「あれでまだ8割。恐ろしい」 首位ターンの町田、主将・昌子が脱帽した“頼もしい切り札”は?
FOOTBALL ZONE / 2024年6月24日 7時30分
■前半戦首位ターン…後半戦へ「最後まで優勝争いをし続けたい」
FC町田ゼルビアは6月22日、J1リーグ第19節アビスパ福岡戦で0-0と引き分け、勝ち点を39まで伸ばした。この結果、首位でシーズンを折り返すこととなった。
昇格組の町田だが、後半戦は首位のチームとして対戦相手もこれまで以上に警戒して分析してくることは確実だ。さらに前半戦以上に、後半戦は難しくなることが容易に予想できる。
町田のキャプテンであるDF昌子源は「(分析は)どこのチームもそうだと思いますが、特に(町田は)注目度というのがいろんな意味である。(相手が)負けたくないと思うのは、当たり前のことだと思うし、そこで僕らが『首位だから』と思うのではなく、僕らもそれを超えられるようにする」と、受け身になるべきではないと語った。
実際、町田は青森山田高の監督からプロ監督になった黒田剛監督の存在やその発言、ロングスローを多用した戦い方、徹底的に勝利にこだわる姿勢なども話題を集めている。プラスアルファのモチベーションを出してくる相手を上回ることは、たしかに容易ではないだろう。
そして、昌子は「あとはピッチで起こりえることに勝っていくこと。どこも強いのは分かっていますし、これまでもコンセプトが守れて勝てた試合もあれば、あまり手ごたえがなくても勝った試合もあります。そういうことを考えると、優先は勝ち点。町田が求める、監督が求めるサッカーをやることも大事ですが、そうはいかない時もある。それでも勝ち点を最低でも1、優勝争いをするのであれば3を取れるようにする。今の順位で上位にいる6、7チームは、それを3に持ってこれるチームなので、僕らもつまずくことなく、最後まで優勝争いをし続けたいなと思います」と、勝ち点という結果を得ることにフォーカスすることが重要だと強調した。
エリキは大怪我からの完全復活なるか【写真:徳原隆元】
■エリキのスピードは脅威
福岡戦では、韓国代表FWオ・セフンがベンチ入りもせず、代わりにFWエリキがセンターフォワードを務めた。194センチのオ・セフンに対し、エリキの身長は170センチ。後方からのロングボールを主体に戦う町田は、オ・セフンへのロングボールが攻撃の主なパターンだったが、この日はスピードを武器にするエリキが起用され、いつもほどの脅威にはならなかった。だが、これは逆に言えば、チームに伸びしろがあることを意味する。
昌子は「エリキは僕らにもすごく要求をしてきますし、決して足元でどうこうする選手ではないですが、相手のことをよく見ていて、一瞬の駆け引きがすごく上手。それになんと言っても、あのスピードですよね。最近話したのですが、彼はあれで『まだ8割。まだコンディションを上げられる』と言っていましたからね。恐ろしいですよね、それを考えたら」と、チームとして連係を高められるだけではなく、エリキ自身もまだ個人としてポテンシャルを出し切れていないと語った。
そして、昌子は「それを考えると、彼の生かし方もそうですけど、彼が点を取れば間違いなくチームは乗りますから。彼に取らせようというわけではないですが、監督も言っているように確率の高いほうに出す。もちろん前の選手にエゴは大事ですけど、特に天皇杯の(オーストラリア代表FWミッチェル・)デュークへのアシストした場面のように、エリキは周りも使えます。センターバックの処理ミスが1つあれば、それをゴールに持っていきますから。そう考えると彼が点を取れるようになれば、チームはもっと勢いが増すかなと思います」と、昨季J2で30試合18得点を挙げたエースの爆発に期待した。
さらに、この日の具体的なプレーを出して、エリキがどれだけ脅威になるかを指摘した。
「前半開始すぐに、平河(悠)が左のウイングとセンターFWの間に落としたのも、結局マイボールにしてくれた。あの(下田)北斗のFK(フリーキック)につながったシーン。あれは対戦相手は絶対嫌なので。『ワンバウンドさせたら、エリキが来る』と思ったら、そのボールをワンバウンドさせないで処理しようとする。そうすると、ミスが起こりやすくなる。心理的にも彼がいるのは難しい。もちろんセフンとは違う良さがあるので、セフンと同じことを求めても無理だし、逆もしかり。チームとしても、それを生かせるようにしたい」
後半戦、エリキは町田のキーマンとなる可能性が十分だが、ここまでリーグ戦8試合1得点のストライカーは、どれだけその数字を伸ばし、チームを助けることができるだろうか。(河合 拓 / Taku Kawai)
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