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欧州日本人「株上げた3人」「期待外れ3人」は? 森保ジャパンCB大飛躍…元新潟の技巧派は苦難【コラム】

FOOTBALL ZONE / 2024年6月1日 7時30分

■今季欧州リーグでプレーした日本人選手の期待値“良し悪し”を独自査定

 2023-24シーズンの欧州リーグでは多くの日本人選手がプレー。欧州初挑戦や異国の新天地で大きく株を上げた選手、期待どおりに活躍できなかった選手がいる。その中でも特筆に値する「トップ3」と「ボトム3」をピックアップする。

 今季は5大リーグ(プレミアリーグ、ラ・リーガ、ブンデスリーガ、セリエA、リーグ・アン)を主戦場とする日本代表の主力選手たちがそれぞれのリーグで評価を残している。ただし、ここではあくまで筆者が注目している中で、期待値を基準とした活躍度や成長度の評価で査定。欧州クラブに在籍する全選手を対象にランキング化したものではないことを前置きしたい。

 また、デンマーク1部ブレンビーで、9得点8アシストと目覚ましい活躍を見せて、欧州ビッグクラブからの関心も伝わる鈴木唯人に関してはリーグランキングが15位ということもあり、今回の選考対象からは外した。

 トップ3の1人目は南野拓実(ASモナコ)。リーグ・アン優勝には届かなかったが、主力としてリーグ戦9得点6アシスト、合計で15ゴールポイントを記録した。昨シーズンは慣れない環境や起用法に苦しんだが、ザルツブルク時代の南野をよく知るアドルフ・ヒュッター監督の下で、主に2列目のインサイドで鋭い動き出しとフィニッシュワークを発揮して、多くの試合でチームの勝利に貢献した。

 なかでも第23節のRCランス戦では圧巻プレーで3-2勝利に貢献。記録上は相手のオウンゴールになったが、1-1の同点ゴールに絡むと、2-2で迎えた後半アディショナルタイムに豪快な左足シュートで決勝ゴールを叩き込む活躍を見せ、クラブの公式サイトをはじめ地元メディアで英雄的な賞賛を浴びた。代表復帰後はアジアカップによる欠場を挟む難しいシーズンで常に好調だったわけではないが、復帰後にも4得点2アシストを記録した。個人の活躍度もチーム内での貢献度も、日本人トップレベルのインパクトと言える。

 2人目はベルギー3シーズン目となった町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)。ディフェンシブなポジションの選手としては最も飛躍した1人だ。主に3バックの左ストッパーで、リーグ戦31試合に出場して2位躍進を支えただけでなく、ベルギーカップでは守備の奮闘に加えて決勝ゴールを挙げて、110年ぶりの優勝。リーグ戦を含めると90年ぶりのタイトル獲得に大きく貢献した。

 サイズを生かした対人守備や左足のキックに定評はあるが、シンプルに個としての強さを増しただけでなく、危機察知やカバーリングの能力は古巣の鹿島アントラーズから欧州に渡った3年前と比較にならない。来シーズンはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の予選3回戦からの出場が決まっており、残留か5大リーグにステップアップか、去就が注目される。

 3人目は伊藤洋輝(シュツットガルト)だ。開幕当初は日本代表と同じ左サイドバックが定位置だったが、アジアカップから帰還後は左センターバックで獅子奮迅の働きを見せて、2位フィニッシュとCLの出場権獲得の立役者の1人になった。昨年11月に筋肉系の怪我を負い、そのまま国内でのリハビリを経てアジアカップに入った。その間に8試合に欠場し、バイエルン・ミュンヘンに0-3で敗れるなど、シュツットガルトは3つの黒星を喫している。

 サイドバックも攻撃面を含めて様にはなってきたが、センターバックとして振舞ったシーズン後半戦のパフォーマンスは安定感があり、スピード系にもパワー系にも柔軟な対応を見せた。3-1で勝利した第32節のバイエルン戦では再び左サイドバックで起用されて、相手のキーマンであるセルジュ・ニャブリを封じるなど、ポリバレントな能力は今後の飛躍を後押しする要素だ。

■シュミット、林は新天地で思いどおりのシーズンを送れず…

 ボトム3の1人目はシュミット・ダニエル(ヘント)を挙げざるを得ない。昨夏にフランス1部メスへの移籍が目前で破談に。次の移籍期間までの半年間をシント=トロイデンでベンチにも入れず過ごしたなか、昨冬にクラブと双方合意の契約解除をしたうえで同じベルギーの名門ヘントにフリートランスファーで加入。しばらくゴールマウスを守ったが、2-4で敗れたスタンダール・リエージュ戦(第28節)を最後に出場から遠ざかった。プレーオフ2で、すでにUEFAカンファレンスリーグ出場が確定していた5月18日のスタンダージュ・リエージュ戦で11試合ぶりの出場機会に応えて4-1の勝利を支えたが、来シーズンは再飛躍の年にして、生まれ故郷で開催される北中米ワールドカップに向けて代表復帰につなげてほしい。

 新天地の飛躍が期待されたFW林大地(ニュルンベルク)にとっても、苦しいシーズンとなった。ベルギー1部のシント=トロイデンからブンデスリーガ2部に期限付き移籍した林だが、なかなかゴールを奪えないままアキレス腱を負傷。復帰後のヘルタ・ベルリン戦(第10節)で得点するなど復活の予感を漂わせたが、怪我の再発で離脱。終盤戦で復帰したが、第31節のカールスルーエ戦で膝を負傷して、シーズン残りの欠場が決まった。

 1部昇格を目指したニュルンベルクは12位に終わったが、得点力不足が主な理由であることは間違いなく、得点源になるはずだった林の長期欠場とパフォーマンスは非常に痛かった。地元の報道によると、買取りオプションは行使される可能性はかなり低い。その場合、契約を残すシント=トロイデンに復帰するのか、新たな移籍先を探すのか。ポテンシャルは間違いないだけに、フルシーズン戦えるコンディションを整えて、次のチャレンジに期待したい。

 23歳の本間至恩(クラブ・ブルージュ)も大きな飛躍を期待していた選手の1人。プレーオフでの奇跡的な快進撃でベルギー王者に輝いた名門クラブにおいて、最終節はベンチから優勝の瞬間を見届けた。アルビレックス新潟から加入した昨シーズンはセカンドチームのクラブNXTで10番を背負って猛アピール。終盤戦でトップチームに昇格して、プレーオフで記念すべき初得点も決めた。しかし、今季は得意の左ウイングが激戦区で、なかなかトップでのチャンスを得られなかった。

 冬には地元メディアで移籍の噂も伝えられていた本間。今年3月にはNXTを指揮していたニッキー・ヘイエン監督が暫定的に昇格したが、序列が大きく変わることはなかった。そんななか、町田を擁するユニオンSGとのベルギーカップ準決勝で、途中出場から短い時間で多彩な妙技を見せたことが話題を集めた。欧州の名門で、戦術的なタスクのハードルは低くないと見られるが、やはり本間が持つ類まれな攻撃センスを発揮する姿は見たいところ。来シーズンはベルギー王者として、再びCLにも挑むシーズンになるだけで、キャンプからしっかりとアピールしてもらいたい。(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

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