのマンションに住むことになったのでした。その部屋には当初、姪(兄の娘)一家が入居する予定だったそうです。
津島夫婦の言い分は、「私たちは年金もほとんどもらえないし、暮らしていくのが精いっぱい。そもそも、この部屋は兄の持ち物なんだから、兄が管理費や修繕積立金を払うのが筋じゃないですか」というものです。それを聞いた津島さんのお兄さんは「どこまで図々しいんだ。家賃も取らずに住まわせてやっているんだから、管理費くらいは自分で払え」と怒り心頭だったと言います。
津島さんと実兄はもともと仲が良くなかったらしく、大変な思いをしたのは両者の間に立った管理会社の担当者でした。とても支払いについて協議をするとか、滞納を認める債務承認書にサインをもらえるような雰囲気ではなかったそうです。
そうした経緯もあり、歴代の理事会の役員はこの問題に“見て見ぬふり”を決め込んだのでした。しかし、私たちの代にはそれでは済ませられない事情がありました。管理費未納には5年の時効があります。このまま未納の状態を放置しておくと、時効消滅によって回収できない管理費が出てきてしまうのです。
管理会社の担当者から時効に関する説明を聞き、抗議の声を上げたのは私のママ友の中村さんでした。
「どうして4年以上も放置してきたんですか? すぐに訴えるべきです!」
●時効が迫る津島さんの管理費未納問題……。気になる結末は、後編【絶対的な権力に歯向かったらどうなるか…マンション管理組合の役員を務めた30代女性が戦慄を覚えた「ムラ社会の呪縛」】で詳説します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。
森田 聡子/金融ライター/編集者
日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。
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