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Jリーグが「世界から取り残される」…直視すべき“現実”、親善マッチで「残酷なまでに浮き彫り」【コラム】

FOOTBALL ZONE / 2024年7月27日 7時50分

■三笘所属のブライトンが鹿島に5-1勝利、ピッチ上の明暗を分けたものとは

 三笘薫の凱旋が注目を集めたブライトンの親善試合だったが、彼我の格差を残酷なまでに浮き彫りにすることになった。

 対戦した鹿島アントラーズは、J1の中断前まで3位につけ、4日前のFC東京戦とはスタメンを4人入れ替えて臨んだ。もちろん厳しい暑さの中でシーズンを戦い続けてきたので、疲労の蓄積があったことは否めない。

 だが遠来のブライトンも、ファビアン・ヒュルツラー新監督を迎えてシーズンへの準備に着手したばかり。前後半でフィールドプレイヤーを全員入れ替えており、後半選手を送り出す時や飲水タイムでは、ピッチに散る鹿島の選手たちを待たせながら指揮官が輪の中で指示を与え続けたほどだった。

 ブライトンは唯一GKのジェイソン・スティールがフルタイムでプレーしたが、それ以外は22人の選手たちが入れ替わりで出場。ともにイングランド代表歴を持つ38歳のジェイムス・ミルナーや33歳のダニー・ウェルベック、さらには27歳の三笘などがプレーをした前半10人の平均年齢が24.3歳。一方12人が出場した後半の平均は21.4歳。それに対し鹿島のスタメン平均年齢は27.82歳だった。

 結果はブライトンが5-1で大勝したわけだが、スコア以上の実力差は明白。ピッチ上の明暗を分けたのは、技術を土台とする駆け引きも含めた支配力、それに両ゴール前でもまったく慌てない的確な判断力だった。

 ブライトンは相手の出方を見ながら、狙いを外し最適な場所に仕掛けていく術を22人ほぼ全員が高い水準で身に付けていた。しかも若い選手が増えた後半には、一段とパフォーマンスの質を高めて4点を畳みかけている。それでも31歳の若い新監督は「良いパフォーマンスができたことは自信になったと思うが、もっとゴールを奪えたし、1失点したことに怒りとまでは言わないが、がっかりした」と語った。

 おそらくこの夜プレーしたブライトンの大半の選手たちは、Jリーグなら確実にエース級のタレントたちだ。逆にそれだけの選手層を確保していないと、ハードで故障者リストが膨れ上がるプレミアの長いシーズンは戦い抜けない証左とも言える。

■日本サッカー界が直面する現実、早急に今後の指針を

 一方で欧州のトップシーンになれば、リスクを避け堅守速攻だけに固執するスタイルでは戦えない。例えば昨年末来日し、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)の常連になっているシャフタール・ドネツクも、スコアはともかくポゼッションの質では、リーグカップ王者のアビスパ福岡を寄せつけなかった。

 これまで日本の選手たちは、フィジカルでの劣勢を、ボールを持った時の技術力で補おうとしてきた。実際ドイツ、スペインを下したカタール・ワールドカップでも、国内では圧倒的な支配力を示し一時代を築いた川崎フロンターレから元在籍者も含めて計6人が選出された。

 ところが最近のJリーグでは、ポゼッションと結果が反比例の傾向が顕著だ。昨年のヴィッセル神戸、さらに今年のFC町田ゼルビアは、いずれも相手にボールを持たせて縦に速い攻撃に活路を見出してきた。

 もちろん特にJ1初挑戦の町田が、結果への最短距離を選択するのは理解できる。しかし過去にはクラブワールドカップでレアル・マドリードを脅かした鹿島が、プレミアの中堅で若いメンバーを揃えたブライトンに、面白いように切り崩されボール奪取もままならない状況を見れば、育成段階からポゼッションの研磨を急がないと、世界から取り残されるリスクが横たわるのは明白だ。

 鹿島の敗因は、コンディションではなかった。ランコ・ポポヴィッチ監督も「もっと少ないタッチで判断の質を上げていく必要がある。ボールを長く持つのが良い選手ではない」と、忸怩たる想いを吐露している。Jリーグがプレッシングへの耐性で劣り、欧州トップシーンに比べてパスの精度も落ちるのは、すでに数字も如実に物語っている。

 一見右肩上がりを継続中に見える日本サッカー界だが、技術は世界に伍して戦うための生命線になる。こうしてプレミアやウクライナのチームからもポゼッションの質で劣る現実を直視し、早急に今後の指針を打ち出すべきだと思う。(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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