浦和に見えた前任者の“功績”「良く生きた」 アタッカーも実感…復帰の指揮官も評価

■スコルジャ監督「ヘグモ前監督のいい仕事の部分が出ていたと思う」

　浦和レッズは9月14日のJ1リーグ第30節のガンバ大阪に1-0で勝利した。昨季の指揮から復帰して初陣を飾った形になるマチェイ・スコルジャ監督は、決勝点の場面について「ヘグモ前監督のいい仕事の部分が出ていたと思う」と話した。

　浦和は昨季にスコルジャ監督が就任して、決勝のみ年をまたいでの開催だったAFCチャンピオンズリーグ（ACL）2022を優勝。リーグ戦では4位、ルヴァンカップで準優勝の成績を残した。年末にはクラブ・ワールドカップ（W杯）に出場し、4位という成績だった。しかし、スコルジャ監督は家族の事情により1シーズンで退任となっていた。そして今季はペア・マティアス・ヘグモ監督が率いてシーズンがスタートしていたが、8月末に解任を決断。スコルジャ氏が新監督として復帰し、7日のトレーニングから指揮を執っていた。

　昨季にJ1最少失点を誇ったスコルジャ監督のチームから、今季のヘグモ監督に期待されたものこそ得点力アップ、攻撃の構築だった。しかしながら、そのバランスを取りながら進めていくチーム作りは難航した部分もあり、同時に昨季からシステムを変えたこととハイプレスの割合を増やしたことで、失点は大幅に増加してしまった。

　一方で、攻撃の部分で着実に成果を残していた部分はある。特に運ぶドリブルで相手を引き付けながら次の味方にパスを渡していく攻撃の流れは、ビルドアップの改善に役立った。

　そして、この日の後半5分、右サイドでDF石原広教とスイッチしてボールを持ったMF大久保智明は中央方向にドリブルし、G大阪の守備陣を引き付けてから右サイドのMF渡邊凌磨に展開。そして、渡邊のクロスをファーサイドでMF関根貴大が押し込んだ。関根によると、中に入る選手がどこに走り込むかなどの約束事には違いがあるそうだが、大久保のドリブルから渡邊に良い形でボールが渡った場面はヘグモ前監督のトレーニングでよく見る形だった。

　それだけにスコルジャ監督は試合後会見で「本日の得点も非常にいいプレーから生まれたと思う。それは、ヘグモ前監督のいい仕事の部分が出ていたと思う」と話した。また、起点になった大久保は「ヘグモさんの時にサイドハーフの選手がどんどん2対1、前にスペースがあればどんどん侵入して『プッシュしていけ』と言われるんですけど、（相手を）引き連れてというところで良く生きた場面だと思う」と話した。

　攻守のバランスという点で、守備と攻撃を分けて考えることができないのがサッカーの難しいところだが、局面によって良いプレーは生かしながら積み重ねることができる。その点では、両監督の指導による良さが生きた勝利と言える試合になった。（轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada）