川崎がハマった“Jクラブ敗戦の典型” ファインダー越しに見えた韓国特有の必勝パターン
FOOTBALL ZONE / 2024年10月3日 8時30分
■1日に行われたACLエリート第2節で光州に0-1で敗れた川崎
川崎フロンターレは10月1日に行われたAFCチャンピオンズリーグエリートのリーグフェーズ第2節で光州FCに0-1で敗れた。前半、カメラのファインダーで捉える絵柄は、光州の守備陣がボールをキープしているところへ、川崎の選手がプレッシャーをかけに行く場面だった。
その川崎のプレスに対して光州の各選手は冷静にボールをつないでいた。試合後の記者会見でイ・ジョンヒョ監督が、ハイプレッシャーを警戒していたと語ったように、川崎の前線からの守備は織り込み済みだったというわけだ。
光州としては隣国のライバルを相手に意地を張って攻め合いを挑んで、川崎の攻撃に晒されるよりも、強い警戒心を持って自陣でボールをキープし、まずは相手に得意のサッカーをさせないという意識が強かったようだ。そして、川崎のプレッシャーを受ける中でもボールを回し、チャンスと見れば、一気にカウンター攻撃を仕掛けていった。多くの人数を配置してゴール前を固め、ボールを保持していても積極的に前線へと進出することを控え、ここぞという場面でのカウンターアタックで勝負というスタイルが、見事に的中したのだった。
対して川崎は自陣で我慢強くチャンスを待つ光州の牙城をパスサッカーで崩そうとしていたが、いかんせんスペースと自由がなかった。なにより守備への高い意識を持った最終ラインをパスサッカーで崩すには、相当のクオリティーが必要。Jの舞台でパスサッカーを標榜し、その牽引的役割を担って成功も収めてきた川崎だが、それも難しかった。
ただ、後半に入ると川崎にとっては幸運となる、思わぬ展開が待っていた。1点を先行した光州がより強く守備を意識し、多くの選手を自陣ゴール前に配置するようになったことで、川崎にとっては中盤で受けるマークの厳しさが弱まり、パスサッカーを展開しやすくなった。徐々にペースを取り戻していったように見えた。
しかし、それは表面上のことでしかなかった。幻となった小林悠のゴールもあったが、最深部を人海戦術で守る光州の最終局面は崩すことができなかった。守備重視のスタイルには、パスサッカー一辺倒ではなく、先週金曜日の対アルビレックス新潟戦で見せたマルシーニョのスピードに、山田新とエリソンのパワーを融合させた、多少は荒っぽいサッカーでかき回すことも一手だった。
川崎は今季のリーグ戦で思いもよらぬ苦戦を強いられている。J2降格の可能性もまったくないわけではない状況で、週末のリーグ戦に主力を投入したい気持ちが鬼木監督にあって不思議ではない。スタメンの選手たちがゴールを奪えないと見ると、残り20分ほどとなって山田、エリソン、マルシーニョを投入して挽回を目指したが、本格的な反撃態勢を整えるのが少し遅かった。最後まで前半にPKで決められた1点が重くのしかかった。
取材ノートを紐解いてみると、2007年から、AFCチャンピオンズリーグにおいてJクラブが韓国の地で戦った39試合に足を運んでいた。かの地で日本が負けた試合展開は、攻めながらも最終局面を崩せず、前掛かりとなったところにカウンター攻撃を受けて失点というパターンがかなりある。いや、ほとんどだったと言っていい。
韓国のクラブはホームでもゴール前を固めてカウンターから得点を奪おうとする、内容で劣勢に立たされても、勝負には勝つスタイルで臨んでくることが多い。川崎にとってはそうした対日本用のスタイルで戦った光州の術中にまんまと嵌まった試合となった。日本のチームは長年にわたってこのパターンで敗れることが多いだけに、明確な対処方法を見つけてもらいたいところだ。(徳原隆元 / Takamoto Tokuhara)
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