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五輪を「大学生の大会」に? 位置付け再考のタイミング…山本NDと大岩監督に滲んだ“苦渋の色”

FOOTBALL ZONE / 2024年7月4日 11時30分

■大岩監督、山本NDともに苦渋に満ちた表情で会見に臨んだ

 パリ五輪に出場するU-23日本代表メンバーが7月3日に発表された。メンバー発表を行った大岩剛監督は、理想に描いていた18人のうち、どれだけのメンバーを呼ぶことができたのだろうか。会見での大岩監督、山本昌邦ナショナルダイレクター(ND)の両者からは、選考が極めて困難だったことが伺えた。

 大岩監督が18名の登録選手と4名のバックアップメンバーを発表した後、最初に発言したのは山本NDだった。メキシコ五輪から28年間、五輪に出ていないチームが28年連続で五輪の出場権を獲得したこと。1996年のアトランタ五輪時は国内でプレーする選手だけで構成されていた。だが、今回のチームは3分の1の6人が欧州組になっている。山本NDは、「招集の面で様々な苦労がありましたが、これは日本サッカーの進化であり、成長であり、躍進の賜物だと思っています」と語ったが、言い換えれば五輪の価値が決して高くない欧州でプレーする選手、移籍する選手が増えたことで、ベストメンバーが組めなくなったということだ。

 オーバーエイジ(OA)の選手を選出しない決断について問われた大岩監督は「皆さんご存じのとおり、いろいろな制限があるなかで、我々が今現在、U-23日本代表としてパリ五輪を迎える。そして招集することのできる最高の18人プラス4人のバックアップメンバーを選んだつもりでいます。そして、これは毎回の活動ごとに言っていますが、その時、その時で集まれた、集合できた選手たちが、その時のU-23日本代表だということを発足当初から言い続けてきました。今回も変わらず、今現在で招集できるベストのメンバーを招集したつもりです。このメンバーで、しっかりパリ五輪を戦っていくというのが現在の率直な気持ちです」と、言葉を選びながら慎重に語った。

 オーバーエイジで呼びたい選手はいたが、呼べなかったのか。それともU-23の選手だけで戦う優位性を感じていたのか。この答えでは不透明だった。そのため再びオーバーエイジについての質問が飛んだが、これに対して大岩監督は「OAを含め、今現在の招集可能な選手たち、ベストと思われる選手を招集したつもりです」と返答し、OAの選手、もしくは所属クラブとの交渉が不調に終わったことをうかがわせた。

 選手のなかには、五輪へ参加したい意思を語っている者もいた。OAの選手との交渉について問われた山本NDは「OAの現場からの希望は当然ありました」と、大岩監督らがOAの招集を希望したことを明言している。そして「1年以上かけて、海外組の調整は進めて参りました。選手の意思、クラブの了承を得なければいけない。一方で移籍がかかわると現クラブとその先のクラブが、7月から動き始める。様々な要因が絡まる」と言い、OAだけでなく、MF久保建英、MF鈴木唯人、GK鈴木彩艶というパリ世代でA代表のキャップを刻んでいる選手たちも、「招集が叶いませんでした」と説明した。

 この際に、前回の東京五輪は7人が欧州組であり、今回は6人が欧州組だと数字を出した山本NDは「五輪までに何人かが移籍するかもしれない」と、パリ五輪のU-23日本代表が本番では史上最多の欧州組を抱えるチームになっている可能性を匂わせた。会見の終盤には山本NDがMF松木玖生について「移籍する可能性がある」と落選理由を明確にしたが、移籍が内定している選手については先手を打って、移籍先となるクラブの了承を得ているのだろう。

 メンバー選考をするうえで難しかったことを問われた大岩監督は、「難しさの部分は、いろんな制限。山本NDも言いましたが、それが我々、U-23日本代表の宿命。インターナショナルウィーク以外で活動するゆえの大きな壁は、我々の2年半の活動のなかでもあったもの。その都度、招集できるメンバーがU-23日本代表」と、最終メンバー選考だけが難しかったわけではないとしたが、世間からの注目度を考えれば、メンバー選考と今回の会見も極めて繊細かつ難しいものだっただろう。

 どんな形であれ、日本を代表してオリンピックを戦えるのだ。招集された18人の選手たちは、高いモチベーションで大会に臨んでくれるだろう。だが、山本NDの松木についてのコメントが、フライング発表とも捉えられる状況なだけに、今後に向けては様々なことを考えなければならないだろう。2019年ナポリ大会を最後にユニバーシアードのサッカーがなくなったことから、大学生が出場する大会にしてもいいのかもしれない。会見の冒頭で山本NDは「節目の大会だと思っています」と発言したが、空白の28年間を経て、28年連続で五輪出場を果たした今、日本サッカー界は五輪の立ち位置を再考するタイミングなのかもしれない。(河合 拓 / Taku Kawai)

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