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勤勉ドイツが「怠ってきた」 元独代表MFも触れたEURO開催地の実態「怒りは理解できる」【コラム】

FOOTBALL ZONE / 2024年6月27日 7時30分

■ラーム氏がドイツ鉄道に対して批判的なコメントを残した

 UEFA組織委員長のフィリップ・ラーム氏がドイツ鉄道に対して批判的なコメントを残したことが注目を集めている。

 デュッセルドルフで行われるウクライナ対スロバキア戦を観戦するために電車移動していたが、遅延に巻き込まれたために、試合開始に間に合わなかったという。

「ここ数十年間、インフラ整備に労力を割くことを怠ってきたと思う。ドイツ鉄道とは意見交換をしている。彼らは彼らで定刻通りに運行できるようにと取り組んではいる」

 ラームの指摘通り、ドイツ鉄道はここ最近時間通りに電車が着かないことで有名になっている。欧州の他国と比べても頻繁に遅延する。今大会でもオーストリアから電車移動してきたファングループが大幅な遅延に巻き込まれ、代行便もないまま、途方に暮れるというニュースがあった。僕もベルギーやスイスへ取材で出かけ、ドイツに戻ったとたんにそこからの電車が止まったり、乗り継ぎに間に合わないことが日常茶飯事すぎてで、それをもって「ドイツに帰ってきたな」を感じるのは何ともやるせない。

 ドイツといえば「時間通り」「規則厳守」「勤勉」「質実剛健」がイメージだった。古き良き時代からの伝統として、今も大事にしようという人は多い。

 一方でドイツでも新世代の価値観は生まれている。それは日本でも、世界中どこでもそうなのだろう。ガツガツあくせく取り組むことより、もう少しのんびりとしたライフスタイルをよしとする若者が増えてきている。

 そうした風潮も影響してか、週の就業時間を減らすストが頻発している。今回のドイツ鉄道にしても週38時間の就業時間を35時間にするためのストが数日間にわたって行われるなど、揉めに揉めていた。

 就業時間を適正化するのは大事だけど、少なくなりすぎたらやるべきこともできなくなる。インフラ整備をしようにもみんなが休むことを強要したら、遅々としてスケジュールは進まない。首脳陣の見通しの甘さと対策の遅れに関しては厳しく指摘しないわけにはいかないが、何もかもを一方的に批判するのもまた違う。

 それにドイツ鉄道にはさまざまなサービスがある。子どもは14歳まで大人同伴でただだし、小さい子連れ用の車両も増えている。無料でもらえるおもちゃもある。シッターが乗車している長距離路線も多く、長時間移動の車内で気分転換できるサービスがあるのは、親御さんにとってとてもありがたいものだろう。地方ごとの周遊チケットも充実。早割の種類も割引も多く、最安特急で7時間のフライブルクからベルリンまで19ユーロ(約3500円)で購入することもできる。

 もちろんラームの「この10日間ドイツ鉄道で移動しているが、基本的にほとんどの電車はとても定刻通りに目的地に到着している。ただそれでも遅延はあったし、長い距離を移動して試合観戦に向かうファンのことを考えると、その怒りは理解できる」というご指摘もごもっとも。せめて遅延を30分以内に収めてというのと、もう少し遅延を見越した乗り継ぎプランを作ってほしいと願うばかりだ。(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

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