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J1残留へ“崖っぷち”、バス囲んだサポーター 敵地へ2000人超…選手が痛感「涙が滲むよう」

FOOTBALL ZONE / 2024年11月10日 7時20分

■札幌は湘南相手にアウェーで1-1ドロー

 北海道コンサドーレ札幌は11月9日、J1リーグ第36節で湘南ベルマーレ相手に1-1の結果に終わった。勝ち点1を手に入れたものの、依然19位の苦しい立ち位置。残り2節で勝利がJ1残留への絶対条件となるなか、敵地に訪れたサポーターの姿に選手たちは励まされていた。

 前半を0-0で抑えたが、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は試合後に「プレッシャーを感じていたのか選手たちの動きが硬かった」と振り返る。最初の45分間はホーム湘南が、FW福田翔生の連続プレス、MF田中聡の巧みなボール回収を中心に流れを掴んでいた。

 中央でピッチ全体を見渡していたMF荒野拓馬も「この状況(降格の危機)は選手自身もプレッシャーを感じていると思うんですけど、それをしっかり力に変えて残り2試合はやっていかないといけない」とゲームを終えて反省を述べている。札幌は後半5分に失点し、1点ビハインドを負ったなかでリスクを懸けて得点を奪いにいく姿勢に変わった。

「もう割り切っていました。失点してしまった以上、ゴールを取りに行くしかない」

 その結果が、後半14分の同点弾につながる。右サイドを崩し、MF近藤友喜が上げた絶妙なクロスを、駒井善成が頭で合わせた。思いを爆発させる姿もあったなか「あんまり感情を出すタイプではないんですけど」と、場面を回顧。試合前からアウェーの地に駆け付けたサポーターがチームバスを囲んで声援を送ってくれた場面を思い起こす。

「今日の試合はバスを降りたときからのサポーターに後押しがあって、そういうのを含めて何とか勝ち点3を届けて(残留の)可能性を広げたいと思っていました。その思いが自然とリアクションに出たなという感じです」

 そんなサポーターの後押しは、荒野も実感していた。「バス到着で囲んで応援してくれていました。ゴール裏を埋めてくれました。声援が響いていて、僕自身も感動しましたし、年のせいか涙が滲むような思いもありました。そういった人たちに勝利を届けたかったです。すごく悔しい思いです」と自身の心に響いた光景を思い浮かべている。

 そんな選手たちの言葉とともに、ペトロヴィッチ監督が語った言葉も印象的だった。

「クラブを支えてくれるパートナーの方々、大勢のサポーターも支えてくれている。降格ありきのコメントはどうかと思うが、素晴らしいサポーターにお願いがあります。もしJ2に落ちたとしても、クラブをサポートしてほしい。J1に上がる力を皆さんに貰いたい」

 アウェーに駆け付けた2000人を超えるサポーターの姿。試合後に選手が挨拶に行ったあとも、響き渡るような声援でチームを励ました。

「まだ下を向いている選手も、諦める選手もいない。みんな同じ気持ちです」(荒野)

「得失点上も難しいのは確かです。けれども(サンフレッチェ)広島に3-0、4-0で勝てば全然可能性的にはチャンスというのはあると思います。最後柏(レイソル)との直接対決も残っているわけですから。サッカーでやってみないと分からないスポーツ。広島強いですけど、今日の後半のような戦い方ができれば、自分たちで道を切り開けると信じてやるのが大切になってくると思います」(駒井)

 選手たちはすでに、前を向いている。そのエネルギーとなるのは、いつも駆け付けてくれるサポーターの姿も大きい。札幌は次節で上位争い最中のサンフレッチェ広島、最終節は柏レイソルと激突する。望みをつないだのは選手たちだけではない。サポートするファンの声が、闘志の炎を絶やさない“薪”となっている。(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)

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