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ビットコイン爆上げの背景に「米国でのビットコイン現物ETF解禁」が…日本への上陸はありえるか?その場合、投資は“アリ”なのか?

Finasee / 2025年1月30日 21時0分

ビットコイン爆上げの背景に「米国でのビットコイン現物ETF解禁」が…日本への上陸はありえるか?その場合、投資は“アリ”なのか?

Finasee(フィナシー)

米国でビットコイン現物ETFが登場し、ますますビットコインが活況

ビットコインを中心とする暗号資産の価格が上昇しています。言うまでもなく、ビットコインは暗号資産の代表格。過去、どのような値動きだったのかを、まずは簡単に説明しておきましょう。

10年前からの足跡をたどると、2014年12月の円建てビットコイン価格は、1BTC=3万8000円程度でした。

1回目の上昇の波が訪れたのは2017年12月のことで、ピーク時の価格は1BTC=160万円超をつけましたが、2019年1月には37万円程度まで調整。2021年3月に652万円程度まで上昇した後、同年6月に384万円まで調整。同年10月には700万円を超え、2022年12月に217万円まで調整。そして2025年1月29日現在では、1BTC=1588万円程度で取引されています。

ビットコインの値動きがボラタイルであることは今に始まった話ではありません。このように過去の値動きを見ると、それがよく分かります。何しろ最初の上昇波動でも、2014年12月から2017年12月までの3年間で、42倍にまで値上がりしたと思ったら、ピークから1年と1カ月で、4分の1になってしまいました。その他のピークとボトムの差を見ても、大体において高値から半分、あるいは3分の1程度の調整は当たり前というのが、ビットコインの値動きです。

昨年以降、ビットコインの取引が活発になってきたのは、米国のSEC(証券監視委員会)が、ビットコイン現物ETFを承認したからと考えられます。

ETFはご存じのとおり、証券取引所に上場される上場投資信託のことです。米国では昨年1月、SECがビットコインを組み入れた現物ETFを承認したことから、11のビットコイン現物ETFが誕生しました。発行体もフィデリティやフランクリン・テンプルトン、インベスコ、ブラックロックなど、投資信託の運用でも非常に有名な運用会社も参入しています。

こうしたビットコイン現物ETFは上場後、堅調に成長しています。昨年末、ブルームバーグが報じたところによると、ブラックロック社がローンチした「iシェアーズビットコイン・トラスト」が、上場後わずか11カ月で、その資産規模が500億ドル(約7兆8600億円)を上回ったということでした。

米SECがビットコイン現物ETFを承認したのは、暗号資産マーケットにとって非常に大きな出来事と言えるでしょう。米国を代表する伝統的運用会社が、ビットコイン現物ETFを組成して上場したことで、これまで海のものとも山のものとも分からないことから懐疑的に見ていた投資家も、ある意味、暗号資産を認めざるを得なくなりました。

また、ビットコイン現物ETFは、個人がビットコインに投資する際のハードルを大きく引き下げました。

これまで個人がビットコインを保有する場合、暗号資産取引所に口座を開設し、かつ設定が難しいウォレットを管理するという行為を、自分自身で行う必要がありましたが、ビットコイン現物ETFはあくまでもETFなので、証券取引と同じ手軽さで売買できるようになります。

一方で手数料などのコストはかかりますが、前述したようにそもそも値動きが極めてボラタイルな資産なので、手数料の負担感は軽くなります。

石破首相は、暗号資産ETFには慎重…日本でビットコイン現物ETFは先の話となりそう

このように、使い勝手の面で優れたビットコイン現物ETFは、日本で購入できるのかという点が関心の対象になるところですが、現時点では残念ながら日本で購入することはできません。日本ではSBIホールディングスが、ビットコイン現物ETFに参入するため、米国の運用会社であるフランクリン・テンプルトンと合弁会社を設立する予定ということが、2024年7月に報じられましたが、現時点で具体的な動きはまだ見えてきません。

これも昨年の話ですが、12月に石破首相が、衆議院本会議の代表質問の場で、暗号資産に一律20%の申告分離課税のルールを適用することに慎重な姿勢を見せました。現在、暗号資産の保有で得られた利益は雑所得扱いであり、他の所得と合算した総合課税になっています。これを申告分離課税にできれば、他の金融資産と同じ税制の土俵に立てることから、それを積極的に推す動きも出ています。

しかし石破首相は、「投資家保護規制が整備されている株式や投資信託のように、暗号資産への投資を国が推奨することが妥当なのか。申告分離課税を適用することに国民の理解が得られるのかなどの課題があり、丁寧な検討が必要である」と答弁しました。それと同時に、「暗号資産をETFの対象にするかどうかは、暗号資産が国民にとって投資を容易にすることが必要な資産かどうかを踏まえて検討する必要がある」とも答えています。

こうした点からすると、日本の証券取引所にビットコイン現物ETFが上場されるのは、それが実現するにしても、まだしばらく先のことになりそうです。

ビットコイン現物ETFへの投資は、資産形成において“アリ”なのか?

ただ将来、日本でもビットコイン現物ETFが承認されたとしても、個人がビットコインなどの暗号資産に投資する際には、資産形成に適している資産なのかどうかを、しっかり考える必要があります。

“まともな(王道の)”資産形成を前提にするならば、暗号資産はポートフォリオの組入対象にはなりえません。理由は「投資」というよりも「投機」の色彩が濃いからです。

投資も投機も似ている面はあるのですが、違いはフェアバリューを推計できるかどうかです。株式や債券は、発行体の資産価値、負債状況などをベースにして、大まかにではありますが、適正な価値がいくらになるのかを計算できます。株式も債券も、投資家は常にフェアバリューを念頭において、現在の市場での取引価格が割高か、それとも割安かをウォッチしています。

対して、暗号資産はフェアバリューの計測が困難です。別な言い方をすれば、暗号資産はただの通貨に過ぎず、そこに実体価値があるのかと言われれば、ないと言うしかありません。実体価値がない以上、フェアバリューを計測することは不可能です。

このように、実体価値がないものをマーケットで取引すると、どうなるのかというと、取引参加者は価格に資金を投じるようになります。「価格が上がりそうだから買い」、「価格が下がりそうだから売り」ということです。実体価値ではなく価格を売買するのが、いわゆる「投機」です。

投機のマーケットは、値動きが荒くなりがちです。フェアバリューがないので、割安だから買う、割高だから売るといった判断ができず、値上がりしているから買う、買うからさらに値上がりする、逆に値下がりしているから売る、売るからさらに値下がりするといったような動きを誘発しやすいのです。結果、上昇局面では暴騰、下落局面では暴落という極めてボラタイルな値動きになるのです。

このように投機に属する資産を、資産形成の対象にすると、どうなるでしょうか。最大の問題は、計画的な資産形成に支障を来すことです。

20年くらいの時間をかけてじっくり育ててきた資産なのに、極めて短期間のうちに半分以下まで、その価格が暴落したら大変です。60歳になって、それまでに築き上げてきた資産を活用しながら、豊かな老後をなどと計画していた矢先、保有している暗号資産の価格が暴落したりすれば、今後の生活設計そのものを見直さざるを得なくなります。

「持ち続ければいつか値上がりする」と言えるのは、運用する時間がたっぷりある30代、40代の人たちの話です。もし暗号資産をポートフォリオに組み入れるのであれば、極めて投機性が強く、資産形成には不向きであることを理解して、資金を投じるべきでしょう。ただ、それを前提に行うのであれば、ビットコイン現物ETFが日本でも承認されれば、それは強い武器になります。承認されてもいないうちにこのようなことを言うのは、誤解を招きかねませんが、恐らくETFの形になれば、少額資金での投資も可能になると期待できるからです。

ポートフォリオのメインはあくまでも株式や債券、それら伝統的資産を組み入れた投資信託で構成し、少額資金でビットコイン現物ETFを買うのは、ポートフォリオに彩りを加えるという意味で、許容されるでしょう。

鈴木 雅光/金融ジャーナリスト

有限会社JOYnt代表。1989年、岡三証券に入社後、公社債新聞社の記者に転じ、投資信託業界を中心に取材。1992年に金融データシステムに入社。投資信託のデータベースを駆使し、マネー雑誌などで執筆活動を展開。2004年に独立。出版プロデュースを中心に、映像コンテンツや音声コンテンツの制作に関わる。

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