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なでしこJに「不幸だった」退場劇 五輪前まさかの誤算…ハマらない4バック「今までで最悪」【コラム】

FOOTBALL ZONE / 2024年7月15日 18時30分

■なでしこJが国内で快勝、五輪前に4バック会得図るも…

 パリオリンピック目前、国内で最後の国際親善試合となったガーナ戦は、前後半で全く異なる展開を見せた。なでしこジャパンが用いた4-1-4-1システムはハマっていなかったが、開始23分でガーナが退場者を出したことで、そこからどう持ち直すかが重要だった局面が流れてしまった。これがこの試合最大の誤算だろう。

 昨年のワールドカップ(W杯)後、オプションとして4バックが試されることが多かったが、いずれの試合でも確固たる自信につなげることが出来ないでいた。オリンピック前の国内キャンプで行われたトレーニングマッチでは3バックで臨んでいたことから、ガーナ戦もこのまま3バックを積み上げていくのかと思われたが、蓋を開けてみれば4バックでのスタート。オリンピックを前にもう一度チャレンジした形だ。

 以前から3バックがもたらす攻撃の活性化に自信をのぞかせていたのが長谷川唯(マンチェスター・シティ)。もちろん、3バックをベースに持っているからこそ4バック会得が必要なことは重々理解している。だからこそガーナ戦ではなんとか糸口を掴みたいと、長谷川は少しずつ立ち位置を変えながら道筋を探っていた。

「少し前めでプレーする(狙いのある)ところも、前で待つシーンが多くてなかなかボールに触れずリズムが出ないなかでプレーをしていた。(個人的に)今までで最悪っていうくらいの内容だった」(長谷川)と前半を振り返る。

 長谷川はボールタッチを重ねることでリズムを作っていく。しかしこの日は、そもそもボールが入って来る気配は薄く、むしろガーナにボールを握られる時間も多かった。

「相手が11人の時、本当にポゼッションで回された」と長谷川が感じていたことにもうなずける。この状況から4バックをどう生かしていくのかがこの試合のカギだったと言える。ほとんど時間は得られなかったが“システム変更をする前段階での修正”を長谷川はいくつか試しかけてはいた。前線のプレスでこぼれた相手へのプレッシングや、ボールを奪ってからの顔を出す位置、タイミング……それでどう変化がつくかを見極めようとするタイミングでの退場劇は日本にとっても不幸だったと言える。

 後半3バックに変更してからの攻撃リズムの復活は、長谷川にとっても想定内のことだったに違いない。3バックの手応えはこれまでの経験値で身体に刷り込まれている。加えて右サイドでは藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)や清水梨紗(ウェストハム・ユナイテッド→マンチェスター・シティ)を生かしながら、左サイドでは北川ひかる(INAC神戸レオネッサ)からピンポイントパスを受けたり、田中美南(INAC神戸レオネッサ)をワンタッチパスで押し出したり、長谷川らしさを発揮した。後半16分には自らがシュートチャンスを得たもののゴールを割れず。珍しく自らに不満げな表情を見せていたのも、ここからまだ上げていくことが出来ると、その実感を得ているからだろう。


ボランチで出場した長谷川唯【写真:早草紀子】

■3バックの攻撃パターンが封じられた時の二の手は必須

 W杯以降、積み上げてきた3バックを生かすためにも4バックに取り組んできた。昨年のブラジル遠征では暑さのなか、ミドルブロックを組むような形で、あえて前に出過ぎないことを心がけた。ギアアップのタイミングをピッチ上で合わせたり、試行錯誤を繰り返すも、セカンドボールを支配するのに苦戦する場面も多かった。今年に入って戦ったSheBelieves Cupではアメリカを相手に4-3-3のインサイドに入った長谷川は数的優位にありながらも前にボールをつけられない展開に我慢を強いられていた。落ちすぎては攻撃の厚みが減少する。「4-3-3のビルドアップ残念ながら全然できていない」と長谷川が肩を落とすこともあった。

 なかなか手応えを掴むことが出来ない4バックへの挑戦のなかで、長谷川が気にしていたのが再び3バックへ移行した時の感覚だ。「3バックへ移行した際、スムーズに日本らしい攻撃の形が出せなければワールドカップで積み上げた3バックの意味がなくなる」(長谷川)。3バックの可能性を誰よりも感じているからこそ、ガーナ戦後半の攻撃力の復活は、必ず成し遂げなければならないものだった。そこに長谷川のこだわりを見た気がした。

 正直、4バックの正解はいまだ見えていない。それでも今、なでしこジャパンのカラーとして立っている3バックの攻撃パターンが封じられた時の二の手は必須。フランス入りしてから初戦を迎えるまでの10日間で、オリンピックで戦う方向性は決まる。池田太監督の判断はいかに——。(早草紀子 / Noriko Hayakusa)

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