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東大卒キックコーチが世界へ「イギリスにもいなかった」 海外視察で得た確かな自信【インタビュー】

FOOTBALL ZONE / 2024年9月4日 8時30分

■東大卒業と同時に「Kicking Lab」を起業、1年間で2186人を指導

 現在解説者として活躍する林陵平氏がかつて監督を務めるなど、サッカー界に多様な人材を輩出している東京大学ア式蹴球部(体育会サッカー部。以下、ア式蹴球部)。そうしたなか、東大卒業と同時にサッカースクールを起業し、国内でも珍しいキック専門コーチとして活動する人物がいる。田所剛之(2023年卒業)さんだ。今回は、キックコーチとして活動するその内容と、10月から本格的に開始するという海外進出についてインタビューを行った。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

   ◇   ◇   ◇   

 田所さんは高知県出身で、東大進学を機に上京。東大サッカー部では3年次までフィジカルコーチを務めた。実は当時「FOOTBALL ZONE」でも一度取材をしており、在学中からキックコーチとして起業するビジョンを語っていた。その宣言どおり、在学中の4年次にはキックコーチとして指導を始め、卒業と同時に「Kicking Lab」を起業して本格的にキックコーチとして活動を事業化した。1年目となった昨年の活動は多忙を極めたという。

「在学中はパーソナルトレーニングのみを行っていましたが、起業後はより多くの人数を指導できるようサッカースクールも開始しました。都内を中心に4か所9クラスで開催し、各クラス月2回開催しています。加えてパーソナルトレーニングも引き続き行っており、月間40~50件ほど担当させていただいています。合計すると1年間で延べ2186人の方に指導させていただき、充実した1年目を過ごすことができました。

 年代は小学生から大人まで幅広く担当していますが、主に小学生に指導をすることが多いです。というのも、中学、高校、大学とステージが上がっていくと、技術というよりもフィジカルの比重が大きくなる傾向があるからです。私はフィジカルで解決するような蹴り方を身に付けてしまう前に、効率的かつ合理的に強いキックを蹴るという技術を指導したいという気持ちがあるため、若い年代に関わることが多いです。

 1年間、スケジュールがパンパンになるくらい仕事を詰め込んで本気で指導に没頭してみて、1回のトレーニングだけでも格段に上手くなる方がいたり、年間を通じてみるみるうちに成長していく姿を見て、自分のキックに対する理論は間違っていないんだなと思えました。自分も回数をこなすことでどうやったら選手に伝わりやすいのかといった部分も身に付いて、それがすごく自信になりました」


キックコーチとして海外3か国を回って指導し、確かな自信を得たという田所剛之さん【写真:東京大学運動会ア式蹴球部】

■ケニア→イギリス→スペインで自ら営業、海外で得た確かな手応え

 そんな田所さんは今年10月から本格的に海外での活動を開始する予定だという。その下準備として、今年6月には1か月間でケニア、イギリス、スペインの3か国を回る海外視察を行った。その視察を通じて、自身の指導メソッドは海外でも通用すると感じたと語る。

「もともと親の教育方針もあり、小さい頃から英会話教室に通っていたり、留学生のアメリカ人を家で受け入れていたりと英語や海外を身近に感じる環境で育ちました。私は姉がいて、その姉は今カナダで働いていたりもするので、僕自身も海外志向というか、いつか海外を拠点に働きたいという気持ちがありました。

 昨年の活動を通して、自分なりに指導理論が確立できたなという印象があり、それが海外でも通用するのか試してみたいという気持ちから、まずは実際に体験してみようということで6月に1か月間で3か国を回ってみました。ケニアに知り合いの方がいたので、その方を頼ってまずはケニアに行き、そこからイギリス、スペインを回りました。イギリスはロンドンとマンチェスター、スペインはバルセロナ、マドリードに行きました。

 ツテもなかったので、各都市、数十通ずつメールをひたすらに送り、アポを取ってトレーニングさせてもらうというやり方でがむしゃらにトライしました。そのなかで一番手応えを感じたのはイギリス、特にロンドンでした。ロンドンでは5日間で5件のトレーニングを行うことができました。イギリスはやはりサッカーへの関心が非常に高く、キックの指導も前のめりに聞いてくれましたし、『新しいものを受け入れよう』という雰囲気を感じました。年代も小学生からユースまで、レベルもプレミアの下部組織にいるような選手が集まるハイレベルなスクールからエンジョイ系のスクールまで、幅広く担当させていただくことができたのですが、どのクラブでも日本と同じように技術を向上させることができました。現地のコーチから『イギリスにもキックコーチはいない』と言われたのが印象に残っていて、それが自信になりました」

■「将来的にはイギリスと日本の2拠点生活を」キックコーチが描くキャリアプラン

 3か国を回り、確かな自信を得たという田所さん。10月には再びイギリスへ渡り、ここから海外での活動を本格化させる。

「今回の滞在での手応えを踏まえ、今後はロンドンを拠点に活動していこうと思っています。そのために10月には再度イギリスに渡り、1か月間みっちりとトレーニングをしていくつもりです。すでに前回の滞在時にパーソナルトレーニングを申し込んでいただいた方もいますし、スケジュールの都合で行けなかったスクールもあるので、1か月間というある程度まとまった期間でしっかりとビジネスの形にしていきたいと思います。

 将来的には、イギリスと日本の2拠点生活を考えています。そのために、1か月間よりももっと長く向こうに滞在する機会を作りたいというのが直近の目標です。そのためにイギリスの大学院への留学を考えていて、自分は今経営について学問的関心があるので大学院でMBAの取得を目指しつつ、キックコーチとしても活動するような、そんな生活サイクルをイメージしています」

 このインタビューを行った前日にも、イギリスの小学生にZoomを使ってパーソナルトレーニングを行っていたという田所さん。着実にステップアップをしているキックコーチのグローバルな活躍から目が離せない。(FOOTBALL ZONE編集部)

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