浦和加入後出番なく…待望の初先発で「MOM」と絶賛の活躍 古巣対決で躍動「純粋に楽しかった」
FOOTBALL ZONE / 2024年7月16日 7時40分
■今季浦和加入のDF井上黎生人、古巣・京都戦で初先発→躍動感あるプレー披露
浦和レッズのDF井上黎生人は、7月14日のJ1リーグ第23節京都サンガF.C.戦(0-0)で浦和移籍後の初スタメンに名を連ねた。古巣対決で訪れたチャンスに躍動感あるプレーを見せ、試合後には「(プレーでの)自己紹介の機会だった」と振り返った。
鹿児島実業高校から2015年にガイナーレ鳥取入りした井上はJ3で6シーズンプレーすると、21年にJ2のファジアーノ岡山へ移籍。さらに22年にJ1昇格を果たした京都へ移籍して2シーズンのプレーとじっくりと力を着けながら着実にステップアップを果たしてきた。そして今季の開幕前に浦和へと移籍。DFアレクサンダー・ショルツとDFマリウス・ホイブラーテンの昨季J1ベストイレブンを獲得した北欧コンビがいることを承知でチャレンジを求めた。
しかし、その外国人センターバックに加え同様に今季ガンバ大阪から加入のDF佐藤瑶大に次ぐ4人目といったチーム内の立ち位置となり、出場機会はなかなか掴めず。4月にルヴァンカップで古巣鳥取と対戦したゲームで初めてベンチ入りしたが出場機会はなく、ショルツが移籍のためにチームを離れたあとに6月30日のジュビロ磐田戦でラスト数分間の出場で浦和デビューをしていた。
その井上は、この京都戦を前に佐藤が「昨日、今日と発熱でメンバーに入れなかった」(ペア・マティアス・ヘグモ監督)という状況になりチャンスを掴んだ。プレシーズンから左センターバックでの練習が多かったが、右に入ることになり池田伸康コーチや前迫雅人コーチに調整をサポートしてもらったと感謝の言葉を残した。そしてベテランFW興梠慎三からは「ミスを恐れずやってこい」との言葉を受けて送り出されたという。
試合が始まれば、センターバックとしてボール際に強く寄せる部分だけでなく、ドリブルで持ち運んで中盤にパスをつける姿、左右のウイングへフィードを飛ばすプレーと出色のものを見せた。前半終了間際には、FW原大智のシュートをゴールライン上で決死のブロックで弾き出した。井上は「周さん(GK西川周作)がニアを消してくれたので、『ここに来そうだな』と思っていて、立っていたら来た。危機察知能力は僕の武器でもあるので、ああいうことがないほうがいいけど、あった時にちゃんと止められるよう、これからももっとやっていきたい」と振り返った。
■「本日のマン・オブ・ザ・マッチ」とヘグモ監督も絶賛のパフォーマンス
後半のラストは足をつっていて無念の途中交代となったが、公式戦のスタメンが今季初、さらに夏場の高温多湿かつ雨で水分を多く含んだピッチでの戦いでの消耗を考えればやむを得ないだろう。0-0で引き分けた試合後にヘグモ監督は「本日のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)は、右センターバックの井上黎生人だったと思っている。守備のところも、攻撃でのボールの扱いのところも、素晴らしかった」と称えた。
チャンスの巡り合わせが古巣対決であり、相手のホームゲーム。それだけに「初スタメンがこの古巣との試合かと思ったけど」と苦笑いも浮かんだが、「本当に、純粋にサッカーが楽しかった」と充実感を見せた。そして「僕のことを知らない人のほうが多いと思うので、そういった意味でも早くプレーを見せたかった。『僕はこういう選手なんだ』という自己紹介、改めて見てもらえる機会だったので、今後はもっと見てもらえるように取り組んでいきたい」と先を見据えた。
居残り練習ではロングフィードだけでなく、高い位置を取るサイドバックや降りてきたウイングの足下に強くつけるグラウンダーのボールを利き足ではない左足で入れるメニューを繰り返すなど、課題を見つけながら積極的に向上しようとする姿勢を見せ続けていた。ショルツやDF酒井宏樹の移籍で最終ラインの変化が印象付けられている今の浦和にあって、名刺代わりの一戦としては十分すぎるほどのプレーだった。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)
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