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衝撃弾の久保建英「欧州中で注目」 ソシエダ番記者大絶賛…リバプール移籍浮上「悲しい出来事になる」【現地発コラム】

FOOTBALL ZONE / 2024年12月1日 8時30分

■ELアヤックス戦、先発出場のソシエダ久保建英が1ゴール1アシストと圧巻の出来

 公式戦2試合連続で先発した久保建英は、オランダの強豪相手に1得点1アシストの素晴らしいパフォーマンスを発揮し、チームを勝利に導いた。

 週末のバスクダービー(0-1)に敗れはしたものの、復活の兆しを見せているレアル・ソシエダは11月28日、ホームで行われたUEFAヨーロッパリーグ(EL)リーグフェーズ第5節でアヤックスと対戦した。

 レアレ・アレーナに約2000人のアヤックスサポーターが駆けつけたことで、国内リーグとは打って変わりスタジアム周辺を警官隊が取り囲み、車両通行止めの厳重体制が敷かれるなど、試合前から重々しい雰囲気が漂っていた。

 平日21時開催とあって、前回のホームゲーム(バルセロナ戦)ほど大入りとはならなかったが、キックオフ直前にサポーターが掲げたゴール裏の横断幕は、ヨーロッパの舞台に立つチームを奮い立たせるには十分な力があった。

 対戦相手のアヤックスは公式戦16戦無敗、ELリーグフェーズ2位、得失点ともに大会トップ。イマノル・アルグアシル監督はこの難敵との大一番に向け、週末のアスレティック戦からスタメンを4人変更し、久保をいつもどおり4-3-3の右ウイングで先発起用した。

 久保は立ち上がり、相手のマークに苦労しながらも序盤から右サイドでチャンスメイクし、自らシュートを狙っていく。前半の終わりに調子を上げ始め、後半13分に敵陣で相手のドリブルをカットしてボックス内までボールを運びシュートを打つが、惜しくもGKにキャッチされた。試合が動いたのは同22分、久保がジョン・アランブルとの巧みな連携から正確なクロスをゴール前に送ってアンデル・バレネチェアの先制点を演出し、今季初のアシストを記録した。

 そして後半40分、久保は圧巻のプレーを見せつけ、試合を決めた。右サイドからスピードに乗ったドリブルで斜めに仕掛けてペナルティーエリアに侵入し、4人に囲まれながら左足を振り抜き追加点。ELでは実に4年ぶり、ビジャレアル時代の20年10月のスィヴァススポル(トルコ)戦以来のゴールとなった。

 久保の1得点1アシストの活躍で2-0と勝利したソシエダは、EL2勝目およびホーム初勝利を達成。リーグフェーズ成績を5試合2勝1分2敗の勝ち点7として16位に浮上した。久保のここまでのEL成績は4試合(先発3試合)出場、1得点1アシストとなっている。


アヤックス戦が行われたソシエダ本拠地レアレ・アレーナの売店。約2000人のアヤックスサポーターが駆けつけて賑わい【写真:高橋智行】

■久保が明かすゴールの舞台裏「監督が前に行けと言っていたので…」 現地メディア絶賛

 試合後のミックスゾーンでは、ほぼすべてのスペインメディアが久保の言葉を聞くため、取材待ちをしていた。それは日付が変わるまで続き、久保はそのすべてに真摯に対応した。

 久保は得点シーンの質問に対し、「ボールを受けた瞬間はうしろに戻そうと思ったが、監督が前に行けと言っていたので、最後だし行ってみようかなと。そこからはイメージどおりだった。少し縦に行くふりをして中に入り、そこからシュートを打とうと決めていた」と、狙いどおりのゴールだったと明かした。

 今後のELについては「最低限ホームの2試合に勝ち、残りのラツィオにも勝てればベスト。正直プレーオフの2試合はきついので」と話し、今季の個人的な目標については「アシストに関しては未知数だけど、とりあえずゴールは見えてきているんで、しっかり10点は決めたい」と意気込みを語った。

 この試合における久保をスペインメディアは総じて大絶賛した。クラブの地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」は、「1得点1アシストを記録。スター選手の久保が一緒にいてくれる間、我々は彼のプレーを楽しまなければならない。ゴールネットを揺らすまで相手と対峙し続けた」と称賛し、チーム唯一となる最高の5点をつけた。

 もう1つの地元紙「ノティシアス・デ・ギプスコア」は久保をベストプレイヤーに挙げ、「いつもどおりの非常にクレバーなプレーで先制点を演出した。彼にとって最も輝かしい夜ではなかったかもしれないが、チームで一番危険な存在だった。常に違いを作り出し、ゴラッソを記録した」と評し、チームトップの8点(最高10点)。全国紙の「AS」は最高の3点、「マルカ」は2点(最高3点)とともに高評価した。


久保建英を絶賛したスペインラジオ局「カデナ・コペ」のマウリシオ・イディアケス氏【写真:高橋智行】

■ソシエダ番記者「久保は復調してくれた」 存在感発揮「プレミア行きの話が…」

 試合後、スペインのラジオ局「カデナ・コペ」で実況を務めたマウリシオ・イディアケス氏に話を聞くと、この日の久保の活躍を大いに喜んでいた。

「久保は復調してくれた。これまで本調子でないと感じることが何度もあったが、今日は相手に大ダメージを与え、さらに自身の数字も残してくれた。前半はアヤックスが2、3点リードしていてもおかしくない試合展開だった。しかし相手がそのチャンスを逃してくれたからといってラ・レアルが試合に勝てるわけではない。自分たちのチャンスを上手く生かしたという点で、今日の久保は本当に素晴らしかった」

「アヤックスの18歳のDF(ヨレル)ハトはかなり良かったので、久保は今日、右サイドで対峙した彼に抑えられるのではないかと私は実況で話したが、そうはならなかった。久保は徐々にパフォーマンスを高めていき、後半アランブルとの連携でゴールを生み出した。あのシーンではタイミングを上手く図り、バレネチェアがいい形でシュートできる位置に入るのを待っていた」

「久保は最近、たとえばサン・マメスでのアスレティック戦など、いつもよりレベルが落ちたプレーをしていることがあったが、調子を取り戻してくれたので私はとても嬉しいよ」

 またその信憑性はともかく、リバプール移籍話など、徐々に久保の去就の情報が出始めていることについてはこう話した。

「今、プレミアリーグ行きの話が出ているが、実際に久保が去った場合、悲しい出来事になるだろう。昨日(11月27日)のチャンピオンズリーグの試合を見たが、リバプールはスピードで圧倒し、レアル・マドリードは劣勢に立たされた。肉体的に厳しいリーグで久保がその要求に応えられるかどうかは分からない。しかし今日アヤックス戦で彼が披露したパフォーマンスは、間違いなくヨーロッパ中で注目されるほど並外れたものだった」

 ソシエダは休むことなく、クリスマス休暇までの約3週間で公式戦6試合に臨むことになる。しかし久保はそのことを意に介していないようだ。「おそらく週1回しか試合がないチームに行ったらもっと試合をしたくなる。個人的には過密日程に感謝したい」と多くの試合を戦えることを歓迎していた。

 シーズンのスタートダッシュに失敗したラ・リーガとELで、チームが順位を上げるためには久保の力が必要だ。そのため怪我することなく最近の好調を維持し、今季前半戦を終えることを願いたい。(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)

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