J助っ人FWは「ええ選手やわ」 対峙した相手DFが絶賛した理由「全幅の信頼を置いている」
FOOTBALL ZONE / 2024年12月1日 11時10分
■京都は町田に0-1で敗れた
京都サンガF.C.がFWラファエル・エリアスの加入を発表したのは、シーズン開幕後の6月24日のことだった。当時、京都は19位と降格圏に沈んでいた。しかし、23節の浦和レッズ戦(0-0)でJデビューを果たしたラファエル・エリアスは、すぐにチームにフィットすると、出場15試合で11得点を記録した。シーズン前半戦は低迷していた京都だが、ラファエル・エリアスの活躍もあり、11月9日の川崎戦でJ1残留を確定させる。
それだけでなく、京都はシーズン後半戦第19節から第36節までの成績を見ると、リーグ全体で3位となっているのだ。圧巻の活躍で京都の救世主となったラファエル・エリアスだが、ホーム最終戦となるシーズン最終節は、累積警告によって出場停止となり、通算4枚目のイエローカードを受けた11月30日の第37節FC町田ゼルビア戦(0-1)がシーズン最終戦となってしまった。
相手DFがボールをクリアーした後に接触したとして、ラファエル・エリアスはイエローカードを受けたが、曺貴裁監督は試合後の会見で言葉を選びながらも「ラファエルのプレーもカードじゃないと思った」と、語気を強めた。
「私の印象から言うと、ラファエルが蹴られただけでまったくファウルじゃない。その前にオ・セフンが宮本(優太)にしたアフターチャージと、どっちのプレーがイエローカードに値したかは、あらためてレフェリーに聞いてみたい。両チームとも、非常にファイティングスピリットがあったなか、前半から判定の曖昧さがあり、選手への理解が行き届かなかったことは、監督としてやりきれない気持ちになりました。判定を一つひとつ、『マルだった』『バツだった』と言っているわけではなく、選手にあの基準を理解しろというのは難しいと思います」と、エースを最終戦で欠くことになった判定を含め、この試合全体の判定基準への疑問を口にした。
ラファエル・エリアス自身も「もちろん、もう1試合やりたかったので、カードをもらってしまい、今日でシーズンが終了してしまったことは残念です」と悔しがったが、「でも、それをどうこう言っても仕方がないと思いますし、誰がどうということは言いたくありません」と判定については多くを語らなかった。
■京都助っ人FWは「ええ選手やわ」
そして、「それでも今日の試合を含め、自分たちは素晴らしい姿勢やパフォーマンスを見せることができたと思います。そのなかで勝ち点を取れれば一番よかったのですが、それができなかった。ただ自分が来日するうえで、京都をJ1に残留させることが一番大きな目標だったので、それがしっかりできたことは良かったと思います。みんなにとってハッピーな結果だったと思うので、そこに貢献できて良かったです」と、クラブのJ1残留を喜んだ。
京都に加入してから、ラファエル・エリアスは際立った個の力でゴールを量産したが、「自分が加入したからとか、自分がゴールを取ったから、京都の成績がV字回復できたとは思っていません。自分としては、(残留は)チーム全体のおかげと言いたいです」と、謙虚に語る。
「自分はチームの一つのパーツとして、曺監督が求めるインテンシティなどのサッカーのやり方ができて、チームとしてフィットできたからこそ得点もできて、勝ち点が増えたと思っています。自分がというよりは、チームとして、そういう足し算があったのかなと思います。これを続けていき、来年のキャンプからもっとしっかりチームを整えていけば、上位に食い込み、優勝争いもできるんじゃないかなと思っています」と、来季を見据えた。
それでも、対戦相手には強烈な印象を与えている。町田のDF昌子源は、「エリアス選手は半年しかまだ京都でやっていないけど、京都の選手が全幅の信頼を置いているのはプレーで分かります。原くんとかが信じて走ってくるし、ああいうのとかはやっぱり京都の強さ、良さだと思います。エリアス選手も、ずっとワントップ気質ではなくて、割と呼応することも前の試合とかちょっと見て分かっていたんですけど、それが分かっていても、左足の形を持っているので。左足と頭しか点を取っていないので、相手に読まれていようが左で(打つ)ところはあると思います」と言い、「まあ、良い選手。ええ選手やわ」と、この日、何度か対峙したストライカーについて語った。
ラファエル・エリアスは加入時に、半年間のレンタル移籍と発表されていた。この半年間の活躍を見れば、他のJクラブやアジアのクラブが獲得に動いても不思議ではない。ブラジル国内の一部報道では、来季も京都に残留すると報じられていたが、少なくとも現時点では彼自身も京都でのキャリア継続が最優先のようだ。
この日の対戦相手である町田について「もちろん素晴らしいチームだと思います。リーグ優勝を争うのにふさわしい質がありますし、選手層を見ても素晴らしい選手がそろっています」と言及したラファエル・エリアスは、「しかし京都は、その町田に対しても、それ以外の神戸や鹿島、川崎、広島といろいろな素晴らしいチームがありますが、彼らに対しても十分できることを今年は証明できたと思います。だから来年は、そういうチームに負けずに、我々がそう思われるところに行く。下のチームとして、上のチームに胸を借りる感覚ではなく、自分たちが胸を貸すようなチームに成長していきたいと思います」と、来季の京都の飛躍を思い描いた。
そして、自身も来季の継続的な活躍を目標に掲げている。「これまでのキャリアでやってきたように、『とにかく自分の最大限の力を出して、良い結果を出したい、チームを助けたい』という思いを持って京都に来ました。それができたことが良かったです。次の未来でも変わらずに、自分の最大限を出して、チームのためにやりたい。今回はシーズンの半分で11ゴール取れましたが、(フルシーズン、プレーすれば)倍の期間あるので、その倍を取れるような活躍をしていきたいですし、そのためのトレーニングなどを日々しっかりやっていきたい」と、継続的な活躍を誓った。(河合 拓 / Taku Kawai)
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