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EURO圧勝スタートのドイツ、低迷期からなぜ脱出できた? 主将ギュンドアンが支える歯車の機能【コラム】

FOOTBALL ZONE / 2024年6月16日 7時40分

■EURO初戦でスコットランドに5-1で快勝

 EURO(欧州選手権)2024が現地時間6月14日にいよいよ開幕した。ミュンヘンで行われた開幕戦では開催国のドイツ代表がスコットランド代表を5-1で下し、これ以上ない好スタートを切っている。

 国際主要大会でドイツ代表が開幕戦で勝利したのは実に16年のEURO以来。18年のロシア・ワールドカップ(W杯)はメキシコに、22年カタールW杯では日本にそれぞれ1-2で、21年EUROはフランスに0-1で敗れている。初戦ですべてが決まるわけではないが、出鼻をくじかれたあとに流れを取り戻すことができないまま、18年と22年はグループリーグで、21年は決勝トーナメント1回戦で大会から別れを告げることになった。逆に初戦でウクライナに2-0と快勝した16年は準決勝まで進出している。

 トニ・クロースが「初戦で勢いをつけることが大事」と代表復帰以来何度も強調していたが、近年主要大会で低迷しているだけに、どこかで弾みをつけるきっかけが必要だったことは間違いない。

 ユリアン・ナーゲルスマン監督は今年3月の代表戦から選手それぞれが担うべきタスクをこれまで以上に明確なものにし、チームとしての基盤を固め、そこに選手の資質を引き出しやすい関係性を植え付けようとしている。スコットランド戦ではそれらがすべてポジティブに作用し、チームとしても個々の選手としても納得のいくパフォーマンスを出すことができた。

 ジャマル・ムシアラとフロリアン・ビルツという世紀の逸材2人が躍動し、それぞれセンセーショナルなゴールを決めた。カイ・ハフェルツが前線で重要な起点となり、ムシアラのゴールをアシストし、PKからゴールをマーク。途中出場のニクラス・フュルクルクはピッチに立ってからのファーストプレーで豪快かつエレガントなシュートをゴールに突き刺した。クロースのタスクワークは優雅で鋭敏。攻守のバランスが崩れることもほとんどなく、アントニオ・リュディガーのオウンゴールのシーン以外、スコットランドにほとんどチャンスらしいチャンスを作らせなかった。

 そんな噛み合いつつあるドイツの中で、重要な役割を担っているのがキャプテンのイルカイ・ギュンドアンだろう。


試合後に笑顔を見せたドイツのベテラン選手たち【写真:ロイター】

■ギュンドアンは失点を反省「僕らへの警告」

 クロース復帰後にポジションを1つ上げたギュンドアンは、ドイツメディアやファンに「ゴールにつながるプレーがない」「目立った好プレーがない」「ミスが多い」と批判的な見方をされ続けていた。数字やボールのあるところでのプレーだけを見ているとそういう印象がないわけではない。

 それこそ、「クラブチームではオフェンシブなポジションをやっているんだからもっとできるだろう?」と思われるだろうし、スコットランド戦でドイツテレビの司会進行役もそうコメントしていた。

 それに異を唱えたのが解説を務めたクリストフ・クラマーだ。14年W杯優勝メンバーでもあるクラマーは、「例えば、マンチェスター・シティ時代は左のインサイドハーフが彼の主戦場で、そこで素晴らしいプレーの数々を見せていた。そこで託されているタスクと今代表で担っているタスクとは全然違う」と鋭く言い切った。

 今、代表におけるギュンドアンの役割は多岐にわたり、そして細かい作業の繰り返しだ。「フロリアン・ビルツとジャマル・ムシアラを躍動させるためにバランスを取るのが僕の仕事」と本人が口にしているが、ドイツが誇る両雄がその資質をチームに還元させるために、ギュンドアンは苦心。ここ数試合はそこへの気配りが強すぎて自身のプレーがさえない側面もあったが、スコットランド戦では魅惑のコンビと巧みなポジションチェンジで、何度もチャンスをクリエイトしていた。

 クロースからのボールがギュンドアンに入ることで攻撃のギアが上がるシーンが多かったのが印象深い。ムシアラのゴールを生み出すパスを出し、ハフェルツが決めたPKを獲得。足首に受けた激しいタックルで怪我をしなくて、ナーゲルスマン監督もどれだけ胸をなで下したことだろう。

 とはいえ、まだ1試合。ギュンドアンは「失点シーンは僕らへの警告だと思って受け止めている。どんな展開でもギアを緩めることなく、最後まで全力でプレーしなければならないんだ」とキャプテンとして力強く語り、気を引き締めている。

 ピッチ上だけではない。開催国として、EUROには多くの可能性があることをギュンドアンは口にする。

「僕らはこのドイツ開催のEUROでいろんなことを勝ち獲れるチャンスがあるんだ。いいホストカントリーとして、世界にオープンな社会として、そしてピッチ上で。僕たちの夢がみんなで一緒に本当になるように、どうか力を貸してほしい」

 思いが集うと大きな力となる。(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

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