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東京Vに変革の波…「アカデミーも変えていこう」 “ミニラ”帰還で一変、漂う名門復活の兆し

FOOTBALL ZONE / 2024年9月15日 8時30分

■今季J1復帰のトップチームに続き…東京ヴェルディユースが躍進

 高校生年代の大会の1つ、プリンスリーグ関東1部において東京ヴェルディユースは10勝1分の無敗で首位を独走する。

 彼らのサッカーを見ていると東京Vらしいテクニカルかつリズミカルなパス回しと崩しだけではなく、どこか力強さを覚える。ペースを掴んでいる時は鮮やかに相手の逆を取りながら切り崩していくのはいつもの光景だが、劣勢に立たされた時の組織としての一体感、何がなんでも守るという迫力は例年のチームと比べるとかなりヒシヒシと感じる。

 それはトップチームにも通じるものがある。東京Vと言えば、Jリーグ発足前は読売クラブとしてその圧倒的なタレント力と技術力をベースに日本サッカー界をリードする存在だった。1993年にJリーグが誕生してからも日本サッカーの顔として君臨し続けた超名門クラブだ。

 しかし、2008年にJ2降格を味わってから長く2部生活を強いられるなど、かつての栄華とは裏腹に大きな低迷期間を味わうこととなった。育成年代ではトップクラスのタレントと実力を持ち、全国大会で輝かしい結果を残していたが、2014年シーズンにプリンス降格を味わうと、そこからプリンス関東でのプレーが続いている。

 だが、2022年シーズンの途中に熱血漢で知られる城福浩監督がトップチームの指揮官に就任してから、名門復活が一気に加速した。トップチームは城福監督就任2年目の23年に実に16年ぶりとなるJ1復帰を果たすと、今季はJ1において現在6位につけるなど、着実に勝ち星を積み重ねている。

「勝ち切ることで選手は成長する。勝利と育成と言われますが、勝負強さは捨ててはいけない。結局、『勝たせられる選手』が上に行く。うまいだけではなく、勝負強い選手じゃないと生き残っていけないのがプロの世界なんです」

 こう語るのは2022年から東京Vアカデミーヘッドオブコーチングに就任した中村忠氏。V川崎時代の全盛期に「ミニラ」の愛称で親しまれた名プレーヤーがアカデミーを引っ張る立場として11年ぶりに帰還し、今、トップチームとともに新たな変革をもたらそうとしている。

「トップが変わって行っているからこそ、アカデミーも変えていこうという話ですね。トップチームの柏レイソル戦(J1第29節、3-2の勝利)なんて僕も鳥肌が立つくらい凄かったし、熱かった。城福監督が素晴らしいものをクラブにもたらしているからこそ、クラブ全体としてそのマインドは大事にしないといけないと思っています」

 それは東京Vユースを指揮する薮田光教監督も同じ思いだ。

「勝ちたいから全力で奪いにいく、負けたくないから走る。そこは大事。もちろんその気持ちを大事にしながら、走るべきところ、強くいくべきところなど状況判断のベースはこちらでしっかりと伝えていかないといけないと思っています」

 薮田監督も読売クラブジュニアユース、ユースで育ち、そこから1995年にトップ昇格をして1998年までプレー。その後、横浜FC、ヴィッセル神戸、アビスパ福岡、FC岐阜を渡り歩いてから指導者の道へ。2023年に東京Vユースの監督に就任した。

「僕が監督になった意味、ヴェルディで雇われている意味は、もう一度自分が経験した強い時のヴェルディを取り戻すために佐伯直哉コーチたちとともに一生懸命やってきたので、綺麗なサッカーだけではなく、勝利にこだわりながら、個人個人で力を磨いていくことを大切にしています」

■ヴェルディは「真の負けず嫌いの集まり」復権への気概露わ

 こうした熱い想いが今の東京Vのトップチームだけではなく、ユースにも勝者のメンタリティーを植えつけている。

 もちろん、これまでの東京Vユースがダメだったわけではない。三竿健斗(鹿島アントラーズ)、渡辺皓太(横浜Fマリノス)、山本理仁(シントトロイデン)、森田晃樹(東京V)、藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)など優秀なタレントを世に輩出し続けている。

 クラブとしての伝統と技術というベースは脈々と受け継がれているからこそ、もう一度原点回帰というべきか、あの「嫌らしいまでに強い」時代を取り戻す。その気概がスタッフ、そしてチームから漂いつつある。

「このクラブの素晴らしいところは、ユースでいいプレーをすればすぐにトップの環境に身を置くことができる。実際に高校3年生のMF山本丈偉はすでにトップに上がっていますし、FW川村楽人もトップ昇格が決まっていて、呼ばれたらすぐにトップに行くことができる。

 僕もトップのミーティングにも参加をさせてもらっているので、『城福さんはこういうことを言っていたよ』と伝えています。こうした環境は選手にとって大きなプラスだと思います。だからこそ、ユースとしては山本や川村などが抜けても、1人の人間に頼り切らないで、『この選手がいる時はこういうサッカーができます。いなくてもこれができます』という形を持って、個々のスキルアップをベースにチームとして勝ちにこだわることを大事にしています」

 薮田監督の言葉どおり、プリンス関東第10節の鹿島学園戦でも山本不在のなか、試合のリズムを掴み取って先制し、時折来る相手の鋭いカウンターに対しても全員が集中力を切らさずに激しい球際で打ち勝つなど、1点を守り切って勝利を手にした。

「読売クラブ、東京ヴェルディというクラブは僕の中では『真の負けず嫌いの集まり』なんです。試合はもちろん、練習でもミニゲームでも1対1でも、ボール回し1つにとっても、『負けることは恥ずかしいこと』というメンタリティーが染み付いていましたから。ヴェルディというクラブは上手いだけじゃなくて、上のステージで戦うチームでないといけない。今、プリンス関東にいる時間が長いからこそ、プレミアを目指して一丸となって、驕ることなくやるべきことをやり続けていきたいです」(薮田監督)

 11年ぶりのプレミア復帰に向けて。なによりこれまでの誇りとこれからの未来に向けて。真の負けず嫌いの集団になり、それが当たり前になっていくように。今、東京Vはトップだけではなく、アカデミーを含めて、サッカー界屈指の熱量を持ったクラブになろうとしている。(FOOTBALL ZONE編集部)

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