とても美しく同時にグロテスク…唯一無二の王者レアル スターシステムゆえの弊害と途方もない底力【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2024年6月6日 18時10分
■史上最多15回目の欧州制覇を成し遂げたレアル、最初の黄金時代から続く編成方針
レアル・マドリードがUEFAチャンピオンズリーグ(CL)優勝。実に15回目だ。
通算優勝回数の2位はACミランで7回、バイエルン・ミュンヘンとリバプールが6回、FCバルセロナが5回となっているが、レアルはここ11シーズンで6回も優勝している。欧州トップクラブの実力差がほとんどない昨今で、この戦績には改めて驚かされる。
決勝進出は18回で勝率は83%。最後に決勝で負けたのは1981年。ファイナルまで進めばほぼ勝つ。この勝負強さもダントツである。
欧州チャンピオンズカップとしてスタートしてから、レアルは5大会連続で優勝している。サンチャゴ・ベルナベウ会長は大会創設の推進者の1人であり、最初からこの大会の申し子のようだった。
チームの編成方針も最初の黄金時代を踏襲してきた。
南米のスーパースターだったアルフレード・ディ・ステファノの獲得を皮切りに、毎年のようにスター選手と契約している。ポジションの重複はお構いなし。第1回大会で決勝を戦ったスタッド・ランスからレイモン・コパを引き抜いているが、プレースタイルはディ・ステファノと被っている。さらに1958年ワールドカップのMVPだったブラジル代表のジジを獲得し、「マジック・マジャール」と呼ばれたハンガリー代表のエースだったフェレンツ・プスカシュも獲った。
現在のフロレンティーノ・ペレス会長が就任した時も、ルイス・フィーゴ、ジネディーヌ・ジダン、ロナウド、デビット・ベッカム、マイケル・オーウェンと毎年1人ずつビッグネームのアタッカーを獲得していて、偉大なベルナベウ会長の手法にそっくりだった。
その後はさすがにポジションバランスや年齢を考慮した補強になってきたとはいえ、その時代の最高クラスを獲得していく方針は変わらず、来季はキリアン・ムバッペが優勝チームに加わることになる。
一方、レアルが戦術のイノベーターだったことはない。
1970年代のアヤックス、90年代のミラン、2008-09と10-11シーズンを制したバルセロナのような戦術的な革新とは無縁である。
レアルの中盤を長年支えるルカ・モドリッチとトニ・クロース【写真:ロイター】
■サッカー界のトレンドは関係なし…レアルの伝統的手法は「戦術より人が先」
ここ11シーズンで6回優勝の原動力だったトニ・クロース、ルカ・モドリッチのゲームメークも2人の個人能力に依拠したもので、選手が代われば必然的に戦術も変わっていく。戦術よりもあくまで「人」が先にあるのが伝統的なやり方なのだ。そして戦績はレアルが正しいと教えている。
近年の欧州サッカーは非常にシステマティックだ。選手個々の動き方、プレーの仕方は予め決められていて、マニュアルどおりにやるのが普通になってきた。しかし、レアルはそうしたトレンドとは関係がない。圧倒的な個をかき集め、そのわりには、というかそれゆえに粗も目立ちながら、結局のところはなんとかまとめて最後は勝っていく。
半ば自作自演にも見える劇的勝利の連続は、スターシステムゆえの弊害と途方もない底力の両面を見せつける。ほかのクラブにレアルは真似できないし、たぶんしようとも思わないだろう。とても美しく同時にグロテスクでもある唯一無二の存在だ。(西部謙司 / Kenji Nishibe)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
相棒クロースが引退もモドリッチはファンの前でレアルに残留宣言!「また来シーズン会おう」
超ワールドサッカー / 2024年6月3日 10時50分
-
レアル会長、引退のクロースに言及「彼に契約更新を申し出たが…」
超ワールドサッカー / 2024年6月2日 23時57分
-
CL優勝レアル、満点続出で海外驚嘆「歴史残るパフォーマンス」 現役引退クロースは「夢のような別れ」
FOOTBALL ZONE / 2024年6月2日 7時33分
-
「完璧なギフト」 現役引退クロース、ラスト試合“交代”の感動的光景に海外注目「なんて瞬間」
FOOTBALL ZONE / 2024年6月2日 6時42分
-
CL決勝でレアル・マドリー有利の見方にモドリッチ「僕たちはそんな風に考えていない」
ゲキサカ / 2024年6月1日 17時17分
ランキング
-
1陸上日本選手権の裏で…男子100m今季世界最高9秒77が誕生、サニブラウンのパリ五輪強敵に
THE ANSWER / 2024年6月29日 15時8分
-
2大谷のホームランダービー出場に待った! 本人は乗り気でも渦巻くMLBとドジャースの思惑
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月29日 11時27分
-
3田中希実、5000m3連覇で史上初3年連続2冠! 800m出場から2時間15分、鉄人ぶり発揮【陸上日本選手権】
THE ANSWER / 2024年6月29日 18時14分
-
4習志野高校って凄い!雨中断のZOZOマリンが“夏フェス”会場と化す
スポニチアネックス / 2024年6月28日 21時38分
-
5八村塁が約3年ぶりに日本代表合流「今って平成何年ですか?」
スポニチアネックス / 2024年6月29日 20時1分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)