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プロ内定逸材が感銘…出会った47歳が「最高のお手本」 “現役最後の日”に果たした名門校撃破

FOOTBALL ZONE / 2024年11月8日 7時30分

■J2水戸入り内定の日体大柏GK早川ウワブライト、英雄GKへ寄せた思い

 第103回全国高校サッカー選手権大会の千葉県予選準決勝で、日体大柏は2年ぶりの決勝進出を果たした。ユース年代最高峰のリーグであるプレミアリーグEASTに所属し、昨年度の選手権予選決勝で敗れている名門・市立船橋に対し、1-1からのPK戦の末に勝利を掴み取った。

 一進一退となったこのゲームで大きな存在感を放ったのが、J2の水戸ホーリーホック入りが内定しているGK早川ウワブライトだ。190センチのサイズを持つ彼は、長い手足とバネを生かしたセービングとキックが武器。俊敏性を生かして素早く適切なポジションに立って、そこからボールの軌道を見極めて軽やかにジャンプし、ボールを枠の外に弾き出す。物怖じしない性格もプロ向きの守護神だ。

 前線にパワーとシュートセンスがある選手を置く市立船橋に対しても、表情を崩すことなく冷静にプレーして前半をゼロで抑える。後半は1点のビハインドを跳ね返すべく、猛攻を仕掛けてきた相手にクロスからヘディングシュートを決められたが、そこからは一切崩れなかった。後半37分には市立船橋MF峯野倖にゴール前でフリーでシュートを放たれるが、「コースは完全に読めていた」と軽やかに右に飛んでゴールの外に弾き出した。

 延長戦でも安定感は崩れず、勝負はPK戦へ。ここで早川は4本中3本のキックコースを完全に読み切り、そのうち2本をセーブ。市立船橋による連覇を阻んだ。

「PKになった時はみんな自分を信じてくれた。2つのセーブはみんなのおかげです」

 こう語る早川にとって、この試合では特別な思いが1つあった。試合日だった11月3日は水戸のレジェンドであるGK本間幸司の現役最終戦の日でもあった。

「幸司さんは僕が練習参加をした時も温かく迎えてくれましたし、練習中もポジショニングの取り方やキックの種類や使い分けなど、細かい部分をいろいろと教えてくれました。プレー以外でも練習に取り組む姿勢、身体のケアの面でも学ぶべきことが本当に多かった」

 本間は1996年に水戸短期大学附属高校(現・水戸啓明高校)から浦和レッズに加入したのち、1999年から水戸にやってきてからクラブ一筋で26シーズン。水戸をJFL時代から知るまさにレジェンド中のレジェンドだ。47歳と早川にとっては親の年齢に近い本間は今年、現役最終戦までリーグ戦での出番はなく、セカンドGKやベンチ外も経験する中で、ひたすら自らの身体とチームとサッカーに向き合った。黙々と努力を重ねる姿は、早川にとってプロフェッショナルのあり方を学ぶ最高のお手本であった。

「僕はほんのわずかしか一緒にやっていませんが、大きな存在であることは間違いありません。だからこそ、今季で引退すると聞いた時は物凄く悲しい気持ちになりました。今日は幸司さんの引退試合と同じ日ということで、これは僕の勝手かもしれませんが、幸司さんの気持ちも背負ってピッチに立ちました」

 レジェンドに背中を押されるように早川は躍動した。だが、勝利の報告はこの日ではなく、11月9日の流通経済大柏との決勝戦のあとに伝えられるようにしないといけない。

「去年は準決勝で流経柏に勝ったのですが、決勝で市船に1-5の大差で負けた。僕はその時ベンチで見ていたのですが、負けたあとの先輩の表情や悔しさを思い起こすと、やっぱり決勝で勝って、全国の切符を掴んで喜びたい。だからこそ、次に切り替えています」

 本間のように周りから愛され、信頼される守護神となるように。早川は周りの人たちの思いを背負って決勝のピッチに立つ。(FOOTBALL ZONE編集部)

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