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川辺駿が「一段も二段もレベルアップした」要因 影響をもたらした3人の名手【インタビュー】

FOOTBALL ZONE / 2024年10月27日 8時30分

■川辺駿は中村俊輔、青山敏弘、イニエスタと中盤の名手の影響を受けた

 J1リーグ第34節を終えて首位に立っているサンフレッチェ広島で、シーズン後半戦の躍進を支えている1人が、今夏に欧州でのプレーから復帰したMF川辺駿だ。そのキャリアでは、特に若き日に共闘した名手から受けた影響が大きかったという。そして、9月に29歳となったなかで、今後のキャリアビジョンについても語った。(取材・文=轡田哲朗/全4回の4回目)

   ◇   ◇   ◇   

 川辺は地元・広島の出身で下部組織から育ってトップチーム昇格。ジュビロ磐田への期限付き移籍も挟みながら活躍して、2021年夏から3シーズンを欧州でプレーして今夏に広島へ復帰した。1つの転機は、出場機会を得られないでいた若かりし頃、2015年に磐田へと期限付き移籍したこと。そこで出会った日本歴代屈指のレフティーであるMF中村俊輔(現横浜FCコーチ)との出会いは大きかったという。

「誰もが知っている選手で、いろいろな面で超一流。ピッチ内外で、サッカーを中心の生活をしている。それは、あんなに凄い選手になっても努力を続けられるというのもそうですよね。素晴らしい選手なのは知っていたけど、一緒にプレーして肌で感じるのは違った。あれだけ凄い選手とプレーすると自分を引き出してもらえるし、一段も二段もレベルアップしたと感じる。一緒にプレーができたのは1年だけだったけど、その1年での成長がすごく大きかったと思う」

 また、磐田で3シーズンをプレーした間に、川辺といいコンビを見せていたのが元イングランド代表FWジェイ・ボスロイドだった。2シーズンを共闘し、15年には加入初年度でJ2得点王に輝いたストライカーについて、「彼とジュビロでやった時は凄いと思った。あれだけ大きくて、頭、右足、左足とシュートが正確。こういうのが海外の選手なんだと感じたし、素晴らしいクオリティーを感じられた。ジェイに関してはすごく要求もされたし、自分も要求に応えようと必死に食らいついた。それを評価してくれたと思うし、できると思うから要求してくれたと思う。そういういいストライカーや選手は影響力がありますね」と、当時のことを振り返った。


日本代表は2023年10月のカナダ戦から遠ざかっている【写真:徳原隆元】

■2026年W杯は「大きな目標」もまずは広島での結果

 広島の選手について「時間を共有している選手がたくさんいる」とする川辺だが、なかでもMF青山敏弘について「ポジション的にもお手本だった。若い時からもちろん、今でもすごくそう思っています。キックの質を1つ取っても、普通のレベルじゃないと直接見て、感じられていますね」と話した。そして、「日本代表の選手なんかも挙げればキリがないけど、長い間プレーすることはなかった。そういう選手が素晴らしいのは前提で、(この3選手については)一緒のクラブで長い時間を共有したからこそ感じられましたね」と話す。共通点は、若い時期にチームメイトとして過ごした名手であること。向上心を持って過ごす若手時代にどのような出会いがあったかは、キャリアの中でも大きい。

 一方で、敢えて対戦した選手で強い印象を受けた選手を聞いてみると、ヴィッセル神戸でプレーした元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタの名前が挙がった。世界的なスーパースターなのは周知の事実だが、川辺は「そんなに速いとか強いじゃないのに、すごく上手かった。時間とスペースを与えてしまった時には、クオリティーの高いプレーを目の当たりにした。日本にいた時は全盛期とは程遠いと思うけど、あれだけ余裕でプレーしていたので別次元のレベルの選手だと感じたし、凄かったなと思う。彼からしたら、Jリーグのレベルが低いとは言わないけど、余裕があったんだと思う」と、対峙した時に感じた「余裕」が最も心に残っていると話した。

 9月8日に29歳の誕生日を迎えた川辺は、これまでに日本代表で6試合プレーしているが、昨年10月を最後に出場がない。2026年の北中米共催ワールドカップ(W杯)について「サッカー選手として、もちろん大きな目標」と話すが、まずは地に足を着けてラスト4試合でリーグ戦の首位に立つ広島でのプレーを捉えているという。

「もちろん、今はヨーロッパ組が多いけど、W杯までまだ時間もある。いろいろな形でいろいろな選手が入っていくと思う。試合に出られない時期を過ごす選手も、急激に成長する選手もいると思う。特に日本のチームにいる場合は常に優勝争いをしないと選ばれないという気持ちでいる。今は広島がすごくいい状況だと思うし、今シーズンだけでなく毎シーズンタイトルを獲って、優勝争いできるチームになっていきたい。その中心でプレーしていれば、代表も近づくと思う。まずは今いるところで結果を出すことが大事。自分が来た時は3位くらいで首位とも差があった。それを踏まえるといい状況にあると思うし、残り4試合。簡単な試合がないのは理解しているけど、重要な試合、しびれるところでゴールを目指したい」


タイトルへの意欲を口にした【写真:徳原隆元】

■強くなったタイトルへの思い「たくさん獲りたい」

 そのうえで、今後のキャリアについては広島への復帰を決断した時点から大きなマインドの変化があると話している。

「12年くらいやってきて、ちょうどキャリアの折り返しというか半分くらい。自分が予想している、プレーしたい年齢までの半分くらいだと思う。その最初の半分は、チームのためにプレーしつつ自分のためにもプレーしていた。自分の成長や、どんどん上にいくためにプレーしていたけど、残りの半分、何年できるか分からないけど、より自分の上を目指すことやステップアップという部分ではなく、チームのためプレーすることにシフトチェンジしていく時期だと思う。

 今まで、自分のためにプレーして成長の角度は大きくできたと思うけど、タイトルが獲れなかった。残り半分をチームのために戦って、たくさんのタイトルを獲りたいという思いでいるので、最初の半分で大きく成長した部分を残り半分で結果に結び付けたいですね」

 若き日にベテランの名手から多くを学び、要求されながらも自身の向上に力を割いてさまざまな経験を積んできた。そして、育った街、育ったクラブに帰ってきた今、それをタイトルという形で還元しようとしている。広島が9シーズンぶりのリーグ優勝を果たした時、その最終盤では川辺が輝きを放つ姿があるはずだ。

[プロフィール]
川辺駿(かわべ・はやお)/1995年9月8日生まれ、広島県出身。広島ユース―広島―磐田―広島―グラスホッパー(スイス)―スタンダール・リエージュ(ベルギー)―広島。J1通算192試合15得点、J2通算33試合3得点、J3通算1試合0得点、日本代表通算6試合1得点。高いテクニックと豊富な運動量を誇るボランチ。2022年1月にはイングランド1部ウォルバーハンプトンと契約を結び、注目を集めた。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

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