スペインに完敗…海外記者が見た“レベル差” 遠藤航らOA招集でも「有利になったか分からない」【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2024年8月3日 19時20分
■英記者が振り返るパリ五輪男子サッカー・日本のスペイン戦
パリ五輪男子サッカーの準々決勝が現地時間8月2日に行われ、大岩剛監督率いるサッカーU-23日本代表は、スペイン代表に0-3で敗れた。メダルには手が届かず、ベスト8で敗退が決定。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏がこの試合を振り返り、日本とスペインに小さくない差があったことを指摘する一方、世界で輝きを放ったタレントの存在を踏まえ「明るい未来が待っている」と力説している。
◇ ◇ ◇
日本のメダルの夢は絶たれた。1968年メキシコ五輪の英雄たちの偉業を再現する、あるいはそれを超えるという希望はまたさらに4年間土に埋もれることになった。リヨンでの戦いの結果、スペインが準決勝進出を決めた。
レフェリーの際どい判定やVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)を嘆くのは簡単だが、結果的にはより優れたチームが勝ち進んだ。日本はフェルミン・ロペスの才能に対する答えを持ち合わせていなかった。バルセロナのプレーメーカーがその質の高さを示し、大岩ジャパンを敗退へと追い込んだ。
ロペスの2得点は大きな違いをもたらした。この21歳は決定的なパフォーマンスで、超一流のクラブとそれ以外の選手の間にある大きな差を見せつけた。
今はまだ今大会の総括を行うタイミングではないかもしれない。しかし、この試合ではオーバーエイジを招集しなかった大岩剛監督の決断が結果を左右する大きな要因となっていたと言えるかもしれない。
遠藤航や上田綺世のような選手たちを呼んでいたとしても日本が有利になったかどうかは分からない。だが、スペインのような狡猾な相手に対しては、経験豊富でリーダーシップを発揮できる選手を必要としていた場面があったのは間違いない。
最初の30分はスペインに支配され、日本は11分の先制ゴールだけで済んだのはむしろ幸運だった。
そこから反撃に転じ、同点に追いつきそうだった点は評価すべきところだろう。細谷真大は試合が進むにつれて自信を深め、中盤に下がってサイドの選手ともうまく連係できるようになっていった。
藤田譲瑠チマからパスを受け、ターンから放ったシュートは得点に値するものだった。オフサイドの判定は彼にとって不利なものだった。残酷な運命であり、VARとそれに関連する技術がゲームから生命を奪っていることの証拠だった。
この柏レイソルのFWが前半アディショナルタイムに放ったヘディングシュートもポストに嫌われた。そこから細谷は精神的な強さを見せ、さらに奮起してみせた。彼はその勤勉さと決断力によって、日本で最も傑出していた選手となった。
■日本にとって不運だったスペインとの8強対決
スペインは時折、コントロールを失うこともあったが、後半も優勢に試合を進めた。ロペスが決めた2点目が実質的なトドメとなった。セルヒオ・ゴメスのコーナーキックを胸トラップでコントロールし、小久保玲央ブライアンを越えるシュートを叩き込んだ時、試合が終わった。
スペインに敗れたとはいえ、日本はこの結果を恥じることはない。彼らはこのフットボールというゲームを支配している国だ。スペインはA代表が今年の欧州選手権で優勝しただけでなく、U-19欧州選手権も制している。
レアル・マドリードはUEFAチャンピオンズリーグの勝者であり、女子チームも世界のトップに立っていることも考えると、これほど早い段階でサンティ・デニア監督のチームと対戦したことが日本にとって不運だったのかもしれない。
スペインはグループリーグ最終戦でエジプトに驚きの敗戦を喫した。すでにベスト8進出が決まっていたことでデニア監督は主力選手に休養を与えたため、対戦の組み合わせが変わり、日本が準々決勝で困難なチャレンジに直面することになってしまったのだ。
とはいえ、藤田や小久保をはじめとした選手たちは、この敗退を恥じる必要はない。日本代表のパフォーマンスはこの国の才能のベルトコンベアーが健在であり、サムライブルーにアジアレベル、いや世界レベルで明るい未来が待っていることを証明するものだった。(マイケル・チャーチ/Michael Church)
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