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試合前日に「ふざけんな!」 日本代表10番が“怒りの帰宅”…凍り付く練習場「やばい!」【インタビュー】

FOOTBALL ZONE / 2024年8月16日 7時10分

■東京Vの黄金時代を支えた北澤豪氏、当時のエピソードを回想

 Jリーグが発足した1993年以降、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)が長らく日本サッカー界をけん引した。そんな名門クラブの黄金時代に活躍し、現在は東京V応援番組「カモン!ヴェルディ!!」(BS松竹東急・全国無料放送・ch260)のMCを務める元日本代表MF北澤豪氏が、当時のエピソードを明かした。(取材・文=河合拓/全2回の2回目)

   ◇   ◇   ◇

 Jリーグ発足当時に多数のスター選手を擁したV川崎の人気ぶりは、30年を超えたリーグの歴史を振り返っても最高水準だろう。

 北澤氏は「時代がそうさせた部分もあるだろうね。ただ一方で今の時代に合わせたビッグクラブは作っていかなければいけない。それは日本サッカー界のためでもある。とはいえ、それだけじゃダメ。今はJリーグに60クラブあるから、際立つ個性がないといけない。それが地域に合ったものなのか、クラブ規模に合ったものなのかなど、いろいろと考える必要はあるでしょうね」と、規模を拡大してきたJリーグのさらなる発展を見据える。

 当時の常勝軍団・V川崎は何が凄かったのか。北澤氏は回想する。

「勝負にこだわる部分は、どんなクラブにも負けなかったと思う。選手たちは単なる仲良しというわけではなかったし、それぞれ違うサッカー哲学を持っていた。それでも、みんなに共通していたのは『絶対に勝つ』という部分。みんなで一緒に何をしたいのか。それは、ただ勝ちたいという一心だった。みんなで勝ちたい。そして、みんながいないと勝てないという思いを持っていた」

 練習では、たとえ試合前日であっても気を緩めることは一切できなかったという。北澤氏は「ラモス(瑠偉)さんがいたからね」と笑い、チームの雰囲気を引き締めていた元日本代表10番のエピソードを振り返った。

「気を抜いていなくても『気を抜いている!』って言われましたからね。試合の前日練習はコンディション調整もあるから少し強度を落とすのが一般的で、気を抜いたような雰囲気が漂うこともあるけど、ラモスさんは『ふざけんな!』『おまえら、そんな力の抜いた練習で勝てるわけないだろ!』って怒って帰ってしまうこともあった。勝利への熱い思いを秘めているラモスさんの姿を見て、こちらは当然『やばい!』ってなりますよね。当時はそうやってあえて周りに厳しく言うことで、チームだけでなく自分自身も追い込んで、自分にも厳しくストイックな人がめちゃくちゃ多かった」


東京V応援番組「カモン!ヴェルディ!!」でMCを務める元日本代表MF北澤豪氏。当時のエピソードを熱く語った【写真:徳原隆元】

■東京V在籍の重みと意義「ぜひ理解してほしいと思っています」

 名門クラブの歴史を知る北澤氏は、選手たちに東京V在籍の重みと意義を感じてほしいと語る。

「選手たちが東京Vで活躍することはクラブの財産になりますが、移籍して他クラブで活躍している選手も多くいる。東京Vでプレーした選手全員が日本サッカー界の財産。そうした選手を多く育て、輩出している場所でもあるし、今東京Vに在籍している選手はもちろん、これから東京Vに来る選手にもそうした重みや意義をぜひ理解してほしいと思っています。東京Vに来てさまざまなものを吸収したり経験しながら何かを勝ち取り、自分のサッカー人生に生かせる選手になってほしいですね」

 そんな名門クラブの系譜を継ぎ、飛躍を遂げている選手の1人として9番を背負うFW染野唯月の名前を北澤氏は挙げた。

「染野選手は『このチームを昇格させるために来た』と口にし、活躍してくれている。それで実際に昇格を決めるPKを決めて感動しましたね。あのPKを決めた約1か月後、沖縄でキャンプをしている時に、たまたま同じホテルに泊まっていたら朝食エリアで挨拶に来てくれたんです。その時にこちらから『ありがとうな、昇格を決めてくれて。おまえがいなかったら、昇格はなかったと思う』と率直に感謝の思いを伝えました。そんなことを言われると思っていなかったのか、ちょっと泣きそうになっていましたね(笑)。先日も自分がMCを務めている東京V応援番組『カモン!ヴェルディ!!』に出てくれて、ヴェルディへの想いを語ってくれた。本当に嬉しいですよ」

 東京Vでプレーする選手たちの顔ぶれは時代とともに変わる一方、北澤氏は「サッカーでファンを魅了する部分は変わらない」と共通点を挙げている。

「選手たちは、目線を自分たちのサッカーを楽しむところに置きつつ、お客さんに喜んでもらうことも意識している。それは普段から遊び心のあるプレーをしていないとできないし、余裕があるからこそできる。東京Vの根底に流れるそうした部分は、昔も今も変わっていないと思う。余裕がない人は楽しめないし、全力でやったなかで楽しもうという気持ちじゃないといけない」

 懸命に戦いながらもファンを魅了するサッカーを続けてほしいと切望する北澤氏は、時に厳しく時に優しく古巣を見守っていく。

[プロフィール]
北澤豪(きたざわ・つよし)/1968年8月10日生まれ、東京都出身。修徳高―本田技研―読売クラブ―V川崎(東京V)。J1通算265試合41得点。日本代表通算58試合3得点。豊富な運動量と闘志あふれるプレースタイルから「中盤のダイナモ」と称され、2002年の現役引退までヴェルディ一筋を貫いた。引退後はサッカーの解説者や指導者として幅広く活躍し、一般社団法人日本障がい者サッカー連盟会長としても強化・普及に取り組むなど、日本サッカー界を支えている。BS松竹東急の8月25日(日)「東京ヴェルディ×鹿島アントラーズ」生中継で、本田泰人氏とともにW解説を務める。(河合 拓 / Taku Kawai)

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