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自営業者必見!iDeCo、小規模企業共済etc.節税も資産形成も叶えるには?

Finasee / 2021年1月29日 2時0分

自営業者必見!iDeCo、小規模企業共済etc.節税も資産形成も叶えるには?

Finasee(フィナシー)

相談者のプロフィールとお金データ
【滝沢 透(仮名)さんプロフィール】 45歳、フリーランスのカメラマンをしている(独立前は会社員)。会社員の妻と2人で暮らす。神奈川県在住。
【寄せられたお悩み】 「現在、個人事業の売上はまずまずですが、会社員の妻はともかく私は現在国民年金のみで、将来の保障に不安があります。 公的年金については、20歳以降全ての期間が保険料の納付期間(会社員時代の厚生年金加入も含む)となっており、順調にいけば60歳までで40年納付に達しそうです。 老後を迎え、廃業した時に備えるため個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)に加入し、できるだけ長く掛金を拠出したいと考えています。ルール変更により、60歳以降も加入できるようになると聞きましたが、これからどのように変わるのでしょうか。 現状、将来に備えるための制度には入っていませんが、iDeCoの他にも何か良い制度があれば知りたいです。自営業なので節税にもつながれば嬉しいです」
【お悩みの論点】 ①公的年金以外で、老後に備えるための制度はあるか          ②①の一つとしてiDeCoへの加入を考えているが、近々制度が一部変更になると聞いた。どう変わる? ③他に将来に備えるための制度、特に節税にもなる制度はないか資産状況や月々の収支内訳
【資産状況】 世帯の金融資産額:1000万円
内訳 預貯金:1000万円
【収支】 <収入> ・世帯の毎月の手取り収入:45万円 ・手取りの年収:600万円(妻の賞与込み) <支出> ・毎月の出費:45万円(詳細以下)

※その他には、服飾費や美容費、雑貨費などが含まれる

***


サラリーマンを退職して、個人事業主として独立し夢をかなえている滝沢さん。事業も順調に進んでいるようですが、将来のことについても気になり始めている頃ですね。国民年金だけでは不安とお考えとのことですので、すでに耳にしたことがあるというiDeCoを含め、将来に備えるいくつかの案をご提案します。

iDeCoは節税メリット大 ただし、途中でお金を引き出せないことに注意を

確定拠出年金は会社や加入者が掛金を拠出し、加入者が自己責任で運用商品を選んで運用し、その運用結果によって将来年金を受け取るという、私的年金制度となります。iDeCoと企業型確定拠出年金がありますが、選択した商品とその運用結果によっては高いリターンを期待できる一方、元本割れすることもあります。

そのうちiDeCoは個人事業主、専業主婦、公務員、私立学校教職員、企業型確定拠出年金に加入していない会社員などを対象とした制度で、個人で加入し、加入者が掛金を拠出することになります。現行制度上、加入は60歳までできます。

公的年金の被保険者の種別や他の年金制度の加入有無によって掛金の上限額が異なりますが、個人事業主など国民年金第1号被保険者は最大で月額6万8000円、年額81万6000円拠出することができます。掛金は小規模企業共済等掛金控除としてその全額が控除対象となりますので、民間の個人年金と比べると、節税効果も大きいものとなります。さらに、運用益も非課税です。

ただし、加入して掛金を拠出してから解約することはできず、60歳を迎える前に急な資金が必要になった場合に、運用しているお金を引き出して使うことができません。

iDeCoの改正とその注意点

法改正により、2022年5月以降、60歳未満の人だけでなく、60歳以上65歳未満の人も国民年金被保険者であればiDeCoに加入することができるようになります。もちろん運用結果に影響されますが、拠出できる期間が長くなると、将来受け取る年金を増やすことも可能となります。

しかし、現在滝沢さんは、国民年金に第1号被保険者として加入中で、このまま60歳になるまで国民年金保険料を納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金(2020年度:年額78万1700円)が受けられることになる一方、20歳から60歳になるまで480月納付期間があるため、60歳以降国民年金の任意加入被保険者にはなることができないことになります。従って、滝沢さんは60歳まで15年はiDeCoに加入できることになりますが、60歳以降国民年金の任意加入によってのiDeCoへの加入はできませんので注意が必要です。

では、このような場合に60歳以降にiDeCoに加入する方法はないでしょうか。国民年金の第2号被保険者になれば60歳以降65歳になるまでiDeCoに加入できるようになります。厚生年金の被保険者でもある国民年金第2号被保険者は会社員や公務員を主に指しますが、会社から役員報酬を受け取る会社経営者も該当します。現在、滝沢さんは個人事業ですが、個人事業から会社組織に法人化すれば、第2号被保険者となり、65歳までiDeCoに加入することも可能となります。同時に、公的年金の老齢厚生年金も増やすことができ、公的年金も2階建ての保障となります。注意点としては、第2号被保険者になるとiDeCoの掛金上限は月額2万3000円(年間27万6000円)になりますので、この点を考慮しないといけません。法人化により企業型確定拠出年金の加入対象にもなれますが、企業型の導入次第で掛金上限額もさらに変わりますので、その点について考える必要性も出てくるでしょう。

また、法人設立については費用がかかり、公的年金保険料は定額の国民年金保険料ではなく、報酬に応じた厚生年金保険料に変わり、事業の利益に対してかかるのは所得税ではなく、法人税となりますので、事業の今後の状況も見ながら、法人化の検討が必要でしょう。

iDeCo以外の制度として、国民年金基金や付加年金も

iDeCo以外に将来に備えられる制度として、国民年金第1号被保険者は、上乗せで国民年金基金に加入することができます。終身年金(A型、B型)、確定年金(Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅴ型)があり、それぞれ掛金や加入年数に応じた年金が受け取れることになります。全額社会保険料控除の対象になり、節税も可能ですが、国民年金基金に加入すると、掛金の上限はiDeCoと合わせてで月額6万8000円となります。また、付加保険料を納めることができません。

付加保険料は国民年金保険料に併せて納められる保険料で、1月400円で、1月の納付につき年額200円の付加年金が受け取れることになります。付加保険料を納める場合のiDeCoの掛金の上限は月額6万7000円になります。

また、先述の法人化によって第2号被保険者になると、国民年金基金、付加年金いずれも対象とならず、掛金、保険料は納められません。

個人事業主向けの退職金制度、小規模企業共済制度にも注目を

iDeCoの掛金上限額に影響を受けずに掛けられる、個人事業主向けの制度は何かないかも気になるところですが、個人事業主、小規模な会社経営者向けの退職金制度として小規模企業共済制度があります。毎月掛金を積み立て、65歳になった際に、あるいは事業を廃業した際に、退職金に当たる共済金を受け取ることができます。

月額1000円から500円単位で掛けることができ、最大で月額7万円、年間84万円まで掛けることができます。こちらの掛金も、その名のとおり小規模企業共済等掛金控除として全額が控除対象となり、節税が可能です。「預金の一部を小規模企業共済に移す」とイメージでき、預金を移しながら、税金の負担も軽減できることになります。

掛金は変更することもできますし、毎月納付ではなく、年払いなど一括で納付することも可能です。ご自身がされている事業の成績は年によって変動することもありますが、利益が多い場合は多く掛けて節税するのも1つの方法です。任意に解約することは可能ですが、その場合、加入期間によっては、受け取れる解約手当金が拠出した掛金の合計額を下回ることもありますので、やはり長く掛け続けることを前提で加入したいところです。

急な出金には備えられるよう預貯金額も考慮しながら、拠出を始めよう

以上のようになりますが、現在、月の手取り収入から預貯金へと月額10万円回せるお金があるうち、全てこれらの制度に使うと、いざ現金が必要になる際に用意できないことにもなりますので、毎月預貯金もしておきたい場合はまずは各制度合わせて月額5万円程度の拠出をしてみてはいかがでしょうか。あるいは「すでにある預貯金1000万円でいざという時に備える」ということでしたら、さらに月額5万円を超える額で拠出してみてもいいでしょう。

会社で手続きしてもらえる会社員の方と異なり、年金の保険料や掛金は自分で手続きをして備えないといけませんが、個人事業の方向けの将来に備える制度はいくつもありますので、事業の推移や預貯金の額を見ながら、将来への備えをしていただけると良いですね。

五十嵐 義典/ファイナンシャルプランナー

よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員、服部年金企画講師。専門分野は公的年金で、これまで5500件を超える年金相談業務を経験。また、年金事務担当者・社労士・FP向けの教育研修や、ウェブメディア・専門誌での記事執筆を行い、新聞、雑誌への取材協力も多数ある。横浜市を中心に首都圏で活動中。※2024年7月までは井内義典(いのうち よしのり)名義で活動。

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