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G大阪は「考えられないほど上向いた」 代表OBが称賛するチーム復活のキーマンとなった選手は?【前園真聖コラム】

FOOTBALL ZONE / 2024年10月29日 7時20分

■天皇杯の決勝がG大阪対神戸の関西対決に決定

 第104回天皇杯決勝のカードがガンバ大阪vsヴィッセル神戸に決まった。準決勝のG大阪vs横浜F・マリノスは同点で迎えた後半43分、松原健のゴールで横浜FMが勝利を収めたかに思えたがアディショナルタイムに中谷進之介が決めて2-2に。さらに延長後半アディショナルタイムに坂本一彩が決勝点を決めるという劇的な展開だった。また神戸vs京都も京都が一度は同点に追いついたが後半10分に佐々木大樹がこぼれ球に詰めて決勝点を奪っている。この熱い試合を勝ち上がった2チームに対する期待を、元日本代表の前園真聖氏は自身の経験を振り返りながら語った。(取材・構成=森雅史)

   ◇   ◇   ◇

 10月27日の天皇杯準決勝で、G大阪と神戸が決勝進出を決めました。両チームのみなさま、おめでとうございます。天皇杯は僕も思い出深い大会です。僕は結局リーグ戦でのタイトルを獲れませんでしたが、この天皇杯を獲ることができました。Jリーグがスタートした1993年度の第73回大会で、所属していた横浜フリューゲルスは優勝することができたのです。

 1994年1月1日の決勝戦の相手はJリーグで最初のステージ優勝を果たした鹿島アントラーズでした。6分、黒崎久志(当時は比差支)さんにこぼれ球を蹴り込まれて先制されてしまうのですが、前半終了間際にエドゥーのPKで同点に追い付きました。

 そして61分、センターサークルにいた僕にパスが来ました。競り合いながらボールをコントロールすると、目の前には相手選手が1人しかいません。そこでボディフェイントでかわして前に出ると、すぐペナルティエリアです。でもそこで遅れてきたDFに足を引っかけられて2本目のPKになり、足をかけてきた選手が退場になりました。

 このPKを再びエドゥーが決めてリードしたのですが、後半アディショナルタイム、奥野僚右さんにミドルシュートを決められて同点とされます。前年度の出来事に引っかけて「ドーハの悲劇」を思い出すような同点劇とも言われていたようです。ただ、延長戦に入ったら10人の鹿島の足が止まりました。延長後半7分に渡辺一平さんがCKをヘディングで叩き込むと、もう鹿島に反撃の力は残っておらず、その後もゴールを重ねて結局6-2で優勝することができたのです。

 1992年にクラブに入って1年目は出番がなく、2年目に出始めてすぐのタイトルだったのでものすごくうれしかったのを覚えていますね。ただ、誰に何を言われたか、なんていうのはすっかり忘れてしまっているんですよ。うれしいという感情が強烈すぎたのだと思います。

■G大阪は「考えられないほど上向いたと言える」

 今年の天皇杯決勝に話を戻すと、神戸は去年から安定した戦いぶりを見せていて、この決勝進出もその実力どおりかと思います。今はリーグ優勝も狙える立場の2位、AFCチャンピオンズリーグエリートでも3試合を終えて2勝1分の勝点7で2位、さらにこの天皇杯も決勝進出と安定した戦いを見せていて、チームがノッていることが分かります。

 一方のG大阪は2023年シーズンのことを考えると今の状態は考えられないほど上向いたと言えるでしょう。去年は9勝7分18敗で16位と、もしも今シーズンから20チームに増えていなければ入れ替え戦に出なければいけないような出来でした。

 ですが、今シーズン前に獲得した選手が的確でした。僕は一森純、中谷進之介らを獲得してまず守備の安定を図ったこと、それから宇佐美貴史が復調して、チームの中心として攻守にわたって貢献したことが大きいと思います。また岡山から復帰した坂本一彩の好調ぶりは準決勝の決勝ゴール以外でも目に付きます。

 G大阪の前に徳島を率いていたダニエル・ポヤトス監督は、日本人の行動様式を理解した上でG大阪に来た気がします。だから1年目にしっかりチームを見極めて、必要な選手を集め、その上で今年は適格な采配を振うことができたのだろうという点も見逃すことができません。

 今年の決勝は11月23日と4年連続元日以外の開催になりました。その点はちょっと寂しい気もしますが、両チームにはそんなことを感じさせない熱戦を期待したいと思います。(前園真聖 / Maezono Masakiyo)

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