五輪で躍進する逸材「将来楽しみ」…OB驚嘆、大会後「ビッグクラブに行ける」【見解】

■【専門家の目｜安田理大】主将の藤田譲瑠チマを称賛

　大岩剛監督が率いるサッカーU-23日本代表は現地時間7月27日、パリ五輪のグループリーグD組第2戦でマリ代表と対戦し、1-0で勝利した。後半37分に決めたMF山本理仁の2試合連続ゴールが決勝点。グループリーグ2連勝で準々決勝進出を決めた。日本代表OBの安田理大氏は、第1戦に続いて攻守において大活躍した大黒柱のMF藤田譲瑠チマは「ビッグクラブに行ける」と提言した。（取材・構成＝FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞）

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　藤田の存在感はこの日も際立っていた。前半18分にペナルティーエリア内へ決定的なパスを出したり、同37分には抜け出したMF荒木遼太郎へのパスでチャンスを演出。守備では後半15分にフィジカルの強い相手に対して身体を入れてボールを奪い切った。

　試合は0-0で迎えた後半37分、FW細谷真大が右サイドを抜け出して中央にクロス。これにファーサイドから途中出場のFW佐藤恵允が合わせ、相手GKが弾いたボールをMF山本理仁が押し込んで先制ゴールを奪った。しかし、試合終了間際にMF川﨑颯太がVARでハンドを取られて、PKを献上してしまう。ここでGK小久保玲央ブライアンが完全にコースを読み切り、相手のシュートはゴール左外へ。前半から好セーブを見せていた小久保が大仕事をやってのけて勝利を掴んだ。

　安田氏は「やっぱりミスがすごく少ない。パスもすごく気を遣える。遠藤航がリバプールに行って、『こんなビッグクラブに行くボランチもう出てくるんかな』と思ったら早々に見つかりましたね」とうなずいた。

　今夏の五輪終了後にも「（ビッグクラブに）行けると思う」と太鼓判。藤田の良さは“波”がなく、攻守において“気遣える”点だという。

「普通のボランチやったら自分がボールを触るためにディフェンスラインに近い位置でプレーすると思うんやけど、あえてちょっと離れたところでいることによって相手のディフェンスラインを下げて、センターバックの2人が持ち上がる時間とかスペースを作ったりもしている。テレビで見ていたら分かるけど、グラウンド上で感じながらやることはほんまに難しい」

　第1戦のパラグアイ戦（5-0）あとに「和製（エンゴロ・）カンテ」と表現していた安田氏。プレーだけでなく「相当頭がいい」という。

「日本人でいうと“ダブル遠藤”かな。守備の面では遠藤航っぽいし、キャプテンシーもある。パスの質とかは少し違うけど、ボランチとしてスルーパスもどんどん出せるという点ではヤットさん（遠藤保仁）。2人をミックスさせた感じ。将来楽しみな選手」

　2年後の北中米ワールドカップ（W杯）、いや9月の最終予選からでもA代表での活躍が期待される。藤田が今大会で遂げる成長が楽しみだ。

［PROFILE］
安田理大（やすだ・みちひろ）／1987年生まれ、兵庫県神戸市出身。ガンバ大阪のアカデミー出身で2006年にトップチーム昇格。プロ1年目からデビューを飾り、2年目の2007年ではナビスコカップの「ニューヒーロー賞」を受賞。大会MVPも獲得した。2008年には北京五輪メンバーに選出。2011年からオランダ1部フィテッセでプレー。その後はジュビロ磐田、サガン鳥栖、ヴィッセル神戸、名古屋グランパスと国内を渡り歩き、韓国を経て、アルビレックス新潟、ジェフユナイテッド千葉、松本山雅FCとさまざまなクラブを経験。日本代表としては7試合に出場し1ゴールをマークした。（FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi）