なでしこJ、パリ五輪18人「当確&当落線上」メンバー考察 長谷川&長野が君臨のボランチは激戦【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2024年6月8日 10時30分
■パリ五輪のメンバー18人に食い込むのは?
なでしこジャパンはスペインのムルシアで行われたニュージーランドとの国際親善試合2連戦を2連勝で終えた。WEリーグに所属する国内組はもちろん、シーズンを終えた海外組の多くも、スペイン遠征からそのまま帰国し、パリ五輪のメンバー発表を待つことになる。
今回は22人の選手が招集されたが、パリ五輪では18人に絞り込まれる。4人のバックアップメンバーを帯同させることは可能だが、基本的に18人でグループリーグから金メダルを懸けた決勝まで、6試合をほぼ中2日で戦っていく過酷なレギュレーションとなる。
池田太監督が「スペシャリティーとその1枠なのか、色んなところができる選手なのか。あとは中2日で戦うのでタフな選手じゃないですけど、しっかりと健康で戦い抜ける選手もそうですし、色んな要素、角度から考えて決めていくと思います」と語るように、頭の悩ませどころだ。
また昨夏に行われた女子ワールドカップ(W杯)後で4-3-3にもトライしたが、現在は3-4-3が主戦システムになっているなかで、状況に応じて4-4-2に可変したり、4-3-3にチェンジするなど、引き出しが増えているぶん、柔軟に使い分けていくための理想的なメンバー構成ということも選考材料になりそうだ。
3-4-3をベースに候補を見ていくと、GK枠2枚の1つは守護神の山下杏也加(INAC神戸レオネッサ※6月7日、海外移籍のため退団発表)で鉄板だが、もう1人はニュージーランド戦の1試合目でスタメンだった平尾知佳(アルビレックス新潟レディース)なのか、21歳の大場朱羽(ミシシッピ大)なのか。おそらくこの2人の1人が正式メンバーになるだろう。もう1人はバックアップに回るが、長期の怪我から復帰し、WEリーグ王者を支える池田咲紀子(浦和レッズレディース)のような実力者もおり、昨年のW杯メンバーだった田中桃子(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)も可能性はある。
ディフェンスラインは3バックがメインになることを想定すると、5人は確保したい。キャプテンの熊谷紗希(ASローマ)とニュージーランド戦の2試合でスタメン起用された南萌華(ASローマ)はまず堅い。あとは成長著しい18歳の古賀塔子(フェイエノールト)と人に強い石川璃音(浦和レディース)、攻守に勝負強く、ムードメーカーでもある高橋はな(浦和レディース)というスペイン遠征のメンバーがそのまま収まるか。
■2シャドーはW杯&WEリーグ得点王の宮澤、清家がファーストチョイスか
ウイングバックはサイドバックを兼任する選手として、右の清水梨紗(ウェストハム)は絶対的存在に。左は遠藤純(エンジェル・シティ)が怪我で長期離脱している状況で、北川ひかる(INAC神戸)の信頼度が高まっている。そこに左右のサイドバックをこなせる守屋都弥(INAC神戸)が加わるが、3バックをベースにする場合は左なら宮澤ひなた(マンチェスター・ユナイテッド)、右は清家貴子(浦和レディース)がこなせる。4バックならば古賀も対応可能だ。
ボランチは司令塔の長谷川唯(マンチェスター・シティ)が軸で、10番の長野風花(リバプール)も堅いが、新進気鋭の谷川萌々子(ローゼンゴード)と展開力が抜群の林穂之香(ウェストハム)がおり、ここの人選は非常に難しいところ。スペイン遠征からは外れたが、杉田妃和(ポートランド・ソーンズ)は中盤のすべてのポジションとウイングバックをこなせるスーパーマルチだ。
4-3-3のシステムではキャプテンの熊谷がアンカーを担っており、もちろん急場でボランチをこなすことは可能だ。そしてニュージーランド戦の2試合目には古賀も谷川とのコンビでボランチを務めた。こうしたことから。センターバック、サイドバック、ボランチというポリバレントでも計算できる古賀の選出はかなり濃厚と言える。
2シャドーは女子W杯得点王の宮澤とWEリーグ得点王の清家の2人がファーストチョイスか。ニュージーランド戦で2得点の浜野まいか(チェルシー)と藤野あおば(日テレ・東京Vベレーザ)も有力だが、ドイツで力強さを増している千葉玲海菜(フランクフルト)がシャドーと1トップの両方をこなせるジョーカーとして評価を高めている感がある。そこにスペイン遠征からは外れた上野真実(サンフレッチェ広島レジーナ)がどう絡むか。
1トップは普通に考えれば田中美南(INAC神戸)と植木理子(ウェストハム)という2枚で決まりだが、千葉や藤野、浜野もFWができると考えれば、思い切って1枚外して、千葉のような勝負のカードを残す可能性もある。そのほか、中嶋淑乃(広島レジーナ)のような個人で違いを作れる選手も本来なら欲しいところだが、18人という枠がかなりネックだ。悲願の金メダルを獲得するために、池田監督がどう悩み抜いて18人を選び出すのか注目だ。(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
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