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試合当日に告げられた“J1デビュー” 突然の抜擢…大卒プロ3年目で「0がやっと1に」

FOOTBALL ZONE / 2024年8月18日 14時31分

■川崎GK早坂勇希が横浜FM戦で公式戦デビュー

 川崎フロンターレは8月17日にJ1第27節で横浜F・マリノスとの神奈川ダービーに臨み、1-3で敗れた。守護神のGKチョン・ソンリョンがコンディション不良で急遽欠場となり、アカデミー出身のGK早坂勇希に公式戦デビューの機会が巡ってきた。ついに訪れたデビューはほろ苦い敗戦となったが、25歳のGKは「ここからがスタート。0がやっと1になった」とさらなるステップアップを誓った。

 直近8試合負けなしの3連勝中で、24歳のFW山田新が3試合連続2得点と波に乗るなかで迎えたダービーだったが、試合前に発表されたスターティングイレブンにGKチョン・ソンリョンの名前がなく、SNSではサポーターから驚きの声も上がった。鬼木達監督によれば「コンディション不良」による、当日判断での欠場だったという。

 守護神の不在。FC町田ゼルビアから期限付き移籍加入のGK山口瑠伊もメンバー入りしたなか、この緊急事態にゴールマウスを託されたのは大卒プロ入り3年目の早坂だった。指揮官は「早坂は日頃からもういつでもいける準備をしていた。ここ数試合もベンチに入りながらいい準備をしていた」と自信を持って早坂を先発として送り出した。

 早坂はそんな監督の期待に応えようとピッチで奮闘。最後尾から積極的に声を出して味方を鼓舞し、FWアンデルソン・ロペスの先制PKの場面も、シュートコースにはしっかりと反応し、手に当ててあと一歩でセーブという反応の鋭さを見せた。デビュー戦とは思えない堂々たるパフォーマンスに、サポーターも熱い歓声や拍手を送った。

「まずは自信を持ってプレーするというのを心がけていました。チームが今勢いづいているので、しっかりと(失点を)0で抑えれば前が(得点を)取ってくれると思っていました。なのでまずは自分にできることを1つ1つやりました。(PKは)自身を持って飛びましたけど、触ってはいたので弾ききりたかった」

 チームを信じて戦っていた早坂。試合前には「鬼さん(鬼木監督)が『(早坂の)デビュー戦をしっかり勝とう』という話をしてくれていた」と大きな期待をかけられていた。大一番でのデビュー。気合は十分だっただけに、このほろ苦いデビューには「GKとして3失点しているというのは責任を感じますし、自分が流れを変えてしまった部分があったのでそういったところも反省をしています」と悔しさを滲ませた。しかし、ここがプロとしての“スタート地点”だと意気込みも新たにしている。

「日頃、常にいい準備をしているというのはGKとして当たり前のことですし、いつどんなスクランブルが起きても対応できるようには準備しています。ここからがスタートというか、本当に0やっと1になったというところ。GKにとって、この0から1というのが一番難しいところとは言われているので、ここから色々な経験をしてしっかりとゴールマウスを守っていきたいなと思います」

 今後も経験豊富なチョン・ソンリョンや世代別代表経験を持つ山口との激しいポジション争いは続くが、等々力の地で踏んだこの大きな一歩は早坂にとって大きな飛躍のきっかけとなるだろうか。(石川 遼 / Ryo Ishikawa)

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