百戦錬磨の元日本代表DFが印象に残ったJリーガー5選 「キレが印象的」と評価する気鋭の逸材は?【インタビュー】
FOOTBALL ZONE / 2024年8月11日 7時30分
■昌子源は興梠慎三、小林悠、大迫勇也の「動き出し」を警戒
J1首位に立つFC町田ゼルビアのDF昌子源は、これまでのプロ14年間で海外リーグや国際大会を数多く経験してきた。そんな日本屈指の熟練センターバック(CB)に、日本国内で印象に残った選手を訊いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小田智史)
◇ ◇ ◇
昌子は2011年にJリーグの“常勝軍団”鹿島アントラーズでプロキャリアをスタートさせ、2018-19シーズン、19-20シーズンはフランス1部リーグ・アンのトゥールーズに所属。20年2月に日本国内復帰を決め、ガンバ大阪、古巣・鹿島、そして今季から新興勢力の町田でプレーする。
外国籍選手に負けないフィジカル、高さ、スピード、読み、リーダーシップを兼備し、鹿島時代にはJ1リーグ優勝1回(2016年)、リーグカップ優勝3回(11年、12年、15年)、天皇杯優勝1回(16年)、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)優勝1回(18年)とタイトルを獲得。個人としてもJリーグベストイレブン選出2回(16年、17年)、日本代表では20キャップを刻む、日本国内を代表するDFと言っていい。
そんな昌子に、これまでJリーグで印象に残った選手を訪ねると、「(浦和レッズFW興梠)慎三くん、代表で長らく一緒にプレーさせてもらった(ヴィッセル神戸FW)大迫(勇也)くん、あと(川崎フロンターレFW小林)悠くんも嫌でしたね」と回答。歴代2位のJ1通算168ゴールを誇る37歳の興梠、同7位のJ1通算140ゴールを記録する36歳の小林、昨季シーズンMVP、得点王、ベストイレブンと個人賞を総なめにした34歳の大迫と、日本代表を経験しているストライカー3人の名前を挙げた。
「鹿島で一緒にやらしてもらった慎三くんもそうですけど、やっぱり動き出しがずば抜けている。しかも、レッズだったら柏木陽介くん、フロンターレだったら(中村)憲剛さんという名手がいた。(パスの出どころである)相手のキックモーションを見ていたら慎三くんが見えないし、慎三くんを見ていたらいつパスが来るか分からない。1人でも凄いのに、ペアになった時にさらに威力を増す。憲剛さんだと、悠くんと(大久保)嘉人さん、それぞれがお互いの良さを引き出し合っている。悠くんと嘉人さんの動き出しが憲剛さんのパスを引き出しているし、憲剛さんのパスにも『ここに動け!』とメッセージが込められている。それは陽介くんの時の慎三くんも同じ。守る側としても、すごく難しかったですね」
■気鋭のドリブラー俵積田晃太の「キレ」に一目置く
では、ベテランの域に入りつつある昌子が今のJリーグで気になる若手選手は誰か。最初に触れたのは、パリ五輪代表メンバーで、すでにA代表デビューも果たしている22歳のFW細谷真大(柏レイソル)だ。
「個人的としてはそこまでやられてはいないですけど、対峙した時の怖さを考えると、細谷くんは身体も強いし、素晴らしい」
そして、もう1人が20歳のMF俵積田晃太(FC東京)だという。プロ2年目の若武者は今季ここまでリーグ戦23試合に出場して1得点2アシスト、ドリブル総数はリーグ2位(105回)、ドリブル成功率52.4%を記録している。
「僕が左のセンター(バック)で、俵積田くんは左サイドハーフだったので直接対応することはほとんどなかったですけど、マッチアップしてみたい気になる選手の1人です。プレーのキレが印象的。うちの(望月)ヘンリー(海輝)も身体能力が高くて、1対1に自信のあるタイプにもかかわらず、あれだけチンチンにした選手を見たのは今のところは俵積田くんだけですね。ガンバの(ブラジル人FW)ウェルトンも凄かったけど、日本人選手のドリブラーとして俵積田くんは強烈でした。人と違う感覚を持っていて、どの試合でも必ず自分の形に持っていく。まだ20歳? 将来が楽しみですね」
町田は10月19日の第34節で柏(三協フロンテア柏スタジアム)、11月9日の第36節でFC東京(国立)との対戦が予定されており、若手2人とのマッチアップにも注目が集まる。
[プロフィール]
昌子源(しょうじ・げん)/1992年12月11日生まれ、兵庫県出身。米子北高―トゥールーズ(フランス)―G大阪―鹿島―町田。J1通算270試合・9得点。日本代表通算20試合1得点。スピード、対人守備、判断力、フィード力を兼ね備えた万能センターバック。ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドやフランス代表FWキリアン・ムバッぺといった世界最高峰のアタッカーとの対戦経験を持ち、今季は新天地の町田でキャプテンとしてチームを牽引する。冷静な分析や言語化するセンスにも長ける。(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)
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