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「株で含み損200万円あり」ここから資産を増やす鍵は貸株制度と投資信託に

Finasee / 2021年5月11日 2時0分

「株で含み損200万円あり」ここから資産を増やす鍵は貸株制度と投資信託に

Finasee(フィナシー)

相談者のプロフィールとお金データ
【堺 直也さん(仮名)プロフィール】 52歳、千葉県でスポーツ用品店を営む。会社員の妻と2人で暮らす。「貯蓄から投資へ」のフレーズを聞き、5年前よりネット証券口座を開設し、株式投資を始めた。
【寄せられたお悩み】 「5年前に株式投資を始め、現在300万円分ほど所有。しかしながら、所有銘柄のほとんどが含み損を抱えており、現在保有している銘柄全体でマイナス200万円、つまり500万円の元本が6割にまで落ちていることになります※。 さらに、どの銘柄も配当金も株主優待も期待できない状況です。まだ損切りはしたくないと考えていますが、どうにかならないものかと考える今日この頃です。 また、60代が近づき、リスクを抑えた資産形成も考えなくては…とも考えます。株よりはリスクの少ないと聞く投資信託についても教えてほしいです」 ※編集部注…5年の間に“利確”して手放した株も多数あるが、含めていない
【お悩みの論点】 ①配当金も株主優待もない塩漬けの株は損切りをしたくない、何か元を取る方法はないか? ②その方法があるとしたら注意点は何か? ③株式投資よりリスクの少ないと聞く投資信託についても教えてほしい資産状況や月々の収入など
世帯の金融資産額:800万円 内訳 預貯金:500万円 株式:300万円 ※iDeCo口座内の資産はここには含めていない
<収入> ・世帯の毎月の手取り収入: 50万円 ・手取りの年収: 600万円(ボーナス込み)
<資産形成のための支出> 毎月、手取り収入から…… ・5万円で株式の新規購入 ・3万円をiDeCoでの積立のために拠出 ・7万円を貯金に回している

***

株式投資を始められて5年の堺さん。順調に売却益を確保できた銘柄がある一方、株価が下がって、含み損を抱えたまま、元に戻らないままでいる銘柄も多いとのことですね。

1つご提案できることとして「貸株制度」というものがありますので、そこから解説していきます。

貸株制度を活用して貸株金利を受け取る!

保有している株式について、貸株制度を活用して貸株金利を受け取る方法があります。

貸株制度を利用すると、保有している株式を証券会社に貸すことになり、さらに証券会社は機関投資家等が参加する貸株市場に貸すことになりますが、株式を貸した株主(個人投資家)はその貸出期間中についての貸株金利を受け取ることができることになっています。

これは貸し出した株式のレンタル料とも言えます。受け取れる貸株金利の利率は銘柄によって異なります。0.1%程度の銘柄もあれば、5%以上ある銘柄も、さらには10%ある場合もあります。

長期間含み損を抱え続け、しかも配当金も株主優待もない銘柄については、このままではただ保有しているだけという状態です。毎月貸株金利を受け取ることにより、多少なりとも利益を享受することができます。

貸株制度で貸し出し中の銘柄であっても、当該銘柄を売却したくなった時は通常の株式と同じく自由に売却できます。

さらに、配当金を受けられる銘柄を貸株として貸していたとしても、配当金相当額(源泉徴収後の受取配当金に相当)として受け取れることになっています。証券会社での設定次第では、配当金相当額ではなく配当金として受け取ることもでき、株主優待が設けられている銘柄についての株主優待を受け取ることもできます。

知っておくべき「貸株制度」の注意点は?

このように、特に塩漬け株には有効な貸株制度ですが、注意点もいくつかあります。

1.NISA(少額投資非課税制度)で保有している銘柄は、貸株制度は適用されない
特定口座や一般口座で所有する銘柄で使える制度です。

2.貸株金利も変動する
たとえ現在は高い利率であっても、時には大幅に下がることもあります。

3.貸株制度から受け取れる貸株金利や配当金相当額は雑所得。確定申告が原則必要
通常、特定口座・源泉徴収ありの場合、売却益や配当金について税金が源泉徴収(所得税及び復興特別所得税が15.315%、住民税が5%、合計20.315%)されるため確定申告が不要ですが、貸株制度から受け取れる貸株金利や配当金相当額は雑所得として、他の所得と総合課税されることになり、原則、確定申告が必要です。配当金相当額は受け取る際に源泉され、受け取った金額について雑所得として課税されるため、二重課税になるとさえ言われています。雑所得は特定口座の損益通算もできません。

他には、株主優待制度を設けている銘柄で貸株制度を利用しつつ、証券会社での設定次第で株主優待も受け取ることもできますが、継続保有している期間の長さによって受けられる優待の内容が異なる場合、貸株期間がその保有期間として通算されないこともありますので、その点も注意が必要でしょう。

また、万が一の話にはなりますが、貸し出し中は株式の名義が個人投資家本人ではなく、証券会社になっていることから、当該証券会社が倒産・経営破綻すると、その株式が自身の元に戻って来ない恐れがあります。通常、投資家の株式は証券会社の財産と分別管理され、投資家の財産について投資者保護基金による保護があるところ、貸株については分別管理の義務がなく、保護の対象外となっているからです。

貸株制度を利用する場合、メリット、デメリット両方がありますが、これらの特徴をよく理解して利用する必要があるでしょう。

株式よりもリスク分散の効いた、投資信託も選択肢に

60代も近づきつつあり、これからはあまりリスクを取りたくないとのこと。確かにこれから先、投資で大きな損失を出して資産を減少させると、老後の生活が不安になりそうです。これからはより安全な投資先、投資方法についても考えたいところですね。

株式投資以外の投資方法の1つである投資信託について気になるとのことですが、投資信託は、投資家から集めた資金を、運用のプロが複数の株式・債券などに運用し、その運用成果について、投資額に応じて分配を受ける金融商品となっています。

投資先は、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式、不動産などがあり、商品ごとにリスクとリターンが異なります。譲渡益や普通分配金は所得税及び復興特別所得税、住民税の課税対象となりますが、NISAを活用して投資すれば5年間非課税となります。

個別の株式へ投資すると、当該企業が倒産した場合に、損が確定してしまい、その損失も大きなものとなりますが、投資信託は元本保証こそないものの、分散投資をしているためリスクを軽減することができます。その点は、個別株とは異なる投資信託の魅力でしょう。

少額から投資もできますので、毎月の株式への投資額5万円を今後はいくらかでも投資信託に変えてみてはいかがでしょうか。

将来に向けての資産運用を続けられていることですが、今回の内容を元に、少しでも損失を減らし、逆に少しでも資産を増やして、将来安心できるようになるといいですね。

まとめ
●塩漬けにしたままではなく、貸株制度の活用を(ただし、デメリットも十分に理解した上で!)
●60代を見据え、株式よりもリスク分散ができる投資信託による運用も検討を

五十嵐 義典/ファイナンシャルプランナー

よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員、服部年金企画講師。専門分野は公的年金で、これまで5500件を超える年金相談業務を経験。また、年金事務担当者・社労士・FP向けの教育研修や、ウェブメディア・専門誌での記事執筆を行い、新聞、雑誌への取材協力も多数ある。横浜市を中心に首都圏で活動中。※2024年7月までは井内義典(いのうち よしのり)名義で活動。

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