日本代表に敗れても…知らぬ顔のW杯優勝国 「普通に勝つ」不気味な落ち着き【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2024年11月22日 15時10分
■UEFAネーションズリーグで好成績のスペイン代表、ぶれずにやり続ける強み
UEFAネーションズリーグのグループリーグが終了。最上位カテゴリーであるグループAの1~4の中で唯一5勝(1分)しているのがスペイン代表だ。ドイツ、ポルトガルも無敗だが4勝2分。ユーロ2024に優勝したスペインは、ネーションズリーグの過去3大会でも優勝1回、準優勝1回と最高の戦績を残している。
スイスとの最終戦はシモン、カルバハル、ロドリ、ヤマルなど主力を欠いていたが、3-2で勝利。プレースタイルもいつもどおり。どこが相手でどんな状況でも、同じスペインであり続けるのが凄いところで、なんだか不気味ですらある。
フィールドを広く使ったビルドアップはのびのびとしていて、どの選手も滅多に慌てない。冷静で淡々としたパスワークは不変。普通にスペインのサッカーをやって普通に勝ってしまう。
このスペインのスタイルは現代サッカーの模範になっている。例えばマンチェスター・シティ、スポルティング、バイエルン・ミュンヘン、パリ・サンジェルマンといった他国のリーグチャンピオンのプレースタイルはほぼスペイン方式だ。
ただ、よく知られているようにスペインのスタイルはオランダからの輸入である。それもそんなに古い話でもない。
スペインリーグには多くのスター選手がプレーしていたが、代表に関してはこれといったプレースタイルはなかった。レアル・マドリードのアタックラインをほぼそのまま使ったこともあれば、バスク式の質実剛健の時もあった。現在のプレースタイルはユーロ2008で優勝した時に確定している。ルイス・アラゴネス監督が率い、シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタ、ダビド・シルバ、セスク・ファブレガスがいた技巧的なパスワークのチームだった。
その元を辿れば、ヨハン・クライフ監督のFCバルセロナにある。クライフの就任は1988年なので、クライフが持ち込んだオランダ方式がスペイン代表に移植されるまでに20年間を要したことになる。ただ、一度定着するや、もうそこから変わることはなかった。洗練された論理的なサッカーは16年を経て、もはや本家のオランダよりもスペインのサッカーとして広く認識されている。
今ではドイツ、イタリア、イングランドの強豪国もスペイン化していて、ビルドアップやハイプレスなど、スペインの影響を受けていない国はないと言っていいと思う。
ただ、やはりオリジナルの強みなのか(本当はオリジナルではないが)、スペインは他国とはひと味違う。彼らのサッカーをやるためにどんな選手が必要で、どんな技術が不可欠なのか、育成段階から浸透しているせいか迷いがなく、戦術と選手のミスマッチもない。誰が監督になっても同じサッカーになることがはっきりしている。
2010年ワールドカップに初優勝したあと、オランダに大敗しようが日本に敗れようが、スペインはずっと彼らのサッカーをぶれずにやり続け、いつの間にか知らぬ顔で再浮上している。
現在のドイツ代表やドイツ人のフリック監督のバルセロナのような、ある種のエキセントリックな感じはまるでない。上手いのは間違いないけれども、今では何も驚くようなことのないスペインのサッカーを普通にやって、普通に勝っている。その泰然自若としたありようはかえって不気味なほどである。(西部謙司 / Kenji Nishibe)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
オランダ代表、UNL最終節を前にファン・ダイク&デ・ヨングの離脱を発表
ゲキサカ / 2024年11月19日 12時0分
-
UNLグループ2位確定のオランダ代表、ファン・ダイクとF・デ・ヨングが最終節前に早期離脱
超ワールドサッカー / 2024年11月19日 6時30分
-
オランダがハンガリーに4発快勝!ボスニア・Hが敗れたため両者のリーグA残留が決定【UNL】
超ワールドサッカー / 2024年11月17日 6時55分
-
顔面蹴られ10針縫ったクバルシがスペイン代表に追加招集、パウ・トーレスの代役【UEFAネーションズリーグ】
超ワールドサッカー / 2024年11月13日 23時45分
-
デ・ヨングが1年2カ月ぶりの招集! 双子のティンバーやファン・ダイクらが招集【UEFAネーションズリーグ】
超ワールドサッカー / 2024年11月8日 20時58分
ランキング
-
12連敗で崖っぷち…米国指揮官嘆き「非常に厳しい試合」 2戦17失点と投手陣が崩壊
Full-Count / 2024年11月22日 16時5分
-
2巨人50億円補強を前に既存戦力に“大盤振る舞い”のウラ…丸佳浩、山﨑伊織にオコエ瑠偉まで笑顔の契約更改
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月22日 11時32分
-
3【西武】GG賞二遊間コンビ解体へ…外崎修汰は三塁転向へ「レギュラー白紙は当たり前」
東スポWEB / 2024年11月22日 6時14分
-
4大谷翔平 文句なし満票!史上初DH専任、2人目両リーグMVP!守備貢献度なしも打と走でWAR断トツ
スポニチアネックス / 2024年11月22日 8時53分
-
5大谷翔平MVP受賞 指揮官語る“転機”とは「自分自身を表現できるように…人として成長」ショックも糧に
スポニチアネックス / 2024年11月22日 13時58分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください