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“トルメンタ旋風”で主役も「順風満帆ではない」 選手権で大ブレイク…プロ目指す逸材の今

FOOTBALL ZONE / 2024年10月17日 12時10分

■高川学園高時代トリックプレーの主役、明治大・林晴己の現在地

 大学3年生の秋。この時期は徐々に再来年のJリーグ加入を決める大学生が増えていく時期だ。4年生の注目タレントの進路はほぼ決まり、Jクラブスカウトの興味は下級生に傾き、中でも3年生の注目選手の動向はどのクラブも気にしているところだ。

 明治大学の3年生アタッカー・林晴己もJクラブが注目する選手の1人だ。主戦場はサイドで、サイドハーフとウイングバック、サイドバックもこなすことができるスペシャリストだ。

 山口県の高川学園高校時代は縦に鋭いドリブル突破とゴール前の勝負強さが光るストライカーで、ドリブルのキレと緩急の付け方は全国でもトップクラスの存在だった。

 しかし、有名選手かと言われたら、そうではなかった。1年時から出番を掴むも、このシーズンでチームはプリンスリーグ中国から山口県1部リーグに降格。2年時にはインターハイは開催されず、選手権も初戦敗退。3年生になってからも県リーグでのプレーが続き、埋もれていたタレントだった。

 だが、その中でも大学サッカー界屈指の強豪である明治大学はこの才能を見逃さずに獲得を決めると、高校最後の選手権で彼は大ブレイクの時を迎えた。1回戦の星稜高戦の前半8分、のちに世界中で話題となったトリックプレーの主役となった。

 右FK(フリーキック)を得ると、林を始めとした5人が手をつないでペナルティーエリア内左でグルグル回ると、キッカーであるMF北健志郎がボールを蹴った瞬間に手を離してゴール前に一気に雪崩れ込んだ。

 そして中央に入った林がドンピシャヘッドで合わせて先制点を奪った。この非常に珍しいトリックプレーの動画がSNSで一気に拡散されると、選手たちがスペイン語で嵐を意味する「トルメンタ」と名付けたことでさらに世界中に知れ渡った。

 トルメンタ旋風が巻き起こるなかで、林は3ゴールをマークし、チームもベスト4に進出。準決勝で優勝した青森山田に敗れたが、日本高校選抜候補に選ばれるなど大会の主役の1人となった。

 明治大に入ると持ち前のドリブルに加え、攻撃から守備への切り替え、球際の激しさなど力強さが身につき、すぐに頭角を現した。昨年はU-20全日本大学選抜に選ばれるなど、サイドでアクセントをつけられる選手として成長していく林の注目度は日に日に上がっている。

「高校も大学も順風満帆のサッカー人生かと言われると決してそうではなく、苦しい時期はたくさんありました。でも、常に考えているのはチームのために何ができるか。綺麗に突破するだけではなく、泥臭く前に運んだり、ハードワークを繰り返したり、1つのプレーに懸ける思い、1試合に懸ける思いを表現し続けたい」

■「1つ伝えたら考えて受け止められる選手」さらなる成長に恩師も期待

 話題になろうが、注目度が上がろうが、彼はブレることなく自分の道をいく。そんな林にはいつも気にかけてくれる熱いサポーターがいる。高川学園高校サッカー部の江本孝監督は、時折関東に指導者としての勉強をしにやってきては、その度に教え子の試合を見にきている。

 9月下旬にホーム・明治大学八幡山グラウンドで行われた関東学生サッカーリーグ1部の第12節桐蔭横浜大戦では、足を運んだ江本監督の前で林はゴールを決めて見せた。

「晴己は人の話をしっかりと聞ける選手だし、こっちが1つ伝えたら、それだけではなくその奥にある意味なども考えて受け止められる選手。ここから頑張ってほしい」

 その言葉を林に伝えると、照れくさそうにしてこう口にした。

「トルメンタをはじめ、高校時代は江本監督に指示されてやるのではなく、自分たちで考えて作り出すという環境でした。トルメンタがあれだけ認知されたことは、その時はただ『嬉しいな』と思っていたのですが、今思うと僕らの発想を尊重してくれて、やらせてくれた江本監督をはじめとしたスタッフの皆さんへの感謝の気持ちが大きいです。明治大では栗田大輔監督が人間として大切なことを教えていただいていますし、自分の武器を磨くというところ、ハイレベルな仲間と切磋琢磨できる環境でプレーをさせてもらっている。人に恵まれていると思います」

 謙虚に、かつ貪欲に。「明治大で必死にやり続ければ、夢は叶えられると思う」と口にする技術と人間力を兼ね揃えたサイドアタッカーの躍動に目が離せない。(FOOTBALL ZONE編集部)

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