ラフプレーと対照的…南米1位圧倒した「大人のサッカー」 代表OB驚嘆、OAなし日本の強み【見解】
FOOTBALL ZONE / 2024年7月25日 9時45分
■【専門家の目|安田理大】試合の入りから冷静沈着だった大岩ジャパン
大岩剛監督率いるU-23日本代表は、現地時間7月24日にパリ五輪のグループリーグ初戦でパラグアイ代表と対戦し、5-0で白星スタートを切った。相手が前半に退場者を出し、数的優位で戦えたものの南米1位に圧勝した。日本代表OBの安田理大氏は「大人のサッカー」を貫いたチーム力を称賛。オーバーエイジ(OA)なしで戦ったからこその“強み”が出たと指摘した。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
◇ ◇ ◇
「めちゃくちゃ良かったね。多分俺やったら浮き足立っていたもん、絶対。チームでそういう人って1人はおってもいいんやけど、全員が顔を見ても笑顔でリラックスした状態で試合に臨んでいた。そういった部分でチームワークの良さも見て取れた。オリンピックチームって若いチームという感じやけど、ほんまに大人のサッカーをするというか。完成されたサッカーをしていた。10人になったから、その分は何とも言えないですけど、10人なってからの戦い方、マネジメント含めて、日本の将来ちょっと明るいちゃうん?と思わせてくれるような試合でしたね」
日本のゴールラッシュだった。前半19分にMF三戸舜介が冷静に相手GKを見てニアサイドをぶち抜く先制点をマーク。3分後にFW平河悠がパラグアイMFウィデル・ビエラに足を踏みつけられる激しい接触を受ける。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の介入で一発退場となり、日本は数的優位に。後半からはさらにギアを上げて、三戸の2点目でリードを広げると、その後もMF山本理仁、途中出場のFW藤尾翔太が2ゴールと大量5点で難敵相手に好スタートを切った。
何より試合の入りが良かった。日本は締まった戦い方で、“若さ”も出ず。冷静さを保ち、三戸の先制点につなげた。逆に相手はラフプレーを連発するなど“若さ”が露呈。対照的な精神面も試合の行方を左右した。
日本は今大会OAなしで臨み、全員が同世代。特に今年に入ってからは大きなメンバー変更もなく、最終予選を兼ねていたU-23アジアカップや、6月に行われたアメリカ遠征を経てコンセプトを落とし込んだ。最大3人のOAを起用していれば、チームを牽引してくれる一方で、選手によれば戦い方を変えざるを得ない場面も出てくる。だが、大岩ジャパンは今回、OA起用なし、MF久保建英らの招集叶わず……など逆境を逆手にとった“異例”とも言える強化で積み上げてきたものを発揮することができた。
「お互いの長所を分かっていたり、連動性含めて代表チームじゃないような、普段からずっと一緒にやっているような。クラブチームぐらいの完成度。OA入れずに、アジアカップからあまりメンバーを変えずにやってきたのが功を奏した。(パラグアイが)真ん中を固めてきて、中盤からの捌きを警戒していたと思うけど、サイドバックの選手がインサイドに走って、ワイドの選手を振りにして……みたいなサイドの連係もすごく良かった。そこからポケットをとっていくみたいな攻撃もすごく効いていたし、それはアジア杯からずっとやっていた形。それがすごく出た試合だったなと思いましたね」
安田氏も北京五輪でOAなしの大会を経験。同世代で戦う“一体感”を経験しているからこその言葉だった。
[PROFILE]
安田理大(やすだ・みちひろ)/1987年生まれ、兵庫県神戸市出身。ガンバ大阪のアカデミー出身で2006年にトップチーム昇格。プロ1年目からデビューを飾り、2年目の2007年ではナビスコカップの「ニューヒーロー賞」を受賞。大会MVPも獲得した。2008年には北京五輪メンバーに選出。2011年からオランダ1部フィテッセでプレー。その後はジュビロ磐田、サガン鳥栖、ヴィッセル神戸、名古屋グランパスと国内を渡り歩き、韓国を経て、アルビレックス新潟、ジェフユナイテッド千葉、松本山雅FCとさまざまなクラブを経験。日本代表としては7試合に出場し1ゴールをマークした。(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)
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