柏木陽介が明かす“ミシャ”との秘話 恩師に「愛が深いなと感じる」訳【インタビュー】
FOOTBALL ZONE / 2024年11月30日 6時50分
■柏木陽介氏が振り返る幼少期「まさか入れるとは思ってもいなかった」
昨季限りで現役を引退した元日本代表MF柏木陽介氏は現在、古巣のFC岐阜でクラブアンバサーを務める傍ら、県内で鵜飼観覧船の船頭を兼業するなど珍しいセカンドキャリアを送っている。「FOOTBALL ZONE」では選手の半生を深掘りする連載を実施しているなか、現役時代の恩師との出会いや、当時の秘話などを振り返ってもらった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小西優介/全4回の1回目)
◇ ◇ ◇
柏木氏は2006年からプロキャリアをスタートさせ、サンフレッチェ広島(06~09年)、浦和レッズ(10~21年)、FC岐阜(21~23年)でプレー。J1通算392試合56得点、J2通算31試合4得点、J3通算61試合1得点を記録し、日本代表としても11試合に出場している。
そんな柏木氏の幼少期は「兄ではなく、兄の友達に憧れた」のが理由でサッカーを始めた。「ボールが怖いという感覚はなかったし、小学1年生でリフティング150回できるぐらいは上手かった」と自負している。
その後は地元の中学に進学し、サンフレッチェ広島のユースに入団することになったが「まさか広島に入れるとは思ってもいなかった」という。「俺の代は学年で9人、全体でも30人ぐらいしかいなかった。関西トレセンで最終5人に選ばれて、そこで広島のスカウトに最終選考受けてみないかと話があり、加入することになった」と経緯を明かした。
ユースでも結果を残し、アンダーの代表にも選出されるなど順調なキャリアを歩んだ柏木氏は、トップチームに昇格し06年にプロデビュー。6月には恩師となるミハイロ・ペトロヴィッチ監督(現北海道コンサドーレ札幌)と出会った。
「初めての外国人監督で不安もあったけど、俺自身試合に出れていない状態だったので、逆にチャンスやなと。メンバーには入れてなかったけどやれる自信はあった。最初来た時はアンダー代表の活動もあって合流が遅れたけど、初めて挨拶した時は温かい、優しい人やなと思った」と、初めて対面した時や、当時の自身の心境を振り返った。
■ペトロヴィッチ監督は「愛が深い」
06シーズンの広島は序盤に低迷していたなかでペトロヴィッチ監督が就任した。ペトロヴィッチ監督は若手を積極的に起用する方針であり、それまで出番のなかった柏木氏は攻撃的MFとしての出場が増加した。主力に定着すると、このシーズンはリーグ戦17試合1ゴールを記録し、シーズン終盤の快進撃に貢献した。
一気にプロとしてキャリアが進んだのは「ミシャ(ペトロヴィッチ監督の愛称)のおかげ」と柏木氏は語る。「練習で評価してもらえて、そこから試合でも起用して、自分を見出してくれた恩師。今でも感謝しているし、出会ってなかったら今の自分はなかった」と感謝の言葉を続けている。
「ミシャ式」という言葉があり、ペトロヴィッチ監督が用いる特徴的な戦術やフォーメーションの通称で、他チームでも類似の戦術、フォーメーションを用いる場合にそう呼ばれる例がある。ペトロヴィッチ監督が広島の監督を退任後、その座を引き継いだ森保一監督が用いた3-4-2-1の布陣も同じくミシャ式と呼ばれ、12、13年シーズンを連覇し、15年もリーグを制した。
ペトロヴィッチ監督の当時の練習は「普通にきつかったし、走る練習が多かった」と、柏木氏は明かしたが、「練習では内容含めて細かいところまで伝えてくれるし、愛が深いなと感じる」と、人に寄り添うスタイルだと言及している。
「まずサッカーがブレない。チームが勝てない、上手くいかないとか、時代の流れでスタイルを変えてしまうのは昔からあったけどミシャはなかった。指導の部分でいうと例えば、『今のシュート入ったけど、こっちは見えていたのか』とか、細かいところまでとことん突き詰める人だった。いいプレーをした時にそこまでそういう風に伝える人はこれまでいなかったし、1人1人に対して真摯に指導していて、選手にとっても選択肢が増えていたので、素晴らしいと思った」と恩師の指導ぶりを絶賛している。
ペトロヴィッチ監督は06年に来日以来、広島で6年、浦和でも6年、現在は札幌で7年目の指揮を執っているが、国内でこれまで監督を続けられる外国人も珍しいなかで、必要とされる理由を柏木氏が明かしている。
[プロフィール]
柏木陽介(かしわぎ・ようすけ)/1987年12月15日生まれ、兵庫県出身。サンフレッチェ広島ユース―広島―浦和レッズ―FC岐阜。恩師のペトロヴィッチ監督に見出され、代表まで駆け上がった。現在は古巣の岐阜でクラブアンバサダーを務める傍ら、地域貢献を目指し鵜飼観覧船の船頭も務める。J1通算392試合56得点、J2通算31試合4得点、J3通算61試合1得点。日本代表通算11試合に出場。(FOOTBALL ZONE編集部・小西優介 / Yusuke Konishi)
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