まだ誰も見つけていない“スター候補”企業に投資できる―今、あらためて投資の醍醐味を提示する「クロスオーバー投資」とは
Finasee / 2025年1月30日 12時0分
Finasee(フィナシー)
昨年2月、投資信託協会が運用の自主規制ルールを見直した。公募型投資信託には認められていなかった未上場株式の組み入れが、純資産総額の15%を上限に可能なったのだ。それによって、2024年9月に設定されたのが、レオス・キャピタルワークスの「ひふみクロスオーバーpro」。
未上場株式も組み入れ、さらに上場後も投資し続ける「クロスオーバー投資」に込めた想いとは。また、25歳という若手社員をファンドマネージャーに抜擢した狙いは何なのか。代表取締役社長 藤野英人氏と運用を支える株式戦略部 ファンドマネージャー 松本凌佳氏に話を聞いた。
***――「ひふみクロスオーバーpro」が話題です。ファンドのコンセプトもさることながら、ファンドマネージャーに25歳の松本凌佳さんを抜擢された点も注目されています。ファンドマネージャーは30~40代のアナリスト経験を持っている人がなるものというイメージもあるなか、今回、松本さんを抜擢された理由を教えて下さい。
藤野氏 上場株式と未上場株式をミックスしたファンドを作りたいという構想は、ずいぶん前からありました。ただ、いつ規制が緩和されるかわからない。そんな時に、大学の先生を通じて知り合ったのが当時、まだ大学生だった松本でした。
彼のゼミでの発表を聞かせてもらい、分析力に優れていて、面白い発想を持っていると感じ、ぜひとも欲しい人材だと思いました。
その後、縁あってレオスの面接を受けに来てくれたのですが、なぜか面接で落とされていたのです。どうも本人は“就活”の面接が苦手なようで……でもそこも含めて彼らしい魅力だと思ったんです。私は基本、人事にはほぼ介入しないのですが、彼を落としてはいけない! と“勝手内定”を出し(笑)、経営者面談に来てもらったという経緯があります。
25歳の彼をファンドマネージャーに抜擢したのは、彼が持つポテンシャルへの期待感と、やはり年齢ですね。未上場企業の経営者は若い。一方、私は今、58歳で、気持ちは若いつもりですが、言うなれば彼らからすればお父さんの年齢です。ベテランとしての経験値が役立つこともありますが、同じ目線で話すことが難しいと感じるときも正直なところあります。だからこそ25歳の松本を抜擢したのです。
刑事ドラマには、老練な刑事と若手刑事のバディものというパターンが結構あります。あれにはやはり意味があって、運用の世界でも一脈通じるものがあるのではないかと考え、さながら若手刑事役に松本、ベテラン刑事役に私というキャスティングで、運用に当たっています。
「バディ風に」という編集部のオーダーに笑顔で応じていただいたショット。ジャケットの中には、「ひふみクロスオーバーpro」のTシャツが。左から、レオス・キャピタルワークス 代表取締役社長の藤野英人氏、株式戦略部 ファンドマネージャーの松本凌佳氏。
――松本さんはなぜ資産運用の世界を志したのですか。
松本氏 学生の時に藤野さんと出会い、開示情報に基づいて魅力的な会社を見つける面白さを知ったことがきっかけですが、就職活動で運用業界を目指したのは、数字の裏側に入り込みたいと思ったからです。
米国の大手半導体企業がものすごい勢いで成長していることは、決算の数字を見れば明らかですが、こうした急成長の裏側に何があるのかというと、まさに今、革新的な成長の最中にある生成AIへのコミットがあるからです。
誰もが名前を知っている世界的企業ならば、さまざまなところに開示情報があるので、成長の裏側に何があるのかを比較的容易に調べられますが、国内上場企業の中小型銘柄、さらには未上場企業の決算の裏側など、一生懸命にインターネットで調べても、まず引っ掛かってきません。それを企業のかたにお目にかかってお話を聞いて取材し、数字の裏側の物語をひも解いていく――それはとても面白いことだなと思って、運用の世界を志しました。
――昨今、資産形成層の間ではインデックスファンドが主力の座を占めつつあります。今、新機軸のアクティブファンドを出された意味や、いわゆる“ふつうの資産形成層”がこうしたファンドに投資をする意味はどこにあると考えますか。
藤野氏 そもそもアクティブ運用かインデックス運用かという二項対立で語れるものではない、と捉えています。
インデックス運用を否定するつもりは毛頭ありません。分かりやすく、ローコストで運用できるファンドは、なかでも新NISAを機に資産運用に取り組んでみようと考えている人たちには、合理的な投資機会を提供していると思います。
ただ、一方で世の中がすべてインデックス運用に向いてしまうと、誰も企業を選定することがなくなってしまい、資本市場における企業と投資家の間にある緊張関係が損なわれてしまう恐れがあります。やはり経営者と投資家が緊張感のあるコミュニケーションを取り、叱咤激励を繰り返すなかで企業は伸びていきます。そこにこそアクティブ運用の存在意義があると考えています。
運用資産の総額が日本に比べてケタ違いに大きい米国の場合、特にプロの機関投資家は高度な運用戦略・手法の知見も豊富で、プライベートエクイティなどオルタナティブのファンドが長期的に高い運用実績を上げています。これらはまさにアクティブ運用なのですが、日本においてはこれまで、公募でこうしたファンドが存在していませんでした。
「ひふみクロスオーバーpro」は、上場企業のみを投資対象とするアクティブ運用でもなければ、ましてやインデックス運用でもないという意味において、第3の軸を提示しています。運用者が足で情報を集め、公開情報が極めて少ない未上場企業を厳選して投資する、「誰もまだ見つけていない、(未上場なので)買えない、“スゴい企業”を見つけて投資する」という点で、投資の醍醐味を見せることのできる、ピュア・アクティブ運用と言っても良いでしょう。いうなれば、まだ見ぬスター候補たちの成長を応援できる“推し活”投資です。
松本氏 日本を良くする力がアクティブ運用にはあると信じています。これは上場企業、未上場企業に関係なく、私たちが受益者の皆さんからお預かりした資金を投じるかどうかで、企業の運命を左右してしまうことも十分に考えられます。一人ひとりだと実感しにくいかもしれませんが、それが集まると企業、日本社会を変える力があるのです。みなさんが働いて得たお金がそうやって世の中を良くすることに投資されるんだと感じてもらえることが、アクティブ運用に投資していただく意味だと感じます。
だからこそ私たちは、皆さんからお預かりしたお金が、投資先企業を少しでも良くすることにつながるように、投資先企業に対してアドバイスもしますし、私たち自身も強い責任感を持って、日々の運用に当たっています。
私たちは「顔の見える運用」を信条としていますし、そこをぜひ見ていただけたらと思います。
――いわゆるインベストメントチェーンの一員として企業や経済・社会を変革するダイナミズムを感じられる半面、資産形成のさなかにある個人からすれば、やはり老後のために投資している側面もあって、中長期的なリターンも気になると思います。
藤野氏 未上場企業投資といっても、シードステージ、アーリーステージ、レイターステージの3段階があります。レイターステージであれば主幹事証券会社が付いていて、立派な経営陣がおり、かつ監査の体制もしっかりしていますから、投資リスクもシードステージに比べれば低くなります。
われわれは、このレイターステージの未上場企業に投資するわけですが、日本の場合、上場直前期から投資して、上場後も投資し続ける資金の出し手が実はあまりいません。ベンチャーキャピタルはじめ多くの投資家が、上場と同時に株式を売却してしまうからです。結果、ベンチャー企業の多くが、上場直後に成長資金を十分に確保できず、成長が伸び悩む「死の谷」に直面してしまいます。
とはいえ、日本で未公開株を上場後も保有し続けるクロスオーバー投資を実現するのは非常に難しい。というのも、上場株の知識は当然必要ですし、未上場株への知識もないとできないのですが、日本の場合、上場株の運用と未公開株の運用の間に知識面でもマインドセット面でも“断絶”があって、シームレスに関われる人が少ない状況があるためです。
でも、グループにベンチャーキャピタルを抱え、社内には上場企業の調査・運用体制の整っている私たちならばそれができる、しかも“スター候補”の魅力的な企業はたくさんある――ここに強みがあると思っています。
実際、「長期的に保有してくれる“ひふみ”に投資してほしい」とおっしゃって私たちの元に多くの経営者が殺到してくれています。私たちはそこから“一握りの本当にいい会社”を厳選できる状況にあります。
リターン追求と同時に、スタートアップ企業の中長期の成長を支え、日本の社会に良い影響を与えたい――ずっと前から思い描いていた理想的な運用をようやく始めることができたわけです。
――まだ知られざる、でも魅力やポテンシャルをひめた企業に“推し活”できると聞くと、ワクワクします。まさに、既存の投資信託と一味違う、新機軸の選択肢ですね。松本さんのご活躍とともに、今後も注目していきます。ありがとうございました。
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
SBIレオスひふみ、日本初の投資信託贈呈または寄付を選択できる株主優待制度を新設
PR TIMES / 2025年2月5日 17時45分
-
国内株はTOPIX首位も、フジテレビ問題で脚光の「ダルトン」運用ファンドもランクイン(24年12月の国内株ファンド)
Finasee / 2025年1月29日 6時0分
-
過去1年のリターンが「S&P500」インデックスファンド越え! 「米国成長株投資」のパイオニアとは?
Finasee / 2025年1月24日 6時0分
-
「SBI・S・米国高配当株式ファンド」が12月新規設定のトップ! 楽天SCHDを超える勢い
Finasee / 2025年1月23日 7時0分
-
新最高投資責任者(CIO)就任のお知らせ
PR TIMES / 2025年1月15日 18時15分
ランキング
-
1フジ「日枝氏が辞任」でも"CMは戻ってこない"深刻 スポンサーは辞任を求めているわけではない?
東洋経済オンライン / 2025年2月5日 15時30分
-
2NY円相場が2か月ぶり円高水準、1ドル=152円10銭台…日米の金利差縮小を意識
読売新聞 / 2025年2月6日 7時57分
-
3フジ親会社が決算発表 最終利益は7割以上減少か フジテレビ単体で赤字見込み
日テレNEWS NNN / 2025年2月5日 17時45分
-
4台湾ヤゲオ、芝浦電子を1株4300円でTOB 事前連絡なし
ロイター / 2025年2月5日 22時17分
-
5コメ価格なぜ下がらない?「備蓄米」放出で価格は? いつ終わる“令和のコメ騒動”【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年2月5日 21時39分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください