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Jユース→大学入り後「何も通用しない」…甘さ痛感、189cm大型ストライカーの紆余曲折

FOOTBALL ZONE / 2024年10月26日 8時30分

■阪南大2年生ストライカー中田有祐、恵まれた体躯を活かし頭角

 大学サッカー界の日本一を決める総理大臣杯で12年ぶりに頂点に立った阪南大学の前線に、注目タレントがいる。189cmの2年生大型ストライカー中田有祐だ。

 恵まれた体躯を活かした跳躍力はとにかく凄まじい。クロスボールに対するゴール前の密集で頭一つ抜け出し、ロングフィードに対して高いボールに対しても頭ではなく胸で収める。

「飛び方は工夫している」と口にするように、サイズに頼ることなく、両足でしっかりと踏み込んでから最高到達点でヘッドや胸トラップを行う。落下地点への予測も早く、彼の空中戦は分かっていても止められない。

 関西学生リーグ1部後期第3節の大阪体育大戦では左サイドでボールを受けたMF川端元が中に切り返して右足で放り込んだクロスに対し、ゴール前に斜めに走り込んでジャンプ。ただ頭で合わせるのではなく、空中でタメを作ってからしっかりとボールを額にミートさせて、矢のようなヘディングシュートをゴール左隅に突き刺した。

「川端は右利きなので、切り返してゴールに向かってくるクロスを上げると思っていたので準備をしていました。完全に捉えられたし、あの形は得意な形です」

 身体能力が高いのは見れば分かる。そこに自分の身体の使い方に対する理解度の高さが乗っかっていることで、彼の能力はさらに引き出されている。

「めちゃくちゃ考えるようになったのは大学に入ってからです。高校時代までは正直、気にしなくてもこのサイズとフィジカルで何とかやれていたんです。それこそ工夫せずに力でねじ伏せる形だったのですが、大学に入ったら一気に何も通用しなくなったんです」

 中田は群馬県出身で、地元の強豪クラブであるファナティコスから東京ヴェルディジュニアユース、ベガルタ仙台ユースでプレー。恵まれた身体能力を活用してきたが、大学に入って実力派の先輩たちや同級生FW金本毅騎のプレーを見て、「このままでは置いていかれる」と大きな衝撃とともに壁にぶち当たった。

 思い悩む中田に、阪南大のスタッフから「前線でヘッドではなく胸でボールを収めるようにしたほうがいい」とアドバイスをもらい、ポストプレーの改善から取り組んだ。これまでは頭に合わせに行っていたボールに対し、どうやったら胸に収めることができるか、どうやったら正確に置きたい場所に置いて、次のプレーにスムーズに移行できるのか。やればやるほど、多くの気づきと学びを得た。

「ボールの落下地点の予測、立ち位置、背負い方から受け方。徐々にできるようになると、ボールを蹴る前の周りの状況の把握や誰が蹴ろうとしているのか、キッカーがどこを狙っているのかまで考える範囲がどんどん広がっていきました」

■ユース時代の実力を思い返し「そりゃあの時は何もできない」

 プレーの引き出しが増え、身体能力という自分の素材がどんどん生かされていく感覚を掴んだ中田は、今年に入って一気に頭角を現していく。

 関西学生サッカーリーグ1部で金本とともにゴールを量産し始めると、総理大臣杯では2回戦の京都産業大戦で1ゴール、準々決勝の明治大戦では優勝候補を相手に決勝弾をマーク。新潟医療福祉大との決勝戦でも貴重な同点弾を叩き出し、3ゴールを挙げて優勝の原動力となった。現在リーグ戦では金本に次ぐ得点ランキング2位の10ゴール(10試合)を叩き出し、関西最強の攻撃デュオとなっている。

「ベガルタユース時代にトップチームの練習を参加させてもらったのですが、当時は正直ちょっと自信があって、上がれなかった時は悔しかったのですが、今思うと甘かったというか、『そりゃあの時は何もできないよね』と痛感しています」

 もちろん今もなお発展途上。彼が常に満足できないのは、心強い味方であり、最大のライバルがすぐ隣にいるからこそ。

「毅騎を最初見た時はとんでもない選手だなと思いましたし、それは今も変わりません。昨年、彼が大活躍を見せて、『絶対に食らいついてやる』と思ったし、今はライバルであり、いてくれないと困る最高の仲間。そういう存在がいてくれることは本当に感謝しかありません」

 彼らはこれからどれだけゴールを量産していくのか。関西最強デュオの今後から目が離せない。(FOOTBALL ZONE編集部)

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