敵地5戦5発「僕に懸かっている」 27歳FWは「貴重」、発揮したい駆け引きの感覚【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2024年11月15日 7時40分
■上田の離脱で1トップ出場に期待が懸かる小川
森保一監督が率いる日本代表は現地時間11月15日の2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で、インドネシアとアウェーで対戦する。今回は試合が金曜日に行われるため、入国までの移動トラブルがあったにもかかわらず、比較的、余裕のある形でチームが準備できていることは日本にとってもプラスだろう。谷口彰悟(シント=トロイデン)の負傷辞退により、3バックの中央が誰になるのかという大きな問題はあるが、前線もこれまで1トップのスタメンを張ってきた上田綺世(フェイエノールト)も怪我で外れており、FW争いも熾烈になってきている。
1トップの筆頭は小川航基(ナイメヘン)だろう。これまで最終予選の4試合すべてに途中出場し、アウェーのバーレーン戦とサウジアラビア戦で得点を決めている。実は5年前に行われたE-1選手権の香港戦から、出場した5試合すべてのアウェーゲームで得点している“外弁慶”ぶりだ。ある意味、バーレーンやサウジアラビア以上のアウェー感も予想されるインドネシア戦に向けても小川は「サウジアラビアも凄かったですけど、なんかそれ以上の熱気があるんじゃないかなって、また1つ違った雰囲気の中でやるんじゃないかなって思ってるので。本当に美味しいというか、楽しみで仕方ない」と明るい表情で語っていた。
ライバルであり、切磋琢磨してきた上田がいない状況に関しても「こういうチャンスを自分のものにしたいと思っていますし、簡単に点取れる相手でもないと思っているんですけど、僕自身、(中国戦を含めた)この2試合でどれだけ自分が点を取れるかというところが懸かっていると思っているんで、僕自身も期待していますし、楽しみです」と意気込んでいる。
A代表定着まで時間がかかった小川だが、世界の舞台でエースとして日本代表を引っ張るのは自分だと言い聞かせて、腐らずにやってきての今がある。チームが勝てばいいというFWも多くいるなかで、エゴイスティックなまでに、自分の得点にこだわる小川は貴重な存在だ。
もちろん、チームのために守備でハードワークし、ポストプレーでチャンスを引き出す仕事が大前提になることを小川は理解している。スタメンなら、なおさらだろう。特に南野拓実(ASモナコ)や久保建英(レアル・ソシエダ)、鎌田大地(クリスタル・パレス)など、ハイレベルなタレントが揃う2シャドーとの関係構築は攻撃面の生命線だ。小川は「誰が見ても、このチームはシャドーが前向きで、ちょっと人と違ったというか、素晴らしいパフォーマンスができる選手がたくさん揃っている。僕は前線で身体を張ってキープして、そういった選手に前向きでいい形でプレーさせてあげるというのが、本当に大事なことだと思ってる」と語る。
オランダでのいい感覚を代表戦でも見せられるか【写真:FOOTBALL ZONE編集】
■クロスで生きる小川の特性「いい関係性でチームを勝利に導ける」
そうした役割をこなしながら、5バックのインドネシアからゴールを奪うのに有効になってくるのが、サイドをえぐったところからのクロスだ。右サイドの主力を担う堂安律(フライブルク)に関して小川は「本当に彼の特長は誰よりも分かっている自負というか、分かっている」と前置きしながら「彼がしたいことと、気持ち良くやらせてあげるところと、僕が大事なところで、ボックスの中にいるっていうところ、彼も僕をしっかりと見てくれれば、お互いがウィンウィンというか良い形で、いい関係性でチームを勝利に導ける」と語る。
その堂安と、右サイドのWレギュラーと言ってもいい存在である伊東純也(スタッド・ランス)に関しては相性がいいということを過去にも語っていたが、改めて小川は「シンプルに合うっていうか、いいボールが来るというだけの話で。キックの質も高いですし、本当にヘディングで当てればゴールに入るようなクロスをくれる」と説明した。小川の見解について伊東は「普通に蹴っているだけですけど(笑)。航基とかはボックス内の駆け引きの後のワンタッチのヘディングだったりが得意だと思うので。そこにうまく合わせられればいいなと思います」と答えている。
小川の同僚で、仲良しであるというカルヴィン・フェルドンクやセリエAのヴェネツィアで主力を張るジェイ・イツェスなど、ディフェンス陣に欧州ベースの屈強なタレントを揃えるインドネシアに対しても、堂安や伊東、あるいは左サイドの三笘薫(ブライトン)や中村敬斗(スタッド・ランス)からのクロスにうまく合わせることができれば、アウェーでの得点記録を伸ばすことは可能だろう。オランダリーグで5得点、ここ2試合で3得点を記録している小川は「ボックスの中で駆け引きして、いいところに入っていける」感覚があるという。それを代表戦でも発揮して、最終予選の折り返しとなるゲームで日本を勝利に導けるか。
今回は約1年ぶりの代表復帰となる古橋亨梧(セルティック)や前回に続く招集となった大橋祐紀(ブラックバーン)という小川とはタイプの異なるストライカーがおり、サイドの出場が増えている前田大然(セルティック)も前線での選択肢になってくる可能性がある。これまで前線を牽引してきた上田がいない状況だからこそ、そうした選手たちの競争が“森保ジャパン”を活性化する期待は高い。そのなかでも小川の存在感と決定力というところに注目してみたい。(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
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