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現役引退を拒否「俺のためだと思って頑張って」 17歳だけど先輩…元日本代表の相互関係

FOOTBALL ZONE / 2024年11月27日 9時30分

■浦和の宇賀神友弥が引退会見で原口元気にについて言及

 浦和レッズのDF宇賀神友弥が、11月26日に今季限りでの引退発表記者会見を行った。さまざまなチームメートの話が出るなかで、「まっすぐにぶつかってきてくれた」後輩との絆は1つ特別なもの。「来年1年、俺のためだと思って頑張ってくれ」と言われた思いを受け止めていた。

 宇賀神は中学から浦和の下部組織に入ると、ユースからのトップ昇格は果たせず流通経済大を経て浦和へ戻った。今となっては珍しくない「大学経由のトップ昇格」だが、浦和では宇賀神が初めての存在だった。そして、その時に17歳にして浦和とプロ契約して一足早くトップチームの一員になっていたのがMF原口元気だった。

 当時の原口のことを「人の話は聞かないわ、自分のことしか考えないわ」と会見中に笑った宇賀神だったが、一方で「自分を成長させてくれたのは原口元気。どうしたらこれをうまく使えるかなと考えさせてもらった。彼が海外に行った後も、原口を使いこなすことができたんだから怖いものはないと思っていた」とも話す。

 特にミハイロ・ペトロヴィッチ監督が率いた時期、浦和は左シャドーが原口で左ウイングバックに宇賀神が入ることが多かった。前線のプレスで勢いよく相手に飛び込んで外されてしまうことの多かった原口に対し、宇賀神は根気よく守備の組織プレーを求めた。原口が「それじゃ、(自分が)ボールを取れない」と主張しても、「そうじゃなくて、元気がコースを限定することで後ろの選手がボールを取れるんだ」と説いた。その関係は、特に2013年から14年夏の原口がドイツに移籍するまでの期間の日常でもあった。

 26日のトレーニングを終え、今夏に浦和へ復帰した原口は当時の宇賀神との関係について「彼がいなければ僕があそこまで浦和で成功することも、ヨーロッパに行くこともなかったと思うくらい後ろで支えてくれた。僕がエモーショナルになった時には落ち着けという声をかけてくれた。彼のおかげもあって、結果も出たと思う」と話す。

 だからこそ、原口は宇賀神に「もう1年」を求めたという。「ずっと、あと1年やろうよと。彼の体調、プレーを見てもまだまだ一線でできると感じていた。だからこそ、もう1年一緒にやりたかったし、何度も伝えていた。チームの決断、彼の決断なので仕方ないけど、寂しさと残念だと思う気持ち。彼自身は悔いなくやったと言っていたけど、僕はもう1年一緒にやりたかった」のだと話す。

 まだ原口の浦和復帰の契約が具体化する前の6月、コンディション調整を兼ねて練習参加した際のミニゲームで「ウガ、そこ行けよ! 何やってんだよ!」という声が聞こえて、懐かしさがあった。宇賀神は21年に一度浦和を契約満了で退団し、J3のFC岐阜で2シーズン過ごして今季に浦和へ復帰した。そのブランクがあり同世代が37歳になる学年のベテランなのは承知で「やれると分かっているから要求する」というのが原口のスタンスでもあり、そうやって互いにハッキリと要求をぶつける日常から生まれた信頼関係がそこにあった。

 会見での宇賀神は「原口が夏に帰ってきて、人生をかけてこのクラブを優勝させたいと。そのためにはウガの力が必要だから、来年1年、俺のためだと思って頑張ってくれ、いなきゃダメなんだよと、まっすぐな男なのでまっすぐにぶつかってきてくれた」のだと、少し嬉しそうだった。

 宇賀神のセカンドキャリアにおける夢は浦和のGM(ゼネラルマネジャー/強化責任者)になること。原口だけでなく家族からも「元気ならほかのクラブでやるのはどうなのとも言ってもらった」という宇賀神だが、「このタイミングで帰ってきて、いくら身体が元気でもほかのクラブでやる決断に至らなかった。僕の気持ちはこのクラブで終わるべき、次の道に進むべきだ」という思いを胸に、選手としてのキャリアに終止符を打つ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

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