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なぜ元日本代表MFは古巣復帰を決断したのか? 監督に直訴も…糧にする欧州時代の“不遇”

FOOTBALL ZONE / 2024年7月19日 7時30分

■三竿健斗を成長させた海外での試合に出られない時期の経験

 2017年から無冠が続いている鹿島アントラーズは今シーズン、ランコ・ポポヴィッチ監督を招聘し、現在はJ1リーグで4位につけている。リーグがシーズンを折り返したなか、チームは中心選手のMF佐野海舟が欧州移籍のために離脱した。豊富な運動量と相手のボールを奪い取る守備は、チームにとって大きなものだったが、その穴を埋めることを期待されるのが、1年半ぶりの復帰となるMF三竿健斗だ。

 7月18日にオンラインで加入会見を行った三竿はチームにもたらしたいものについて、「自分の特徴であるボールを奪うところは、もちろんピッチの上で出したい。それ以外のチームを鼓舞するというか、試合の状況に応じてどう守備や攻撃をやっていくかコミュニケーションをとりたい。練習をやってすごく静かだなという印象があったので、練習からたくさん声をかけて、みんなの特徴をピッチで出せるようにいい雰囲気を作っていきたい。プレーだけじゃなく、そういう部分でもチームを引き上げられるようにやりたいです」と、チームの雰囲気作りでも一役買って出ると口にした。

 ベルギー1部OHルーヴェンから鹿島へ復帰することになった三竿は、2022年にポルトガルのCDサンタ・クララへ移籍。2023-24シーズンはルーヴェンへ移籍していた。1年半の間に公式戦38試合に出場したが、昨季の序盤はベンチ入りできない時期もあった。

 プレーできなかった経験も、サッカー選手としての三竿を大きく成長させたようだ。

「監督にも好みがあるので、合う、合わないはあるんですけど、いくら自分が調子が良くても、スタメンで使ってもらえない状況が続いた時は監督に直接、何が足りなくて、何を改善すればいいか、何を改善したら試合に出られるかは聞きに行きました」

■鹿島復帰は6月の時点で「全く考えていなかった」

 この時の監督の答えは「普段から高いパフォーマンスを出してくれているから、そのままでいい」というものだったという。そして、この解答とその後の監督の選手起用も変わらなかったことから、自分自身を高めることに専念したという。

「思っていた解答とは、ちょっと違う解答で、引き続き練習でも全力でやっていましたが、やっぱり選手は使われ方で(監督に)どう思われているかは分かります。『これは合わないんだろうな』と感じて、割り切ったというか、自分ではコントロールできない範囲のことだったので、この監督じゃなくなった時、チャンスをもらえた時に、自分の良さを出せるように、とにかく自分の良さを出せるように、自分の課題に取り組んで、目先も大事ですけど、その先を見ながらやっていました」

 この三竿の経験は、今の鹿島の選手たちにも生きてきそうだ。ポポヴィッチ監督はスタメンを固定し、プレーできる選手が限られてくる。試合に出られない若手は、不安や不満をためがちになり、どうすればいいかが見えなくなるが、三竿がその経験を伝えられるからだ。

 日本に帰国してから、鹿島の試合に出られていない若手たちの思いも聞いたという三竿は、「すごくヨーロッパっぽいなと感じていた」と言い、すでにチーム内でも実践していることがあると明かした。

「僕も試合に出られない立場を半年経験して、彼らの気持ちを理解できます。出られないから諦めるのではなく、そのなかでも日々目標をもってやることがチームにとってもプラスになります。試合に出られないと自信もどんどんなくなっていく。練習の中で、その選手が自分らしさを出せた時は『今の良かったぞ』というのは、意識的に伝えています。自分が帰って来たことで、そういう選手がもう一回復活できるようになれば、選手層だったりチームのレベルだったりが上がると思います。出ている選手だけでなく、それ以外の選手を含めて、みんなで勝ちに行くことをもう一回、出して行けたらなと思います」

 6月1日に行われたJ1第17節横浜F・マリノス戦(国立競技場)では、ゲストとしてスポーツチャンネル「DAZN」の配信で試合の中継にゲスト出演していた三竿は、そのタイミングでの鹿島復帰は「決まっていないですね。その時は全く考えていなかった」と語ったが、その試合で感じることは強くあったという。

「5万人を超える観客が集まった試合で、あのなかでプレーできるのはやっぱり素晴らしいこと。改めて鹿島サポーターの凄さ、熱量を生で感じられたので、その時は何も考えなかったですが、あとになってから、あのサポーターの前でプレーしたいなと感じました」

 早ければ、7月20日の第24節FC東京戦が三竿の復帰戦となる。すでに練習からチームを前進させようと取り組んでいる三竿が、タイトルから遠ざかっている古豪に歓喜をもたらすことになるだろうか。(河合 拓 / Taku Kawai)

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