森保J、無敗も楽観視できない「大問題」 投入すべきだったラストピース【前園真聖コラム】
FOOTBALL ZONE / 2024年10月17日 19時30分
■オーストラリア戦はオウンゴール合戦でドロー決着
10月15日の北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選、オーストラリア戦で日本は後半13分、オウンゴールで失点してしまう。同31分、中村敬斗の突破から今度は相手のオウンゴールを誘って同点に追いつき、何とかホームでの敗戦は免れた。この試合を見た元日本代表の前園真聖氏は「個人だけにフォーカスする問題ではない」という。前園氏がこの試合で危機感を覚えたのはどの部分なのか、聞いた。(取材・構成=森雅史)
◇ ◇ ◇
オーストラリア戦を見て、僕は非常に危機感を持ちました。この試合は先制されて守りきろうとする相手に何とか追いついて同点に持ち込み、結果として2026年アメリカ・カナダ・メキシコW杯のアジア最終(3次)予選での無敗を続けることができましたが、個の問題も、チームとしての問題も浮き彫りになったと思います。
点を取られたからダメだったとか、そういう単純な話ではありません。「なぜできなかったのか」という点についてしっかりと問題を把握し、改善策を練らなければいけないポイントが出てきたのです。
オーストラリアは5-4-1の守備偏重というフォーメーションを敷いていました。背が高くパワーのある相手がペナルティーエリアをしっかり固め、その前に中盤を4人並べてライン間をコンパクトに保っていました。そんな守備主体の戦いだったので、この試合のオーストラリアのシュート数は1本、枠内シュート数に至ってはゼロです。オーストラリアはここまで破壊力を見せていた日本から、アウェーで、まずは負けない戦い方を考えていたと思います。
そこまでのディフェンシブな戦いぶりだったため、日本から見ればスペースがなく、なかなか縦パスが入れられない状況でした。相手を崩せるとしたらアウトサイドしかないということで、実際、ペナルティーエリアの横からのクロスは何本も入れることができたと思います。
三笘薫や久保建英は何度もサイドを突破しました。しかし、日本がクロスを入れるころにはオーストラリアの守備陣がしっかり出来上がっていて、ほぼ相手にカットされていました。そして日本は同じような攻めを何度も繰り返し、そのたびにはね返されるという戦いになってしまったのです。この内容は、まさしくオーストラリアが狙っていた展開だったことでしょう。
実は試合の中で何度か、こういう引いた相手を上手く攻略するヒントがありました。特に前半34分、守田英正がディフェンスラインのうしろにパスを送って南野拓実が走り込み、最後は三笘がシュートを狙った場面。ここでは押し上げていたオーストラリアのラインを一気に下げることができたため、DFと中盤の間にギャップを作ることができました。こうやって背後を狙っておけば、スペースができるのです。
ところが、前線の5人、久保、堂安律、上田綺世、南野、三笘と、みんなもともと足もとでボールを貰うのが得意な選手です。上田は裏に抜けるプレーも得意ですが、この日はポストプレーを求められることばかりでした。
ピッチの幅を広く使っても、こういう守り方をしてくる相手には効果的ではありません。横ではなくて縦に揺さぶることで、攻略の基点になる場所ができるのです。
選手たちは何本もクロスを入れて、合えばゴールになるという感覚だったのだと思います。ですが、効果的ではなかったのは明らかでした。そこをまず選手たちが調整できなかったことは問題です。
また、ベンチがオーストラリアの戦術に対して、試合の中で臨機応変に対応できなかったことは気になりました。たとえば前田大然を入れてずっと背後のスペースを狙わせ続けるなどの対応をすればよかったのではないでしょうか。
こうやって考えてみると、まだまだ日本が解決すべきことは残っています。今の順位に甘んじることなく、厳しく自分たちを見つめていって欲しいと思います。(前園真聖 / Maezono Masakiyo)
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