“ブレた”柏に忍び寄る3度目の「J2降格危機」 剣が峰のラスト2戦で腹を括れるか

Football ZONE web / 2018年11月9日 17時10分

■直面した王者川崎との一戦で加藤監督が手放したもの

 劇的な下剋上の繰り返しは、Jリーグの特色でもある。昨年後半からすっかり沈み込んでいたガンバ大阪が、宮本恒靖監督を迎えるとともに連勝街道へと転じ、逆に今年前半を独走したサンフレッチェ広島がゴールを目前に突然黒星を重ねている。そして近年、J1制覇からJ2降格まで忙しく浮き沈みをしてきたという点では、柏レイソルも似た性質を持つ。

 前年4位、天皇杯もベスト4。着実にアカデミーから優秀な素材を引き上げ、一方で的確な補強をした今年は、むしろ上昇しか想像できなかった。ところが守護神の中村航輔、昨年の躍進を支えた手塚康平、守備の要になる中山雄太と故障者が相次ぎ、そのパートナーだった中谷進之介は夏に名古屋グランパスへ移籍。不測の事態が続き、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)が組み込まれた過密日程の影響もあり、スタートダッシュに失敗し監督が代わった。

 ラスト4試合の時点で17位。もしJ2で、J1ライセンスを持たないFC町田ゼルビアが3位以下に終わり自動昇格が2チームとなれば、柏のクラブ史上3度目となる自動降格が決まる。

 しかも直面したのは、王者川崎フロンターレとのアウェー戦。加藤望監督には、なんとか勝ち点1でも、という悪魔の声が聞こえたのだろうか。

 結局、柏は“ブレた”。

 加藤監督は、あくまで「後ろを3枚」と話したが、現実的には際立って低いゾーンでブロックを形成する5-4-1。左のワイドに起用された攻撃参加が持ち味の亀川諒史は、常に最終ライン近くで家長昭博との1対1の対応に追われ、ボランチの大谷秀和はパスの出しどころを探す間に小林悠にボールを奪われ、サイドに回った江坂任の持ち味は消えた。最前線に起用されたオルンガはボールを収められず、伊東純也は無理にでも単独突破を繰り返す。川崎のワンサイドゲームが3-0で閉幕すると、柏のサポーターが陣取るゴール裏スタンドからは「望、辞めてくれ」「今、辞めろ」などと辛辣な声が相次いだ。

■1年前の川崎戦では「意地でもつなげ」と送り出され勝利

 ちょうど1年前、柏は同じ川崎のホーム、等々力陸上競技場で天皇杯準々決勝を戦い、1-0で退けている。当時の下平隆弘監督は、こう言って選手たちを送り出したそうだ。

「意地でも(ボールを)つなげ」

 つまり昨年の柏は、若い選手たちを中心に川崎に負けない支配力を持つチームを作ろうとしていた。

 そして現在の柏も、その潜在能力を秘めている。それは首位を争う広島を3-0で下した第29節の一戦や、川崎戦の3日後に行われた第32節で従来の4バックに戻した鹿島アントラーズ戦の試合内容が証明している。

 もちろん現実を目の前にして、勝ち点1でも拾い上げたい心理は理解できる。だが結局は、そんな剣が峰でも腹を括れる監督、あるいはそういう監督を擁すクラブが、常勝や安定に近づいているようにも見える。

 第32節、柏に3-2と競り勝った鹿島は、3日前のACL決勝第1戦からスタメンを総入れ替えして臨んだ。それでもピッチに立った11人には、鹿島というクラブの一員として何を肝に銘じ、どんな戦いをするべきなのかが、しっかりと浸透していた。(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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