日本代表「アジア杯初戦出場12人」を金田喜稔が採点 “5つ星”選手、がっかりした選手は?

Football ZONE web / 2019年1月11日 11時42分

■格下のトルクメニスタン相手に3-2と辛勝 2ゴールの大迫に最高評価

 日本代表は9日にUAEで開催されているアジアカップのグループリーグ初戦に臨み、FIFAランキング127位のトルクメニスタンに3-2と勝利した。2011年以来2大会ぶり5度目の優勝を狙うなか、格下相手に先制点を許す苦しい展開となったものの、FW大迫勇也の2ゴールとMF堂安律の一撃で辛くも逆転勝利。思わぬ苦戦を強いられながら、なんとか白星スタートを飾った一戦で、インパクトを残した選手は誰だったのか。

 1970年代から80年代にかけて「天才ドリブラー」としてその名を轟かせ、日本代表としても活躍した金田喜稔氏が、トルクメニスタン戦に出場した全17選手を5段階で評価(5つ星が最高、1つ星が最低)。金田氏は日本を勝利に導く2ゴールを奪った大迫に最高評価を与えるとともに、左サイドのコンビが見せた修正力も称賛した。

  ◇    ◇    ◇

<FW>
■大迫勇也(ブレーメン)=★★★★★

 大会初戦の前半に相手に先制点を奪われるという難しい状況のなか、自らの2ゴールで流れを一変させた。文句なしのこの試合のMVPであり、一番点を取ってほしい選手が、今大会に最高の形で入っていけたのは、チームとしてとても大きい。ポストプレーではもっと収めてほしいシーンはあったものの、FWとしては守備的な相手に囲まれスペースを見出しに難い試合。そのなかでも得点にしっかりと絡んだポジショニング、決定機での冷静さを見ると、やはりチームで最も代えがきかない選手だと再認識させられた。

<MF>
■堂安 律(フローニンゲン)=★★★★

 前半の1失点目は堂安のミスからだったが、中島翔哉(ポルティモネンセ)が怪我で不在となった状況のなかで、大会初戦で1ゴールを奪えたことは評価したい。失点につながるミスをしたというのは本人が一番認識していたはずで、そのなかで結果を出したところに堂安のメンタル面の強さが見えた。日本が決勝まで勝ち進めるか否かは、堂安の成長力に期待するところが大きいだろう。

■南野拓実(ザルツブルク/→後半27分OUT)=★★★

 消える時間が多かった。その最大の要因は、相手が5バックと中盤4枚で自陣深い位置のスペースを消して守っていたからだ。昨年の親善試合のように、周囲の選手と近い距離を保ち、パスを回して崩していくような状況ではなかっただけに、南野が堂安や原口の前をダイアゴナルに走ってサイドへ流れていくなど、もう少し異なるプレーを選択しても良かっただろう。大迫との距離感を意識しすぎたのかもしれないが、相手があれだけゴール前に人数をかけて守ってくる展開では、自らが動いて囮となりボランチが上がるスペースを作るなど、攻撃全体にダイナミズムを生み出す工夫がほしい。


後半の反撃を生んだ原口【写真:AP】

■後半の反撃を生んだ原口「左サイドに張って持ち味を発揮」

■原口元気(ハノーファー)=★★★★

 前半はどちらかというと中寄りにポジションを取って、2列目を組む南野と堂安と近い距離でプレーするという中島のようなプレーをしようという意識が頭の中にあったのかもしれないが、良い形でほとんどボールに触れていなかった。後半は左サイドに張ることで、本来の原口の良さであるドリブルで中に切り込んでからのパスなど、持ち味を発揮。左サイドバックの長友とも良好な関係を築き、サイドの幅を使った攻撃を仕掛けることでトルクメニスタンの守備を攻略した。少し時間はかかったものの、試合の中で修正力を発揮したところに、ロシア・ワールドカップでベスト16まで戦った選手の経験値を感じた。

■冨安健洋(シント=トロイデン)=★★★

 20歳の選手がアジアカップ初戦という難しい一戦で、A代表の公式戦で初めてボランチに入ったという状況を考えれば、プレーに不慣れな面があったのは致し方ないだろう。ビルドアップ時には柴崎とともに縦パスへの意識を高く持っていたが、特に前半はあれだけ相手守備陣に縦パスが入った瞬間を狙われていたのなら、そこにこだわりすぎることなく、もう少しシンプルにサイドを使っても良かった。また守備面でも右サイドの堂安がプレスに行った時、冨安も連動して近い位置にポジションを取ったが、サイドチェンジされた時に今度はコンビを組んだ柴崎が左サイドに寄せて、2人の距離が開いたまま上がっているシーンが1試合を通して目立っていた。カウンターから相手に中央のスペースを突かれピンチを招いた場面もあり、ボランチのポジショニングとして一人はセンターに構えてバランスを取るなど、ボールを取られるかもしれないと予測したうえでのリスク管理を徹底してほしかった。

■柴崎 岳(ヘタフェ)=★★★

 経験の浅い冨安とコンビを組んだなか、パスやポジショニングなど特に前半は不安定だった。後半はビルドアップでサイドチェンジを多用するなど、相手の足を止めるパスワークはさすがだったが、今季所属クラブで思うようにプレーできないことで、コンディションを取り戻せていないと感じるシーンもあった。個人的に一番がっかりしたのは、後半42分頃にハーフウェーライン付近で柴崎が完璧に自分の足下にボールが収めてルックアップし、右サイドを走る堂安の姿を見て相手の背後へと狙いすましてパスを送った場面。柴崎なら、あれは目をつぶっても堂安にパスを通せた場面だが、この時はキックがインフロントにかかってしまい、相手GKへと流れてしまった。前半には堂安のヘディングを導く好パスを出していたが、全体的には本調子とは言い難いパフォーマンスだった。


いつもの酒井らしさを発揮できていなかった【写真:©AFC 】

■“不動の右SB”酒井に物足りなさ「フィジカルコンディションが落ちていた印象」

<DF>
■酒井宏樹(マルセイユ)=★★★

 いつもに比べると、パスミスなどが多かった。前半にイエローカードを受けたこともプレーの積極性に影響したのかもしれないが、全体的なフィジカルコンディションが落ちていた印象で、いつもの酒井らしさを発揮できていなかった。引き続き堂安と右サイドで縦関係を組んでいるが、もう少し2人で崩す形を作りたかった。

■吉田麻也(サウサンプトン)=★★★

 そんなに悪い出来ではなかったが、格下相手の2失点というのはディフェンスリーダーとして不満の残る内容だ。槙野とのベテランコンビでセンターを組みながら、簡単に1本のパスで背後を取られるシーンもあり、前述したボランチのポジショニングについても、実際に指示は送っていたのだろうが、1試合を通じてバランスの悪さを修正できなかったのは、後方に構える彼らにも責任はある。クラブからの合流が遅かった点も踏まえて、第2戦以降でパフォーマンスを上げてくることに期待したい。

■槙野智章(浦和レッズ)=★★★

 的確なカバーリングで相手の突破を防ぐシーンが見られた一方、1対1の局面では振り切られる場面もあった。吉田とのコンビは経験豊富なだけに、中央の守備は大崩れすることなく安定。もっとも格下相手に2失点を喫した日本の守備組織を、吉田とともに試合中のコーチングなどでもう少し修正したかった。

■長友佑都(ガラタサライ)=★★★★

 前半はチーム全体が低調で、下手したら0-2とされていてもおかしくない試合のなかで長友自身も持ち味を発揮しきれていなかった。そのなかで後半、見事に修正。左サイドで原口とともに起点を作り、トルクメニスタンの守備を揺さぶった。特に2点目のシーンでは、左サイドに張った原口のヘディングでの落としを、内側から走り込んでクロス。大迫への好アシストで勝利に貢献した。


GK権田修一【写真:Getty Images】

■1失点目の場面でのGK権田は「あまりにも警戒感がなかった」

<GK>
■権田修一(サガン鳥栖)=★★

 1失点目のミドルシュートは、堂安がボールを失って中盤でつながれて、打ってくるような位置ではないところから決められた。相手のシュートは確かに素晴らしいものだったが、初戦という難しい一戦で何が起こるか分からないなか、あまりにも警戒感がなく、打ってくるかもしれないという構え方ができていなかったと思う。経験のあるGKだけに、そこは慎重に入ってほしかった。今大会のボールがJリーグでの使用球と異なり、伸び方や曲がり方が異なった点も影響したのだろうが、前半にはCKを1本被って決定機を与えていた。好セーブでピンチを凌いだシーンもあったが、PK献上による2失点目も含めて守備に安定感を生み出せなかった。

<途中出場>
■北川航也(清水エスパルス/FW/←後半27分IN)=★★

 ある意味、最も目立ったのはボールを失い、2失点目につながるPKを与えたシーンになってしまった。昨季のJリーグで見せたようにポテンシャルは高く、森保監督もセンターフォワードとトップ下を務められるユーティリティとして期待しているはず。だが、出場時間が15分だろうが20分だろうが、途中出場の選手として決定的なシーンに絡めないと評価はできない。強い気持ちを持って溌溂さや積極性、プレーの迫力を見せて、アタッカーとしてもう一皮むけてほしい。

[PROFILE]
金田喜稔(かねだ・のぶとし)

1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。(Football ZONE web編集部)

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