ディズニー運営のオリエンタルランド、価格改定や新エリア「ファンタジースプリングス」が収益けん引
Finasee / 2025年2月13日 7時0分
![ディズニー運営のオリエンタルランド、価格改定や新エリア「ファンタジースプリングス」が収益けん引](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/finasee/finasee_15353_0-small.jpg)
Finasee(フィナシー)
1月30日発表されたオリエンタルランド(証券コード:4661)の2025年3月期第3四半期決算を受けて業績予想のアップデートを行った。まずオリエンタルランドが発表した実績値とわれわれの予想の差異について確認していく。
![](https://finasee.ismcdn.jp/mwimgs/7/f/800m/img_7f797d3b1713a70cbce33b27512597df119926.png)
予測と実績を比較すると、売上高は予想の182,205百万円に対して実績が207,905百万円と大幅に上回る結果となった。この大幅な上振れの主な理由は、テーマパーク事業における第2四半期の来場者数減少が猛暑による一時的な影響であり、40周年イベント終了後もコンテンツ力が維持されていることが証明されたためだ。また、収益構造の強化も進んでいる。アトラクション・ショー収入のうち1割強を占めるディズニー・プレミアアクセスの好調や、ファンタジースプリングス関連商品の販売増、変動価格制による高価格帯チケット構成比の増加といった価格戦略の成功により、来場者数に左右されない収益基盤が確立されつつある。
商品販売収入はファンタジースプリングス関連商品やイベント関連商品が好調だった一方、飲食販売収入は予想を上回らなかった。これはファンタジースプリングスの人気が予想以上で、待ち時間増加によりパーク内の回遊時間が減少したためだ。
ホテル事業の売上高も予想26,138百万円から実績31,361百万円となり16.7%上回った。この好調の要因は、ファンタジースプリングスホテルの開業効果に加え、客室単価が前年同期比17.6%増の64,112円となるなど、レベニューマネジメントの導入による価格の最適化が進んでいるためだ。
同社は決算開示と同時に通期予想を据え置いた。第3四半期の業績が10月時点の想定に対して順調に進捗したためだ。足元ではスペシャルイベント「ディズニー・パルパルーザ」の第3弾が好評であり、ほかにもダッフィー&フレンズのイベントや夜間券の増枠、商品店舗の運営時間延長などさまざまな施策も予定されている。
また、10月に開示した通期営業利益の想定(期初予想から約100万人の入園者数減少を見込むものの、テーマパーク事業の収入やコストコントロールにより1,700億円を達成するという想定)に変更はない。2025年4月には次期中期経営計画を発表する予定で、キャピタルアロケーションを含めた新たな成長戦略の方向性が示される見通しだ。
![](https://finasee.ismcdn.jp/mwimgs/8/c/800m/img_8c9f962424a8ad588933e7c4716522bd615421.png)
![](https://finasee.ismcdn.jp/mwimgs/e/5/800m/img_e540f56f6ed1b1e24ccb90be2bbba4c746352.png)
今回の決算開示を受け、上図の通り業績予想モデルの更新を行った。具体的には、ホテル事業の平均客室単価の成長率を前回のモデルでは前年同期比で横ばいとしていたが、平均+8%に修正した。
PERAGARUの来場者滞在時間データによると、1月中旬時点でパーク内の滞在時間は前年同月比で2%減と昨年と同水準で推移し、好調を維持している。なお、このデータは1人当たり売上高が平均値より高い傾向にある外国人来場者の滞在時間を含んでおらず、インバウンド需要が好調な現状を考慮する必要がある。
![](https://finasee.ismcdn.jp/mwimgs/d/9/800m/img_d9c8dd29e48795573ce5427d69f5d6a0120218.png)
第3四半期はファンタジースプリングスの効果とディズニー・プレミアアクセスの好調に加え、高価格帯チケット戦略の成功により、営業利益は前年同期比増益を達成した。同社によると通期では、従来のイベント施策に加え、カレッジパスポート販売など新たな施策も実施される予定で、期初予想の1,700億円達成を目指すとのことだ。また2026年3月期については、ファンタジースプリングスの通年稼働が業績をけん引する見込みだ。
他方で、国内旅行需要の動向や、値上げ施策の継続性については不透明感が残る。特に、ディズニー・プレミアアクセスの価格設定や予約システムの変更(事前予約制)など、収益性と顧客満足度のバランスについては注視が必要だろう。
今後の投資判断には、これらの点を総合的に考慮する必要がある。
handsオルタナティブデータのプロバイダー。購買情報や位置情報といった様々なデータを株式投資に役立つ指標として加工し、Webサービス「PERAGARU」を通じて機関投資家や個人投資家に提供している。
橋本 達也/株式会社hands アナリスト
機関投資家向けの日本株リサーチサービス「PERAGARU」の運営メンバーでアナリスト。主に小売と食品を主要領域とし、オルタナティブデータを用いた分析が得意。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「ニッピコラーゲン100」のニッピ、足立区再開発「ポンテグランデTOKYO」に伴う不動産売却に期待
Finasee / 2025年2月12日 6時0分
-
日産・ホンダの経営統合の影響は? 完成車輸送「ゼロ」の最新業績予想
Finasee / 2025年1月21日 7時0分
-
工場や建設現場における「ローカル5G」の需要拡大見込む日本アンテナ
Finasee / 2025年1月20日 7時0分
-
TVCM出稿数から予想される、人材管理システム「カオナビ」の営業利益上振れ
Finasee / 2025年1月17日 7時0分
-
「物流2024年問題」による勤怠管理サービス需要を捉えたヒューマンテクノロジーズ
Finasee / 2025年1月17日 6時30分
ランキング
-
1生成AIが引き起こす深刻な「電力不足」解決のカギ 検索エンジンと比べても生成AIは電力爆食
東洋経済オンライン / 2025年2月13日 8時0分
-
2サバ激減…漁獲量が数年で半分に 「仕入れられない」鮮魚店悲鳴 メニュー変更余儀なくされる飲食店も
日テレNEWS NNN / 2025年2月12日 21時22分
-
3ホンダ内部から不満「三部社長と内田社長が話して決めたことが、日産社内ですぐ覆される」〈大型再編“破談”の舞台裏〉
文春オンライン / 2025年2月12日 6時0分
-
4TOKIOにスピード負けした「ジェットカー」の“本当の実力”、“激安100円電車”、“えらい高い電車運賃”の理由《関西私鉄よもやま話》
NEWSポストセブン / 2025年2月12日 15時54分
-
5〈マクドナルド最高益〉“3年で100店舗以上の純増”目指すも気になる「本国の失速」とセブン-イレブンとの共通点
集英社オンライン / 2025年2月13日 7時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)