世界的神童は「同じ人間とは思えない」「異次元」 W杯経験の日本代表戦士が衝撃を受けた海外FWは?【インタビュー】
FOOTBALL ZONE / 2024年8月14日 11時50分
■昌子源が感じた仏代表FWムバッペの「異次元」さ
J1首位に立つFC町田ゼルビアのDF昌子源は、海外リーグや国際大会を多数経験し、“世界を知る”選手の1人だ。日本を代表する百戦錬磨のセンターバック(CB)に、海外で印象に残った選手を訊いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小田智史)
◇ ◇ ◇
昌子はJリーグの“常勝軍団”鹿島アントラーズでプロキャリアをスタートさせ、2018-19シーズン、19-20シーズンはフランス1部リーグ・アンのトゥールーズに所属。20年2月に日本国内復帰を決め、ガンバ大阪、古巣・鹿島、そして今季から新興勢力の町田でプレーする。
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)は計5回出場し、鹿島時代にはクラブワールドカップ(W杯)も2回経験。代表シーンでは20キャップを刻み、2018年のロシアW杯では守備の要を担った。
そんな昌子は、「僕、何気に世界の有名どころ(選手)とやらせてもらっているんです」と笑顔を覗かせる。「ポジション的に直接対峙するとなったらFW」と前置きし、海外で最も衝撃を受けた選手にフランス代表FWキリアン・ムバッペ(レアル・マドリード)の名前を迷わず挙げた。
「僕の中で1位は断トツでムバッペ。リーグ・アンで対戦して、速さとか同じ人間とは思えなかったし、上手さを含めてホンマに凄いなと。僕はトゥールーズに所属していたので、リーグ公式戦とはいえ(チームの力関係的に)向こうがどこまで本気だったかは分かりませんが、『それでもこのレベルか』と感じました。W杯(決勝トーナメント1回戦)でベルギー代表のロメル・ルカク、(エデン・)アザール、(ケビン・)デ・ブライネの凄さを体感したあとにムバッペを見たわけですけど、ちょっと別次元でした。『どうやって止めるんやろ』と思いました」
■S・ラモスが名手クロースに要求し続ける姿に感銘
昌子は鹿島時代の2016年にクラブW杯決勝でスペイン1部ラ・リーガの名門レアル・マドリードと対戦(2-4)。18年のクラブW杯準決勝でもレアルと激突(1-3)している。
「国際大会で言うと、クラブW杯(決勝)でやった時の『BBC』の(カリム・)ベンゼマとクリスティアーノ・ロナウド(もう1人のギャレス・ベイルは負傷で帯同せず)も強烈でした。ポジション的に直接対峙する回数は少なかったですけど、対戦相手として凄いなと思ったのは(当時ルカ・)モドリッチと(昨季限りで現役を引退したトニ・)クロース。サッカー選手として当たり前の『止めて蹴る』において、本当にミスがなかったです」
また、レアルとの2度の対戦で、元スペイン代表DFセルヒオ・ラモス(現在無所属)も強烈的なインパクトを放っていたという。
「セットプレーのマークでセルヒオ・ラモスについたんですけど、凄かったですね。『俺はここだ!』みたいな感じで、ずっとクロースに向かって叫んでいるんです。そして、少しでも自分から(ボールが)ズレると、クロースにめちゃくちゃ怒る。ああいうのを見ると、点を取るべくして取っているCBやなと思いました」
G大阪時代の2022年には、フランス1部パリ・サンジェルマンとのプレシーズンマッチ(2-6)では、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)とブラジル代表FWネイマール(アル・ヒラル)のプレーも昌子は肌で感じている(当時のチームにはムバッペやS・ラモスも所属)。
「コンペティションとして少しエンターテインメントな面がありましたけど、メッシとか僕が改めて説明するまでもなく、人と違う感覚のドリブルをしていたし、ネイマールも上手さは群を抜いていました」
ほかにも、昌子の口を突く選手名は実に豪華だ。
「(元ウルグアイ代表FWエディンソン・)カバーニ(当時パリ・サンジェルマン)ともリーグ・アンでやっているし、(オランダ代表FW)メンフィス・デパイも彼がリヨンの時に対戦している。デパイは『どうやって止めるんだろう』『コイツ化け物やな』と思いました。あと(コロンビア代表FWラダメル・)ファルカオ(当時ASモナコ)、セネガル代表FW(エムベイェ・)ニアング(当時レンヌ)とかも凄かったですね」
世界的に知られる実力者たちとの対戦が今、J1首位を走る町田でキャプテンとしてチームを牽引する昌子の血となり、肉となっている。
[プロフィール]
昌子源(しょうじ・げん)/1992年12月11日生まれ、兵庫県出身。米子北高―トゥールーズ(フランス)―G大阪―鹿島―町田。J1通算271試合・9得点。日本代表通算20試合1得点。スピード、対人守備、判断力、フィード力を兼ね備えた万能センターバック。ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドやフランス代表FWキリアン・ムバッぺといった世界最高峰のアタッカーとの対戦経験を持ち、今季は新天地の町田でキャプテンとしてチームを牽引する。冷静な分析や言語化するセンスにも長ける。(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)
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