浦和はなぜ試合をコントロールできず？ 新主将“初陣”で直面…振れなかったタクト「自分のせい」

■まさかの逆転負けを喫した浦和の新主将MF伊藤敦樹が語ったことは

　浦和レッズは7月6日のJ1第22節で湘南ベルマーレをホームに迎え撃ち、2-3の逆転負けを喫した。この試合が正式発表後のキャプテン初陣となったMF伊藤敦樹は、2-1とリードした時点からのコントロールを失った試合運びについて「そこは自分の責任」と気丈に話した。

　正式発表後のキャプテンとしての初陣は、伊藤にとって幼少期に育った旧浦和市内の中でも地元と言える地域にありクラブの伝統がある浦和駒場スタジアムでの開催だった。キックオフ前に雷雨を伴う荒天で30分遅れの開始となるアクシデントがあり、立ち上がりこそ湘南に攻めまれたが10分から15分で立て直し浦和のペースに戻した。しかし、自身のボールロストもあり先制点を許して前半を終えた。

　ハーフタイム明けにFW前田直輝、後半15分過ぎにはFWチアゴ・サンタナとMFサミュエル・グスタフソンの投入があり浦和が攻勢を強めた試合は、後半16分にサンタナが地を這う左足シュートを決め同点に追いついた。さらに後半29分、MF渡邊凌磨が敵陣中央をドリブルで持ち上がりサンタナへラストパス。これを受けたサンタナがGKソン・ボムグンとの1対1で冷静に蹴り込んで2-1と浦和が逆転に成功した

　問題はこのあとの時間帯だった。攻勢を強めることでオープンな試合展開を受け入れて勢いを出していた浦和は、このリードのところでギアを変えられずに速い展開のまま試合を進めてしまった。その結果、後半45分に同点ゴールを奪われると、そのままアディショナルタイムにも失点。勝ちゲームを勝ちのまま終わらせることに失敗してしまった。

　伊藤は「そこが一番の反省点で、逆転をする前では前重心で良かったと思うし、ホームだし前重心にすることで逆転をした。サポーターも雰囲気を作ってくれたし、そこで逆転をするまでは良かったけど、そこからの戦い方。わざわざ自分たちが勝っているのにオープンにしたのはもったいなかった」と話した。

　確かに湘南はかなりラインを高くしていたので背後のスペースはあったものの、前線の選手がうしろの押し上げを待たずに仕掛けたことで間延びは避けられなかった。2点を奪った勢いもあるだけに難しい部分だが、伊藤は「自分はキャプテンだし、ボランチの選手として真ん中にいるので、そこをコントロールしなければ。それが今日できなかったのが敗因だと思うので、自分の責任だと思う。そこをまとめられるようになったら、自分としてはもう一段階上にいけると思うので、それでチームも良くなると思う。今日の試合に関しては自分のせいかなと思う」と、自ら責任を背負い込んだ。

　浦和はラスト数分の悪夢で3連勝を逃す形になったが、その遠因はもっと早い時間帯にあった。ピッチ上での共通理解や時間帯に応じたプレーなど、伊藤がリーダーシップを発揮する姿が今後さらに期待される。（轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada）