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「いざとなれば父親の遺産5000万円がある」と思っていたのに…想定外の事態に見舞われた48歳・会社員男性の悲嘆

Finasee / 2025年2月9日 11時0分

「いざとなれば父親の遺産5000万円がある」と思っていたのに…想定外の事態に見舞われた48歳・会社員男性の悲嘆

Finasee(フィナシー)

「2025年は新年早々、ブラックマンデー級の家計ショックに見舞われた」と嘆くのは高木康二さん(仮名)。住宅関係の専門商社に勤務して25年になる高木さんは家族で大阪に住んでいますが、帰省した都内の実家で80代のお父さまがいきなり相続の話を持ち出したのだそうです。

高木さんのお父さまは元メガバンカー。会社は違いますが同じ銀行員となったお兄さま一家と二世帯住宅で暮らしています。高木さん自身は勤務先の給料がなかなか上がらず息子さんの大学進学資金にも窮した状態ですが、お父さまからはそれなりの遺産相続ができるはずで、それを元手に中古マンションでも購入すれば老後は何とか暮らしていけるだろうと考えていました。

ところが、お父さまが示した遺産分割案は想定外の内容でした。もともとお父さまは優秀な内孫(高木さんの甥っ子)に甘く、少なからぬ援助をしてきました。それを面白く思っていなかった高木さんの奥さまはこの遺産分割案を聞いて怒りを爆発させ、今は家庭内別居のような状態が続いているのだとか。高木さんに事の経緯を聞きました。

〈高木康二さんプロフィール〉
大阪府在住
48歳
男性
会社員
パートの妻、高校生の長男と3人暮らし
金融資産180万円(財形貯蓄や企業年金は除く)

*** 

私は住宅関係の専門商社で働く会社員です。入社して25年、営業職で全国の支店を転々としてきましたが、5年前からは大阪支社勤務となり、市内の賃貸住宅に妻と高校生の息子と暮らしています。実家は都内にあり、15年ほど前に二世帯住宅に建て替えて父と兄一家が住んでいます。

優秀な兄と劣等生の自分…同い年の子どもにも差が出始める

兄は成績優秀で、現役でSランクの大学を卒業し、勤務先こそ違いますが父と同じ銀行員になりました。一方、私は一浪してDランクの大学にやっと滑り込んだ劣等生です。

親の遺伝子の差か、ともに今年18歳になる兄の息子が都内の有名私立高で東大進学を目指しているのに対し、うちの息子は偏差値50の府立高校でサッカーに明け暮れる毎日です。息子はバレーボールの選手だった妻に似て運動神経は悪くなく、部活ではエースナンバーの10番をつけているようです。しかし、そもそも府大会の2回戦止まりの弱小チームなので、サッカー推薦で大学に行けるわけではありません。

父が出来のいい内孫の甥をかわいがり、塾や短期海外留学、中高一貫の有名私立校の学費などを援助しているのは知っていました。それでも、うちの息子が中学や高校に進学した際には結構な祝い金を送ってきたり、来阪した時には息子を高級焼き肉店に連れていってご馳走してくれたりしていたので、まぁ仕方ないかという感じではありました。

しかし、相続となると話は別です。

私の勤務先は薄給で、社宅や住宅手当などの福利厚生もほぼないに等しいこともあって、家計に余裕がありません。息子が中学校に入学してからは妻がパートで働くようになりましたが、それでも、特にここ数年は光熱費や食費、家賃などが大きく上昇する中で給料は一向に上がらず、貯金もできない状態です。

息子の大学進学を控えているのに学費すら満足に用意できず、息子は健気にも「家から通える大学を選んで、学費は奨学金で払う」と言っています。

大学の学費さえ貯められないのですから、住宅資金や老後資金などもっての外です。

最近は定年退職した先輩方から「給料やボーナスが入ってくるだけまだまし。年金生活は厳しいぞ」という嘆き節をよく聞きます。私の勤務先は転勤が多く“家無し”のまま老後に突入する人が少なくありませんが、これがまた厄介なのだそうです。高齢者に貸してくれる家主は少なく、子どものいない先輩などは保証人が見つからず、保証会社に費用を払ってようやく入居できたという話でした。

とはいえ、我が家の場合はいざとなったら親の金で何とかなるのではという思いがありました。

父親の金融資産はまさかの2000万円程度

父はメガバンクに勤務していました。50代でグループ会社に出向しましたが、当時で3000万円以上の退職金を手にし、年金も企業年金と合わせると毎月30万円を超えると聞いています。少なく見積もっても1億円近い資産はあるはずで、その半分は私がもらえるものと勝手に皮算用をしていました。そうすれば、老後は割安な中古マンションを購入して、妻と2人で何とか暮らしていけるだろうと楽観的に構えていたのです。

ところが、捕らぬ狸の何とやらで、そうは問屋が卸しませんでした。

今年の正月実家に帰省した時、父がいきなり相続の話を持ち出したのです。昨年、母の三回忌を終え、自分の財産についてもはっきりさせておく必要があると考えたのかもしれません。そして、その内容は私にとって想定外のものでした。

なんと、父の金融資産は2000万円ほどしかないというのです。

相続税対策で二世帯住宅の建物は既に兄名義に変えてあり、父の相続が発生した際には兄が小規模宅地等の特例(一定の条件を満たせば、相続税の土地評価を80%減らせる制度)を使って土地を引き継いで、私はその代償として2000万円のうち1000万円を受け取り、残りの1000万円は葬儀や今後の“墓守費用”として兄が預かるというシナリオでした。既に遺言書も準備してあるとのことでした。

これにはうろたえました。今どき1000万円では中古マンションも買えません。“机上の老後計画”が大きく狂ってしまいます。

あまりのショックで頭の中が真っ白になり、義姉が用意してくれた豪華なおせち料理の味さえ分かりませんでした。

●大きく計画が狂ってしまった高木さんの老後計画。やがて妻との関係にも変化が表れてしまい……。気になる結末は、後編【あまりのショックで頭の中が真っ白に…「裕福な兄一家より我が家を助けて」親の遺産分割で大きく狂った老後計画】で詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

森田 聡子/金融ライター/編集者

日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。

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