久保は豪州戦ただの“不発”だったのか? “ニュー建英”が象徴された前半23分「やることはやるよ」
FOOTBALL ZONE / 2024年10月16日 7時50分
■久保建英の守備は効果的だった
森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング16位)は10月15日、ホームで行われた2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第4戦でオーストラリア(同25位)と対戦し、1-1で引き分けた。初戦の中国戦以来3試合ぶりの先発出場したMF久保建英は右シャドーで奮闘。守備でもプレスバックからカウンターにつなげるチャンスを作り出した。久保は一体オーストラリア戦でただの“不発”だったのか。言葉から紐解いていく。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
◇ ◇ ◇
ピンチの芽を摘んだのは背番号20だった。前半23分、日本の右サイドを攻め込まれた瞬間、前線の久保が最終ラインまで戻って相手から奪い切る。ここからMF堂安律とカウンターでチャンスにつなげた連係は2人の良さが光っていた。
「今は長い距離1人が戻ってとかいう個の力に頼った部分もありますけど、結局それって多分、うまく回らなかった結果、個人が頑張っている部分もあると思うので、理想はそれこそ僕がチームでやっているような前めの選手は切ったりとか、誘導してというチームでボールを取るのがベストだと思いますし、そこに重きを置きすぎてしまうと、やっぱりもっと上のチームでやったときには、当然後手に回ってしまう」
オーストラリア戦前々日の練習後に語っていた理想の守備。理想はありながらも、プレスバックから奪い切った守備を見せた久保。新たな姿を見せたその思いとは何だったのか。
「あれもそれこそ(相手の)20番だったんで、戻ったら取れるかなと思って。本来なら戻り切る前に取りたいんですけど、奪った後にカウンターもしっかりいけて、ある程度自信とかじゃないですけど、やることはやるよっていうのを見せられて良かったかなと思います」
攻撃陣の守備での貢献度が目立っていただけに、久保のプレーも効果的だったと示した。攻撃面では堂安と連係で崩していくアイデアも。完全に5バックを敷いて日本の良さを消してくる相手に対して、縦突破を図れたのは収穫と言ってもいい。特に前半は停滞していたように見えたところもあったが、ピッチ上の久保はいち早く試合後に改善点を見出していた。
「もっと多分、中村選手のように侵入していく方が相手も嫌なのかな、と。そうするとマイナスのところにボランチも入って来られると思いますし、まだえぐり切ってないと入りづらいと思うんですよね、ダブルボランチのところも。相手はファイブで守っているわけで、枚数かけられないで、弾かれるっていうのが、前半特に繰り返し起きて。そこのところを改善するならやっぱウイングバックなり、ワイドな選手が縦にえぐり切る、タッチライン際までいくのが大事なのかな」
久保自身、がっちり固めてきた相手に対して知恵を絞りながら手応えも掴んでいた。「最後まで中は使えなかったですけど、サイドから違ったクロス、違った形っていうのが途中から出てきたので、中にそれでも行かずにやっぱサイドから仕留めきるっていうのは言ってあって、守りきれないんだなって相手も思ったと思うので、それはそれで良かったかな、と思います」。右と左、両サイドに強みを持つ森保ジャパンだからこそ、違った特徴を生かし切った形だ。
サウジアラビア遠征から始まった今シリーズ。久保は合流も遅く、いつもの元気な様子がなかったのが心配だった。だが、日本に戻ってからは生き生きとし、“久保節”も復活。ピッチでほかの選手とは違う「良さ」を出せていた。ただ、ここからは「終わった後に監督言っていましたけど、中には連戦が止まらない選手もいるので、僕も多分その1人で、ここから8試合、9試合あって、これがひとまず12月末までは続くんで、まずは怪我だけ気を付けて、しっかり監督とチームと話しながら、本当に体調気を付けて、次までいいコンディションでいれればいいかなと思います」と話した通り、コンディション維持が重要になる。
インドネシア、中国の2連戦は長距離移動を強いられて、環境も決して良いものとは言えないだろう。まだまだ進化を続ける久保と森保ジャパンが描く未来を、悲観せずに見届けたいものだ。(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)
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