ドイツサッカーと新型コロナ感染 陽性反応のハノーファーDF「遠い世界のことが…」

Football ZONE web / 2020年3月26日 21時10分

■【ドイツ発コラム】初の感染者となったハノーファーDFヒュバース、原口らチーム関係者は14日間の自宅隔離

 日本代表MF原口元気が所属するハノーファーのDFティモ・ヒュバースに新型コロナウイルスの陽性反応が出たとクラブから公表されたのが、3月11日。その後、DFヤネス・ホルンにも陽性反応が出たことで、選手はもちろん、チーム関係者は14日間の自宅隔離を余儀なくされる事態となった。ドイツで初めてのケースだっただけに、大変な事態だったことだろう。

 ヒュバースは当時の心境について、次のように明かしている。

「僕にとって最初は全然現実的なものではなかったんだ。もちろん、メディアを通じてウイルスに関するニュースは読んでいたよ。でも、どこか遠い世界のことだと思っていた。ウイルスがドイツにも到達しているなんて感覚は本当になかった。それがその感覚を持った時が、自分が感染した時だなんて。ウイルスに関して措置は凄いことになってきている。でも、そうすることが正しいと思うんだ。サッカーはとても素敵なものだ。でも人生には、もっと大事なものがある。みんなの健康と社会のあり方は特にそうだよ。そのために僕らサッカー選手も、自分たちにできることで貢献しないと」

 自宅隔離中の選手はチームからトレーニングプランを受け取り、可能な限りコンディションを維持する以外やりようがない。今やるべき最善の策であることを関係者は皆理解し、それぞれで日常生活をやり繰りしている。とはいえ、1日の多くの時間、何もしないでじっとしているのは、ハードにトレーニングをするよりもずっときついことだ。適度な気分転換をしていくことが気持ちの安定にも欠かせない。

 キャプテンのMFマルビン・バカロルツは「今の生活でハイライトは、犬と一緒に庭に出ている時だね。部屋から外に出て、新鮮な空気を吸って、遠くの自然を眺めて。本当に素敵だなって感じるんだ。実際に自分がこういう事態にならないと、それがどれだけきついことかはちゃんと分からない」とコメントを残している。スウェーデン代表FWヨン・グイデッティは子どもたちと一緒に仮装してダンスをしたり、廊下でミニボーリングをしたりと楽しみを見つけている。スポーツディレクターのゲルハルト・ツーバーは、「選手のために自分たちがいることが大事であり、そのためには頻繁に連絡を取ることが大切だ」と、こまめに選手とコンタクトを取っているようだ。

■ハノーファー会長は所有ホテルに選手を宿泊させるプランを考えているが…

 今週の木曜日(26日)からこうした措置も解除され、トレーニングが再開される予定だ。そしてクラブではどのように練習を行うかで、ディスカッションがされている。しっかりとした準備をしておかないと、また誰かが感染してしまったら、同じことの繰り返しになってしまう。

 そこでハノーファーのマルティン・キント会長は、自身の持つホテルに選手を宿泊させるプランを考えているという。関わる人数が少なければ少ないほど、感染の可能性を下げるのは確かだ。チーム活動をホテルと練習場の行き来だけに限定してしまえば、感染予防の措置もやりやすい。またトレーニングは普段のスタジアム近くではなく、育成アカデミーで行うことも検討されている。育成選手は活動中止中。施設全部を使用することができる。

 一方、14日間自宅で隔離されていた選手が、今度は家族から離されてホテルに軟禁状態になるのは、精神面で相当のダメージになることも懸念されている。

 チームトレーニングを実践するためには、それが唯一の可能性ではないかと見られているが、ではそこまでして今すぐにチームトレーニングを再開することが最適解なのだろうか。外に出ることも許されなかった選手たちからすれば、まずはグラウンドで少人数でも、それこそ1人であってもボールを蹴ることができる環境があれば、だいぶ違う。

 リーグ再開の目処も立たない現状では、すぐに通常の活動に戻すことが必要なのではなく、焦ることなく、できることを無理のない範囲でやっていくことが望ましい。首脳陣もそのことは、十分よく分かっているはずだ。(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

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