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森保ジャパン「最強布陣」…伊東純也を一番手に推奨、最終予選から見る“11人の最適解”【コラム】

FOOTBALL ZONE / 2024年11月22日 11時10分

■6試合を消化したアジア最終予選から見えた日本代表の最強布陣

 アジア最終予選6試合を終え、日本は5勝1分で勝ち点16、C組の首位を独走。来年3月に行われるホームのバーレーン戦に勝利すれば、他会場の結果に関係なく3試合を残して北中米ワールドカップ(W杯)の出場が決まる。

 ここまで森保一監督は3-4-2-1をベースに戦ってきた。GK鈴木彩艶、3バックの板倉滉と町田浩樹が全試合にフル出場したほか、ボランチの遠藤航と守田英正が5試合でスタメン出場。1トップは上田綺世が4試合、彼を怪我で欠いた11月シリーズは小川航基が2試合続けてスタメンで起用された。一方で左右ウイングバックと2シャドーに関してはスタメン、交代出場ともに多くの選手が使われており、センターラインを固めて攻守の軸を安定させながら、ウイングバックとシャドーのタレント力で勝負する森保監督の戦略が表れている。

 フル出場の鈴木、板倉、町田に関しては問答無用で“最強布陣”に入れるべきで、怪我で11月シリーズを欠場した谷口彰悟も、それまで3バックの中央から統率する役割を果たしていたこと、インドネシア戦が橋岡大樹、中国戦が瀬古歩夢と異なる選手が出場チャンスを得た事情を考えても、素直に入れたい。ただ、アキレス腱の負傷であることから来年3月にも間に合わない可能性が高く、瀬古や橋岡のさらなる奮起はもちろん、現在は怪我で離脱している冨安健洋や伊藤洋輝の完全復活にも期待したいところだ。

 ボランチはインドネシア戦で遠藤、中国戦で守田に代わり田中碧が出番を得て、特に中国戦はビルドアップや攻撃参加の面で、まずまずの存在感を見せたが、やはり遠藤と守田が軸であることに変わりはない。

 おそらく、ここまで挙げた6人は誰が評価しても、ほぼ異論はないはず。右ウイングバックはインドネシア戦までの5試合では堂安律が先発、後半スタートあるいは途中から伊東純也が投入されて、攻撃の流れを変えるというのが森保監督の王道プランだった。ただ、11月シリーズはそれまで出番のなかった菅原由勢が堂安から同ポジションを引き継ぎ、伊東は右シャドーで途中出場した。そしてアウェーの中国戦は伊東が最終予選で初めてスタメン、終盤は橋岡が投入されて試合を締めた。

 3バックと言っても、守備を構える時間帯は5バックになることが多く、前からプレスに行く場合も、堂安が右サイドバックのようなポジションでカバーすることが多いシステムにおいて、彼の攻守両面のハードワークは高く評価するべきだ。ただ、違いを生み出す決定的な仕事という基準で見たら、やはり1得点6アシストの伊東を“最強布陣”に入れたい。ここまで、ほぼ2人が二者択一のようになっているが、サウジアラビア戦のように右のウイングバックとシャドーで並び立つケースも増えてくるかもしれない。


小川航基は代表9試合で9ゴールとストライカーぶりを発揮しつつある【写真:ロイター】

■小川が1トップで躍動、フィニッシャーに徹する割合が上田より高め

 左ウイングバックは5試合でスタメンの三笘薫で順当か。1得点3アシストという結果は常に相手のマークが厳しくなった結果でもあり、ゴールという部分では数多くゴール前に関わるポジションでないことも影響しているはず。左のアウトサイドで三笘が脅威になることにより、中央や逆サイドで相手の守備に隙ができやすいという関係性を考えても外し難い。ただ、さらに強い相手との戦いを想定すると、最終的に三笘が決定的な仕事をするオプションが重要性を増しそうだ。

 このポジションは三笘のほかにも中村敬斗と前田大然というタイプの異なるハイレベルなタレントがおり、森保監督としては戦術的な効果も含めて、特定の選手にあまり負担のかからないプランを立てられる。三笘のコンディションや中村の成長次第で序列の変化も起こり得るが、タイプの違う3人がハイレベルに競っていけば、対戦相手にも読みにくく、何かアクシデントがあった時にも対応しやすい。ただ、3人とも攻撃的なキャラクターであることに変わりはなく、センターバックもこなせる伊藤が復帰してくれば、守備の時間が長くなるような相手やウイングにワールドクラスを擁する相手に対して、同ポジションで使われるケースも出てくるかもしれない。

 2シャドーは目まぐるしく組み合わせが変わるなかで、全6試合にスタメン出場している南野拓実を2列目の軸として評価したい。ここまで3得点。目に見えるアシストはないが、中国戦で小川が決めた3点目などに見られるように、チャンスの起点になりながら、ボックス内でディフェンスを引き付けてフィニッシャーのスペースを作り出すなど、重要な働きをしている。守備面でも役割は多様であり、そうした幅広い稼働力が、豊富なタレントがいる中で南野をスタメンで使い続ける理由だろう。

 もう1人を鎌田大地にするのか、久保建英にするのかは大きく意見が分かれるところだろう。個のパフォーマンスや決定的な仕事という基準では1得点3アシストの久保を推したいが、巧妙な立ち位置と正確なパスで攻撃のリズムを作り出し、ボランチから3得点を記録している守田を高い位置で絡ませる再現性を構築している鎌田を“最強布陣”の一角とした。ただ、ここはシンプルなパフォーマンス評価というより、チームのメカニズムによるところが大きく、久保も鎌田も2列目に欠かせないタレントであることに違いはない。それと同時に、三笘や堂安、前田、伊東、中村などウイングバックとのポリバレントを生かすポジションでもあるだけに、豊富なオプションを森保監督がどう生かしてアジアから世界での戦いにつなげていくのか注目したい。

 1トップは上田と小川のどちらを取るか、意見が分かれるところだろう。4試合でスタメンの上田はバーレーン戦の2得点のみだが、力強さを増したポストプレーと中央のスペースを空ける動きなど、味方に点を取らせる役割で効果的な仕事をしている。一方の小川もロングボールの競り合いなどで奮闘はしているが、やはりペナ幅からボックス内にかけて、フィニッシャーに徹する割合が上田よりも高めだ。そうした結果が中国戦の2得点など、ここまでの4得点、そして記録はオウンゴールになったが、ほぼ小川のゴールと見ていいインドネシア戦の先制点などにもつながっている。また直接ボールに触ってなくても、彼が我慢強く前線に張ることで攻撃の深みを出すという効果も小川ならではのものだ。

 一方で、世界を相手に点を取ると言う基準ではアウェー中国戦の終盤に見せた古橋亨梧のフィニッシュワークは上田や小川にもない特長があるだけに、この決定力をさらに生かせるビジョンをチームとして構築できれば、本大会に向けて武器になっていく期待も覗かせる。

 最終予選の折り返しというところで、今回の“最強布陣”を考案してみたが、予選突破が懸かるホームのバーレーン戦をはじめとした残り4試合、そして世界での戦いに向けてもっと各ポジションがレベルアップしていかないと、本大会での躍進は望めない。本来は森保ジャパンの主力を張るべき冨安や伊藤の完全復活、なかなか主力に食い込めていないパリ五輪世代も含めて、まずは来年3月までクラブレベルでの評価アップや新たな選手の台頭に期待していきたい。(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

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